ホテルの水道管から採った水の水質を確認する札幌市水道局の職員ら=ネパール・ポカラで2024年11月14日午後2時32分、片野裕之撮影
ヒマラヤ登山の拠点となるネパール・ポカラの町並みは、満々と水をたたえたペワ湖のほとりに広がる。水に困らなさそうな地域に見えるが、蛇口から水が毎日出る地域があれば、週1回の場所も。水道事業者は水質検査のノウハウを3年前から日本に教わるが、検査の頻度は少ないままだ。背景には意外な国民性があった。
南アジアのネパールと北海道。気候も風土も全く異なり、一見つながりがなさそうに見えますが、両者の間では活発な交流が行われています。ヒマラヤ山脈を越え、社会課題解決に向けて奮闘する道内出身者らを追いました。
この連載は全5回です。
農業や介護の課題解決へ 日本とネパールで進むウィンウィン交流
網走が育てたネパール人経営者 「おもてなしの心」を母国にも
水質改善の壁は国民性? 日本が支援するネパールの水道事情
「過酷な環境」で目指す安全 ヒマラヤの空に挑む十勝出身の女性(13日7時半公開予定)
9000人犠牲の大震災から10年 札幌での学び糧に奮闘する医師(14日7時半公開予定)
ネパールは約6000の河川を有し、水力発電で発電量の9割をまかなうほど水資源が豊富だ。にもかかわらず、人口約3000万人のうち安全な水にアクセスできるのは、2019年時点で750万人程度にとどまる。98%の家庭の水道水から大腸菌群が検出されたという報告もある。
10年前にポカラで調査を行った札幌市水道局水質管理センター所長の山部慎次さん(59)によると、当時は川から直接配水池に取水し、塩素を注入後に各戸に給水していた。そのため、葉や枝が水道管に詰まる事故が多発していた。
ヒンズー教徒が多いネパールでは、神聖とされる牛も水質に影響を与えている。街中でよく見かける牛の排せつ物が道端に放置され、そこに含まれる病原性原虫「ジアルジア」や寄生虫「エキノコックス」が水道水に混入しやすい。
山部さんは「煮沸消毒すれば飲むことができる。本当は牛の管理もしたいが、まずは塩素消毒が大事」と指摘する。
このほか水道管の接合不良や粗悪な材料の使用による漏水も多く、ポカラの水道を管轄するネパール水道公社によると、1日に500万立方メートルが漏れることもあったという。
札幌市水道局が支援
こうした状況を改善しようと、ネパール政府の要請を受けた日本は、無償資金協力で1日当たり4万1000立方メートルを処理できる浄水場や沈砂池をポカラに整備した。
これにより水道管への枝葉の流入が解消。浄水場は24年に稼働が始まり、水質改善も期待されている。
ただ、新たな壁も立ちはだかる。浄水場の運転や水質検査を担える人材の不足だ。
国際協力機構(JICA)の21年の調査報告書によると、ポカラ支所で水道施設の運転や維持に従事する水道公社の職員は定員に満たず、作業マニュアルもない状況だった。
この改革に、1970年から発展途上国への水道技術の普及に取り組む札幌市水…

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