米ISM製造業景気指数、2月50.3に低下 支払い価格は急上昇

米供給管理協会(ISM)が3日発表した2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3だった。写真は2024年3月、米オハイオ州コロンバスの工場で撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン 3日 ロイター] – 米供給管理協会(ISM)が3日発表した2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は低下したものの、拡大・縮小の分岐点となる50を超える水準にとどまった。ただ、支払い価格指数が約3年半ぶりの水準に上昇し、トランプ米政権が掲げる関税措置が近い将来に生産活動の重しになる可能性が示唆された。

製造業PMIは50.3。前月の50.9から低下し、ロイターがまとめた市場予想の50.6も下回った。前月に2022年10月以来初めて50を超えていた。

構成指数では、支払い価格が62.4と、前月の54.9から大きく上昇。22年6月以来の高水準となり、エコノミスト予想の55.8も上回った。

供給業者の納入を示す指数は、54.5と、前月の50.9から上昇。50を超えると納入が遅くなっていることを示す。

先行指標となる新規受注は48.6と、前月の55.1から低下。

雇用は47.6に低下。前月は50.3と、24年5月以来、初めて拡大していた。

米国が3月4日からメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課し、中国からの輸入品に10%の関税を上乗せする見通しについて、アナリストは、メキシコとカナダで生産した車両を米国で販売する米国の自動車メーカーやその他の企業にとって、経済的打撃となると警告。

ISMの調査でも、トランプ政権が掲げるカナダ、メキシコ、中国などの貿易相手国に課す関税措置により事業環境の先行きが不透明になると多くの企業が指摘するなど、 輸入関税に対する懸念が多く寄せられた。

ISM製造業景況調査委員会のティモシー・フィオーレ委員長は「サプライヤーが困難に直面し始めている初期の兆候が出ている」と指摘。「事業環境の不透明感が高まる中、調査対象企業は引き続き人員削減を進めている」と述べた。

サンタンデール・USキャピタル・マーケッツの米国チーフエコノミスト、スティーブン・スタンレー氏は「関税措置で製造業に及ぶ影響は、経済全体への影響よりも明らかに大きくなる。急激な関税引き上げは明らかに経済にとってマイナスで、先行きが不透明になっていることで状況が一段と悪化している」と指摘。

キャピタル・エコノミクスの北米担当エコノミスト、トーマス・ライアン氏は、支払い価格指数の上昇について「モノの価格上昇で、下半期にコアインフレが再燃するというわれわれの見方が裏付けられた」と述べた。

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