葉物野菜から豆類まで、栄養豊富な植物性食品は、必須ビタミンやミネラルの供給源となる。肉を食物繊維が豊富な野菜や全粒穀物に置き換えることで、腸の健康が改善され、コレステロール値が低下する可能性があると、専門家は言う。(Photograph by Andrea Frazzetta, Nat Geo Image Collection)

葉物野菜から豆類まで、栄養豊富な植物性食品は、必須ビタミンやミネラルの供給源となる。肉を食物繊維が豊富な野菜や全粒穀物に置き換えることで、腸の健康が改善され、コレステロール値が低下する可能性があると、専門家は言う。(Photograph by Andrea Frazzetta, Nat Geo Image Collection)

 健康や環境への配慮、あるいは倫理的な理由から、肉を食べるのを控える人が増えている。最近の研究は、肉を食べないで過ごすと、たとえその期間が数週間、数日、あるいは食事数回分だけだとしても、驚きの変化がもたらされることを示唆している。その効果は、体重の減少や心臓の健康状態の改善から、腸内環境や免疫系への影響まで多岐にわたる。

体重減少と心臓への効果

 肉食を控えたときに最も目立つ効果のひとつは体重の減少だが、重要なのは単に動物性食品を取らないことだけではなく、その代わりに何を食べるかだ。

 高カロリーの肉の代わりに、野菜、豆類、全粒穀物、果物といった食物繊維の豊富な植物性食品を摂取することで、「結果的にカロリーの少ない食品をより多く食べることになります」と、米カリフォルニア大学アーバイン校の登録栄養士で健康科学者のマシュー・ランドリー氏は言う。食物繊維の豊富な食品はまた、満腹感を持続させてくれるため、食べ過ぎを防ぐことにもつながる。

 たとえば、3カ月にわたる追跡調査を行った2018年の研究によると、肉を含む食生活からベジタリアン食に切り替えた人は、体重が約1.8キログラム減少したという。(参考記事:「驚くほど体にいい植物性タンパク質、おすすめの食材や食べ方は」)

磁気共鳴血管撮影法(MRA)によって映し出された心臓周辺の複雑な血管ネットワーク。植物性食品中心の食生活は、血圧を下げ、悪玉コレステロールを減らし、心血管疾患のリスクを下げることで心臓の健康の改善につながることが、研究によって示唆されている。(Photograph by Zephy/Science Photo Library)

磁気共鳴血管撮影法(MRA)によって映し出された心臓周辺の複雑な血管ネットワーク。植物性食品中心の食生活は、血圧を下げ、悪玉コレステロールを減らし、心血管疾患のリスクを下げることで心臓の健康の改善につながることが、研究によって示唆されている。(Photograph by Zephy/Science Photo Library)

 肉食を控えることの恩恵は、体重の減少だけにとどまらない。複数の研究では、ベジタリアン食を6週間以上続けると、心臓病や脳卒中のリスクを下げる重要な要因である血圧の低下が促されることが示されている。

 こうした効果はおそらく、体重の減少に加えて、カリウムやマグネシウムといった血圧を下げる働きを持つミネラルの摂取量が増えることと関連していると考えられると、オーストラリア、シドニー大学で栄養学および健康的な加齢を研究するルイジ・フォンタナ氏は述べている。

 また、ベジタリアン食は血糖値を下げ、2型糖尿病の発症リスクを下げる可能性があるという。

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