25年春闘、きょう集中回答日 賃上げ2年連続で5%超えか

 3月12日、2025年の春季労使交渉(春闘)は、大手企業の多くが労働組合の要求に回答する集中回答日を迎えた。写真は日本国旗。2016年2月、都内で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 12日 ロイター] – 2025年の春季労使交渉(春闘)は12日、大手企業の多くが労働組合の要求に回答する集中回答日を迎えた。人手不足が続く中、すでに満額で妥結した企業も相次ぎ、前年に続いて5%以上の賃上げが今年も実現するとの見方が強まっている。

ベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた賃上げ率(連合の最終集計)は、1990年代半ば以降1─2%台で動きに乏しい状態が続いていたが、2023年に3.58%、24年に5.10%と高水準の賃上げを実現した。

連合が6日公表した25年春闘における賃上げ要求率(3日時点)は、平均6.09%と昨年同時期の5.85%を上回り、93年以来の高水準。要求と妥結金額は異なるものの、物価上昇や人手不足など企業に賃上げを促した環境は変わっておらず、最終的な賃上げ率は5%台を確保できるとの見方が多い。

集中回答日に先行し、デンソー(6902.T), opens new tabやアイシン(7259.T), opens new tabなどトヨタ自動車(7203.T), opens new tabグループの大手部品メーカーや、イオン(8267.T), opens new tabグループ各社など満額回答で妥結しており、経団連の十倉雅和会長は10日の会見で、「力強いモメンタム(勢い)の定着に向けた息吹を感じる」(経団連の十倉雅和会長)との認識を示した もっと見る 。

連合は妥結金額の1次集計を14日に発表する。その後、夏ごろまで中小企業の交渉が続く。物価も上昇する中、力強い賃上げモメンタムの「息吹」を日本全体に行き渡らせ、経済の好循環につなげられるかは、中小企業や非正規雇用者の賃上げ実現にかかっている。

連合は企業規模間の格差を是正するとして、25年春闘では中小組合の賃上げ率を「6%以上」に引き上げる目標を掲げている。3日時点の要求集計は6.57%と、94年(6.67%)以来の高水準となったが、大企業に比べて業績が改善していない中小企業が要求に応えるのは難しいとの見方も多い。

中小が賃上げ原資を安定的に確保するには、中小企業自身による生産性向上や、サプライチェーン(供給網)全体を通じた取り組みが必要となる。小売業など消費者と接点の多い業種では、価格転嫁を消費者が受け入れることも重要だ。

石破茂政権は「賃上げこそ成長戦略の要」とし、日本を成長型経済に移行させることに意欲を示している。金融政策の正常化を進めている日銀も、賃金動向を重要な判断材料としている。

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