スイスのチョコレートメーカーからドイツの自動車部品メーカーまで、欧州企業は4日に明白な現実となった米国の貿易関税に適応するための「プランB」を準備している。写真はリンツ&シュプルングリー(スイス)のチョコレート。2020年3月撮影(2025年 ロイター/Arnd Wiegmann)
[ロンドン 4日 ロイター] – スイスのチョコレートメーカーからドイツの自動車部品メーカーまで、欧州企業は4日に明白な現実となった米国の貿易関税に適応するための「プランB」を準備している。来月には特に欧州を標的とした第2弾の集中砲火が予想されるためだ。
トランプ米政権は4日未明、メキシコとカナダからの輸入品に25%の新たな関税を課した。さらに中国製品への追加関税を2倍の20%に引き上げる措置を発動した。 もっと見る
欧州企業は今のところ対象外だが、トランプ米大統領は欧州の自動車などに対する25%の「相互関税」を提案しているため、4月には欧州連合を標的とした第2弾の関税集中砲火に直面する可能性がある。
米国内に複数の工場を持つスイスのチョコレートメーカー、リンツ&シュプルングリー(LISN.S), opens new tabは、トランプ関税の影響を避けるため、カナダからの供給を減らし、米工場へのサプライチェーンを欧州に移す可能性がある。アダルベルト・レヒナー最高経営責任者(CEO)は「現在カナダ向けに調達している量は全て欧州に移すことができる」としている。一方、ドイツのタイヤ・自動車部品メーカー、コンチネンタルAG(CONG.DE), opens new tabのオラフ・シック最高財務責任者(CFO)は「この関税問題が生産ラインの移転につながるかどうかはまだ分からない」と述べたが、同社はメキシコに持つ7工場のうち1つの閉鎖を決めている。「われわれは追加関税を吸収することはできないという立場だ。サプライヤーに関しては、通常は現地で調達している」と語った。
欧州企業はまだ関税の直接の標的にはなっていないが、4月初旬に自動車をはじめとする輸出品に関税が課される懸念はますます高まっている。
イタリアの農業ロビー団体CIAのクリスティアーノ・フィニ会長は、欧州に対する関税の可能性はイタリアの食品業界に「数十億ドルの損害」をもたらし、パルマハムからプロセッコ・スパークリングワインに至るまで幅広い生産者に打撃を与える可能性があると述べた。
欧州の首脳らは米国の関税の脅威に対し、団結して強気な姿勢を取る構えだが、アナリストらは、貿易戦争が欧州の経済成長見通しに打撃を与えるのではないかと懸念している。
ドイツのハーベック経済相は「交渉による解決策を見つけるために米国政府と協力するという欧州委員会のアプローチを支持する」としながらも、「欧州連合(EU)は屈服しない。トランプ大統領がEU製品に関税を課すなら、われわれは団結して自信を持って対応するだろう」との立場を示した。
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