海沿いの津波避難ビルか 山の小学校か 津波が来たらどこへ逃げれば・・・

東日本大震災から3月11日で14年です。

あの日、地震が引き起こした津波によって多くの命が奪われました。

南海トラフ巨大地震が起きれば、福岡県の瀬戸内海沿岸にも津波が押し寄せるおそれがありますが、備えは十分なのでしょうか。

津波による浸水リスク地域で避難訓練

「避難を開始して下さい」アナウンスに従って、小学校の体育館に次々と避難してくる人々。福岡県行橋市では、2月、災害を想定して住民が避難所を運営する訓練が実施され、およそ200人が参加しました。住民は、段ボールの簡易ベッドを作ることにも挑戦しました。71歳 男性
「簡単でいいんじゃないですか。背中が痛いかなという感じですけど」42歳 女性
「地震が起きたときにこれだけ動けるのかという心配があります。(南海トラフ地震は)ここ何年かの話だと思いますので日頃からの備えが大事だと思います」

6自治体「南海トラフ巨大地震で3メートル以上の津波」

行橋市や北九州市など瀬戸内海に面した福岡県内6つの自治体は、「南海トラフ巨大地震」で3メートル以上の津波が予想されるなどとして、2014年に国から「防災対策推進地域」に指定されています。

今回、訓練があったエリアは、ほとんどが海抜4メートル以下で津波による浸水リスクがあります。しかし、避難所を運営するこの訓練は、今回初めて開催されたものでした。行橋市 工藤政宏 市長
「我々行政にも大きな責任があると思いますし、大きな災害を経験してきた人たちとそうでない我々では意識に差がある」

”津波避難ビル” 指定少ない福岡県

周辺に高台がない場所でも津波から命を守るため、国は津波避難ビルの指定を推進してきました。

全国的には、マンションやショッピングセンタ-などが指定されていますが、福岡県ではあまり指定されていません。RKB 浅上旺太郎 記者
「福岡県の自治体には、どのくらい津波避難ビルがあるのか、こちらは内閣府が出している一覧です。行橋市はゼロ、北九州市はゼロ、福岡市はゼロ、この58という数字 柳川市です」

柳川市に58か所 「津波避難ビル」とは

福岡県の自治体で最も津波避難ビルが多いのは柳川市でした。RKB 浅上旺太郎 記者
「この周辺は津波により2メートルほどの浸水が予想されています。こちらの小学校が津波避難ビルに指定されています」柳川市は南海トラフ巨大地震の直接の影響は想定されていませんが、有明海での津波被害を想定して2階建て以上の小中学校などを津波避難ビルに指定しています。RKB 浅上旺太郎 記者
「2階建ての家などが並ぶ住宅街、こちらのコミュニティセンターも津波避難ビルです。1階建てです」柳川市では、最大およそ5メートルの津波が想定されていて、市は「想定される津波より高い位置にある場所を指定している」としています。

津波より高い位置にある丈夫な建物であれば身を守ることは可能で避難しやすい場所にあることも有効です。

海沿いの津波避難ビルか 山の小学校か

瀬戸内海沿岸でも津波避難ビルを使った訓練を行っている自治体があります。RKB 浅上旺太郎 記者
「吉富町の津波避難ビルは、薬を作る工場です。2階の部分にはおよそ100人が避難することができます」吉富町は、能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報を経験したことから、去年11月に初めて津波を想定した訓練を実施しました。

人口の1割近くの500人ほどが参加しましたが海沿いにある津波避難ビルに逃げるのか、山側にある小学校に逃げるのか、判断に迷うという声もあります。訓練に参加した町民
「心理的にどうしても山手の方にいきたいじゃないですか、そこが個人差があるみたい。わざわざ津波が来ているのに海の方に製薬会社に行ったらその(避難の)間どうするかという不安もあるでしょうしね」吉富町 危機管理係 高橋巧輝さん
「地震津波想定なので海から離れることが大事。災害の実際の状況に応じて残り何分避難する時間があるからこっちにいこうという判断が各自でできるようになってほしい」

南海トラフ巨大地震 「発生確率80%程度」

津波の恐ろしさを見せつけた東日本大震災から14年となりましたが福岡県の自治体の南海トラフ巨大地震への備えはようやく動き始めた形です。

政府の地震調査委員会は今年1月 南海トラフ巨大地震が今後30年以内に発生する確率を「80パーセント程度」に引き上げています。

詳細は NEWS DIG でも!↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkb/1782150

WACOCA: People, Life, Style.