米商務省が17日発表した2月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.2%増と、前月の1.2%減(下方改定)からプラスに転じた。写真は2022年6月、米ニューヨーク・マンハッタンのスーパーで撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly)
[ワシントン 17日 ロイター] – 米商務省が17日発表した2月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.2%増と、前月の1.2%減(下方改定)からプラスに転じた。トランプ大統領が打ち出す関税や連邦政府職員の大量解雇などが景況感を圧迫する中、伸びは市場予想の0.6%を下回った。
経済成長は緩やかに続いているものの、レストランやバーの売上高が減少するなど、消費者が裁量的支出を控え慎重になっている姿が浮き彫りになった。
パンテオン・マクロエコノミクスのチーフ・エコノミスト、サミュエル・トムズ氏は「この報告は、経済がすでに縮小しているという懸念を和らげるだろう。しかし雇用の安定に対する懸念から、消費者が貯蓄のバッファーを再構築しようとするため、成長率が大幅に低下するリスクが高まっている」と指摘した。
2月は前年同月比では3.1%増となった。
月次では、オンラインストアの売上高が2.4%増加したことが押し上げ要因となった。健康・パーソナルケア専門店は1.7%増、建材・園芸用品店は0.2%増加した。
一方、自動車販売店の売上高は0.4%減少した。1月は3.7%減少だった。家具は横ばいだったが、衣料品は0.6%減、家電量販店は0.3%減だった。
サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は1.5%減と、昨年1月以来の大幅な減少となった。1月は横ばいだった。エコノミストは外食を家計の重要な指標と見なしている。
ガソリン価格の下落により、ガソリンスタンドの売上高は1.0%減少した。
A column chart titled “Monthly change in US retail sales” that tracks the metric over the last year.
自動車、ガソリン、建築資材、食品サービスを除く小売売上高は1%増。1月の1%減(下方改定)から回復し、市場予想の0.3%増を上回った。
エコノミストは、第1・四半期の消費支出の伸びが2024年第4・四半期の4.2%から1.2%に鈍化すると予想している。
A column chart titled “Monthly change in US core retail sales” that tracks the metric over the last year.
米連邦準備理事会(FRB)は今週開く連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を据え置き、トランプ政権の政策による経済への影響を引き続き評価すると見込まれている。
BMOキャピタル・マーケッツの米国チーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「FRBは経済と消費の減速リスクと、大幅な関税が今後数カ月後にインフレを再燃させる可能性のバランスを取る必要があり、苦境に立たされている」と指摘。同時に「小売売上高統計は消費者の不安の高まりを示しているが、景気後退(リセッション)に向けた明確な動きを示しているわけではない」と述べた。
金融市場では、先行き不透明感から、FRBが6月利下げを再開するという見方が織り込まれている。
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