子ども服のナルミヤ・インターナショナルが2000年代の失速を経て復活している。どこに強みがあるのか。國京紘宇社長は「石井稔晃前社長が『私たちの商売はアパレル+ファッションである』という基本に立ち返らせて、ビジネスモデルを再構築してくれた。今は、その土台からブラッシュアップしていった結果が表れてきている」という――。
キャラクターブームの急失速と上場廃止
――2024年2月期の決算では、連結売上高と営業利益ともに過去最高益を記録しました。2000年代の急失速から復活した要因は?
【代表取締役執行役員社長・國京紘宇氏(以降、國京)】私がこの会社に入る前の2000年代前半、ナルミヤブランドのキャラクターがマクドナルドのハッピーセットのおまけになっていて、「アパレルのキャラクターなのにすごい」と思って見ていまして。当時私は、ユージン(現・タカラトミーアーツ)でガチャガチャなどのキャラクタービジネスに携わっていたんです。
撮影=今村拓馬
ナルミヤ・インターナショナルの國京紘宇社長
しかしその後、キャラクターブームが急失速し、ナルミヤは上場廃止に追い込まれました。当時の人気の落ち込み方を外から見ていて、どこか中途半端さを感じましてね。たとえばサンリオなら、まずキャラクターがいてその関連グッズが売れるわけですが、ナルミヤの場合、キャラクターがファッションの付属になっていた気がして、それが失速の原因のひとつだったのではないかと思ったんです。
その後、石井稔晃前社長が百貨店中心だったブランドをショッピングセンター向けに新たに立ち上げて軌道に乗せ、ECチャネルにも乗り出しました。ここで、「マルチチャネル」「マルチブランド」の土台ができたのです。そして2018年に東証に再上場し、2022年にワールドの子会社となりました。
画像=ナルミヤ・インターナショナルプレスリリース
2000年代に一世を風靡したジュニアアパレルブランド、「エンジェルブルー」「メゾピアノ ジュニア」「ポンポネット ジュニア」「デイジーラヴァーズ」の人気キャラクターたち
”推し活”はベビー・キッズ服にも当てはまる
――「マルチチャネル」「マルチブランド」によって復活の土台ができたと。
【國京】「もともと何屋さんだったっけ?」という軸のブレが出てきたところで失速していきましたが、石井前社長が、「私たちの商売はアパレル+ファッションである」という基本に立ち返らせて、ビジネスモデルを再構築してくれました。今は、その土台を着実にブラッシュアップしていった結果が表れているのだと思います。
――最近の子ども服市場の特徴は?
【國京】ベビー・キッズで言うと、購買行動は子ども主体でなく、お母さん・お父さんになります。つまり、ご両親のインサイトをいかに掴むかが重要になるわけですが、今のマーケットの主流である“推し活”は、ベビー・キッズ服にも当てはまると思います。
「好きなタレントやアニメのキャラをもっと皆に知ってもらいたい」「スターに押し上げたい」とお金を使うのが推し活ですが、ママ・パパの“推し”は何より自分の子どもです。そう考えた時、同じような洋服でも、弊社のベビー・キッズ向けブランド「プティマイン」を着ると他の子よりちょっとかわいく見えるということが、購買行動につながっていくんです。
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