電気自動車(EV)大手米テスラの販売台数は、1月にドイツで59%減少した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を明言していることが影響した可能性がある。

  独連邦自動車交通局によると、1月に国内で新規登録されたテスラ車はわずか1277台と、2021年7月以来の低水準にとどまった。EV全体では同月54%増だったことから、テスラは大幅にシェアを失ったことになる。

Tesla Germany Sales Plunge to Lowest in Years

EV maker registered only 1,277 cars in January

Source: Federal Motor Transport Authority (KBA)

  テスラの販売台数は英国とフランスでも減少した。マスク氏はAfDのワイデル共同代表を支持し、英国のスターマー首相と労働党政権を批判した。欧州連合(EU)に追加関税を課す可能性を示唆しているトランプ米大統領の政権内で、マスク氏は要職に就いてもいる。

  ドイツで今月行われる総選挙を前に、マスク氏はワイデル氏との討論会を所有するX(旧ツイッター)で生中継した。無報酬でAfDの宣伝を行ったも同然だ。1月下旬に開かれた党集会にバーチャル出演した際には、マスク氏はドイツ国民に自国の文化を誇りに思うよう促し、「過去の罪悪感にとらわれ過ぎている」と発言した。第2次世界大戦中にナチス政権下で行われた残虐行為に言及したとみられる。

  この発言はアウシュビッツ強制収容所の解放から80周年を迎える直前に発せられたもので、過去との向き合い方が戦後のアイデンティティーの中心となっているドイツでは、強い怒りが噴出した。

Tesla Sales Slump in France

Registrations fell in January to lowest since August 2022

Source: La Plateforme Automobile

  テスラの販売台数は1月、EUで2番目に大きいEV市場のフランスで63%、英国で12%落ち込んだ。マスク氏の政治的発言に加え、人気車種「モデルY」の再設計に伴い、生産が数週間遅れていることや、一部での在庫不足も影響しているとみられる。

関連記事:テスラ、フランスで深刻な販売不振-カリフォルニアでも苦戦 (1)

原題:Tesla Sales Plunge 59% in Germany to Lowest Level in Years (1) (抜粋)

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