グーグルはブラジルでのベータテストを経て、Androidスマートフォン向けの盗難保護機能を広く提供し始めた。ただし、この機能を利用するにはユーザー自身で有効化する必要がある。

なぜグーグルはすべての対応デバイスにこの機能を自動で追加しないのか? ブラジルでのベータテストで得た知見が、同社の開発者たちがこの決定を下す上での判断材料となった。「都市部と地方では、ユーザーの行動が大きく異なることがわかりました」と、グーグルでAndroidのセキュリティとプライバシーを担当するプロダクトマネージャー、ジャイニング・サンドラ・グオは語る。盗難保護機能に関心が薄いユーザーに余計な負担をかけたくないとグオは考えているのだ。

現在、多くのAndroidユーザーが利用できる盗難保護機能には「盗難検出ロック」、「オフライン デバイスロック」、「リモートロック」の3つがある。これらの機能をAndroidスマートフォンで使いたい人のために、 この記事ではAIを使用した盗難検知の仕組みと、各機能を有効にする手順を説明する。

Androidの盗難保護機能の仕組み

デバイスの盗難には暴力的な動きや突発的で激しい動きを伴うことが多いので、グオはグーグルのアクティビティ検知チームに助言を求めた。このチームは、グーグルのスマートフォンシリーズ「Pixel」で利用できる自動車事故検出機能など、今回の盗難検知機能と似た特徴をもつ機能の開発にとり組んでいる。

「基本的な仕組みとしては、まずモーションセンサーによる検知から始まります」とグオは説明する。しかし、急な動きだけに焦点を当てた方法では誤検知が多発し、ユーザーはこの機能を有益どころかわずらわしいものと感じる可能性がある。そこで、この機能ではパターン認識に特化したAI技術のひとつである機械学習を活用している。

グーグルの開発者たちは、世界各地で使われているスマートフォンの盗難の手口を調査し、訓練データを収集するために盗難時の状況を再現した。「盗難が起きたときの状況を再現し、デバイスに残る痕跡を収集しました」とグオは語る。「その痕跡をAIでモデル化し、盗難が発生しそうな状況を予測しようとしています」。Android搭載端末では、この処理はデバイス内で実行される。

このAIモデルは完成されたものではなく、窃盗犯が手口を変えるたびにスマートフォンが盗難された状況に関する新たな訓練データを追加する予定だという。また、これらの盗難保護機能を世界中で展開することで、さまざまなスマートフォンユーザーがこれらの機能をどのように利用するのかについて、詳しい情報を得られるようになる。

この機能を有効にする方法

まず、手持ちのスマートフォンに最新のAndroid OSが搭載されているかを確認しよう。これら3つの機能を使うには、OSのバージョンが少なくとも「Android 10」以上である必要がある。最新の「Android 15」では、より多くのセキュリティ機能が利用可能だ。最初の手順だが、まだ設定していない場合はプライバシー設定からパスコードを追加しよう。

次に、スマートフォンの「設定」アイコンから「盗難保護」の項目を探す。このタブを開くと、3つの画面ロックによる保護機能が表示される。「スマートフォンのロックを解除できる人物を端末の正当な所有者とみなすことが一般的です」とグオは話す。従って、画面ロックを有効にする方法を増やすことで、ロックが解除された状態で端末を奪われた場合の保護を強化できるというわけだ。「盗難検出ロック」を有効にすると、動きのパターンやWi-FiおよびBluetoothの接続状況を基に盗難の可能性を検知し、画面が自動でロックされる。

WACOCA: People, Life, Style.