2025年3月10日6時0分
オープン戦・阪神対巨人 7回裏阪神無死、前川右京は右前打と右翼手ファンブルで二塁に進み二塁でポーズする(撮影・上山淳一)
<オープン戦:阪神2-8巨人>◇9日◇甲子園
「実証実験」とはいえ、6年ぶりのジェット風船に甲子園はわいた。観衆4万1839人はオープン戦としては実数発表後最多だそう。気温も少し暖かくなり、すてきな野球日和になったはず。そしてスタンドに足を運べなかった虎党はおそらく“岡田節”を堪能したかもしれない。
テレビ中継の解説に登場したのが前監督、現在はオーナー付顧問の岡田彰布だ。テンション高めでビシバシ、指摘していた。中継が終わった後も「もうちょっと見るわ」と、球場内のロビーにあるテレビの前に座っていた。
岡田は本当に野球が、阪神が好きなのだろう。ここは虎番の記事でしっかり読んでいただきたいところ。せんえつながら、ここではその岡田も触れなかったポイントを書いてみたい。
1回、先発・西勇輝が1点を失い、なお2死一、三塁。ここで巨人の6番・中山礼都が左中間へ落ちる安打を放った。三走が生還するのは仕方ないがどよめいたのは一走・大城卓三が三塁まで進んだことだ。
左翼・前川右京が打球を処理、三塁へ投げたがこれが三塁ベンチ方向にそれ、クロスプレーになったもののセーフ。ここで一、二塁にとどめられなかったことが失点を重ねることにつながったかもしれない。
「う~ん。打球が弱かったし、左中間方向だし。送球がそれて、佐藤輝がタッチにいききれなかったね。2死だったし、大城にすれば『いける』と思っていったんだろうけど。カットする距離ではないし、あれは刺してほしい」
外野守備走塁コーチの筒井壮はそう分析した。ちょっとしたプレーだが、その後の展開につながる。左翼のレギュラーを固めたい前川にすればしっかりやりたいところのはず。筒井は「練習でやらせますわ」と言い切った。
西勇が炎上し、打線も振るわず、せっかくの試合も完敗に終わったが、もちろん、オープン戦なので勝敗は関係ない。岡田は「マー君(田中将大)、打てんでよかったやないか。東京ドームで投げてきよるで」とも言った。3カード目に当たる巨人戦で投げてくれば、そのときは打てるはずという意味だろう。
そうなればいいが、いずれにせよ、大事なのは細かいプレーをしっかりとこなし、ピンチを未然に防ぐことだ。指揮官が代わっても勝負には避けて通れない部分だと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)
阪神対巨人 7回裏阪神無死一塁、前川は右前打を放つ(撮影・加藤哉)
オープン戦・阪神対巨人 7回裏阪神無死、前川は右前打を放つ(撮影・上山淳一)
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