アルゼンチンのミレイ大統領が14日にソーシャルメディアで言及したミームコイン「リブラ」を保有する暗号資産(仮想通貨)トレーダーの86%が損失を被ったと推定される。ブロックチェーン調査会社ナンセンのリポートで分かった。
それによると、リブラ絡みの損失額は推計2億5100万ドル(約380億円)。一方、少数のトレーダーが合わせて1億8000万ドルの利益を得たもようだ。
ミレイ大統領は14日夜に自身のSNSアカウントで数百万人のフォロワーにリブラを紹介。これを受け、リブラの相場は数時間で4倍強に急伸したが、その後急落し、買い手に大きな損失を与えた。この騒動でミレイ氏に対する信頼感は大きく低下したが、同氏は不正行為を否定している。
ナンセンはリポートで、リブラを巡る勝ち組と負け組を分析。1000ドルを超える利益ないし損失を出した仮想通貨ウォレット1万5000余りが調査対象となった。
同社のニコライ・ソンダーガード氏はリポートで、「『インサイダー』グループが一方的に利益を得たことを示す、極めて明白なブロックチェーン上の証拠がある」と指摘した。
この問題は、リブラなど数万のミームコインの発行基盤である「ソラナ」ブロックチェーンの先行きに関する懸念にもつながった。
ブロックチェーンと同名のトークン、ソラナは18日に昨年11月以来の安値を記録。14日夜からの下落率は約20%に達した。ナンセンが引用した分析プラットフォーム、ディーファイラマのデータによれば、ソラナの市場価値は121億ドルから82億9000万ドルに急減した。
ナンセンは「投資家はミームコインの今後の発行や取引について考えを巡らせている公算が大きい」とみている。
原題:Javier Milei’s Crypto Scandal Led to Losses for 86% of Traders(抜粋)
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