トランプ米大統領は3日、日本と中国が通貨安政策を取るなら米国は「不当に不利な立場に置かれる」と述べるとともに、そのような場合、関税措置を講じる可能性を示唆した。日本を名指しした発言を受け、円は対米ドルで上昇した。

  トランプ氏はホワイトハウスのイベントで発言したもので、円はニューヨーク時間3日の取引で一時1ドル=149円11銭とこの日の高値を付けた。米国株が売られ、安全資産として円の魅力が高まった。

  トランプ氏は暗号資産(仮想通貨)の戦略準備に関して演説後に記者団の質問に答え、日本が円を押し下げて、中国が元を押し下げれば、「われわれは極めて不当に不利な立場に置かれる」と指摘した。ブルームバーグ・ガバメントが伝えた。

  具体的には鉱業・建設機械大手の米キャタピラーに言及し、日本や中国などの国々が自国通貨を押し下げれば、米国でトラクターを製造するのは「とても困難になる」とコメントした。

  その上で、中国の習近平国家主席や「日本の首脳」に電話し、米国にとって不公平であることを理由に、「通貨を押し下げ続けることはできないと話した」とし、ラトニック商務長官に対し「関税率をやや引き上げなければならなくなるだろうと、私から言う必要が生じる」と語った。

  また、習主席や他国の指導者に何度も電話をかけて、こうした国々が自国通貨を押し下げている点を何度も指摘してきたと主張し、そうする代わりに「これを非常に簡単に解決する方法は関税だ」と述べ、「彼らがそうするなら、われわれは関税で埋め合わせる」と話した。イベントにはラトニック氏も同席した。

  一方、トランプ氏が中国からの輸入品に対する関税率を現行の2倍の20%とする措置に署名したとのホワイトハウスの発表を受け、中国のオフショア人民元は対ドルで下落し、一時0.2%安の1ドル=7.3067元とこの日の安値を付けた。

  このほか、トランプ氏がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を新たに課す方針をあらためて確認したことを受け、カナダ・ドルとメキシコ・ペソも対米ドルで下落。カナダ・ドルは一時0.5%安の1米ドル=1.453カナダ・ドル、メキシコ・ペソは0.9%安の1米ドル=20.75ペソで取引された。

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  他方、ホンダが米関税を回避するため、次期「シビック」のハイブリッド(HV)モデルの生産をメキシコではなく、米インディアナ州で行う方針だと報じられたことに関する質問に、トランプ氏は今後4年間で米国内に5000億ドル(約74兆7000億円)を投資する計画を発表した米アップルにも言及した上で、「素晴らしいことだ」と評価。「われわれが今目の当たりにしているようなことを米国がこれまでに経験したことはないだろう」と語った。

  トランプ氏は最後に、「米国につけ込もうとすれば、それは非常に高く付くことになる」と発言。「この国に来て、われわれの資金や雇用を盗み、工場や事業を奪うなら罰せられないはずがない。関税によって罰せられることになる」とも述べた。

原題:President Donald J. Trump delivers remarks on U.S. Strategic Reserve of Cryptocurrencies, sked FINAL、Trump Says Japan, China Put US at Disadvantage When Weakening FX、China’s Yuan Hits Daily Low, Japan’s Yen Climbs Amid US Tariffs、Canada, Mexico Currencies Drop as Trump Confirms Tariffs (1)(抜粋)

(トランプ氏の発言を追加して更新します)

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