画像集 No.001のサムネイル画像 / RTX 5090/5080に対応する「GeForce 572.16 Driver」が登場。RTX 40以前でも利用できる新機能も追加

 米国時間2025年1月30日,NVIDIAは,公式最新版グラフィックスドライバ「GeForce 572.16 Driver」をリリースした。WHQL(Windows Hardware Quality Labs,ウィクル)通過版となる本バージョンは,新世代のGPUとなる「GeForce RTX 5090」および「GeForce RTX 5080」に対応したドライバだ。

 GeForce RTX 50シリーズでは,GPUがレンダリングしたフレームをもとに,補間フレームを複数枚生成してフレームレートを大幅に向上させる「DLSS 4」に対応しているのが特徴だ。DLSS 4は,対応ゲームで利用できるだけでなく,「NVIDIA App」に加わった「DLSSオーバーライド」(後述)を利用することで,既存のDLSS 3対応ゲームのうち,75タイトル以上で利用できるという。

 DLSS 4は,GeForce RTX 50シリーズの新機能なので,GeForce RTX 40シリーズ以前のGPUを利用しているゲーマーには恩恵がない。しかしNVIDIAは,GeForce RTX 50シリーズ発売に合わせて,既存技術にもアップデートを実施している。
 具体的には,DLSSにおいて超解像化を行うAIモデルや,アンチエイリアシング技術「Deep-Learning Anti-Aliasing」(DLAA)のAIモデルをアップデートしたほか,「DLSS 3.5」に含まれるレイトレーシングの高画質化技術「Ray Reconstruction」(レイの再構成)をアップデートして,安定性や性能が向上したとのことだ。
 これらのアップデートは,GeForce RTX 20シリーズ以降のGPUで利用できる。GPUの世代とアップデートされた技術の対応は,以下の表が分かりやすいだろう。

GeForce 572.16 Driverでアップデートされた機能の対応表

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 表で「Enhanced」とあるのは,アップデートされた既存技術だ。「New」の「DLSS Multi Frame Generation」はGeForce RTX 50専用である。なお,「DLSS Super Resolution」とDLAAの新しいAIモデルは,「Beta」となっていた。

 アップデートされた技術は,デフォルトでは無効になっており,NVIDIA Appの「ドライバ設定」に加わった「DLSSオーバーライド」機能を使って,ゲームタイトルごとにユーザーが有効化する必要がある。ゲーム側がアップデートされた技術に対応すれば,DLSSオーバーライドを設定する必要もなくなると思うが,現時点では,多くのタイトルがDLSSオーバーライドを使わないと新技術に切り替わらないことに注意が必要だ。

 DLSSオーバーライドには,「モデルプリセット」「フレーム生成」「Super Resolution」の3つの設定がある。先述のとおり,フレーム生成はGeForce RTX 50シリーズ専用なので,それ以外のGPUでは,グレーアウトしていて設定できない。

DLSSオーバーライドの設定項目(※赤枠内)

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 モデルプリセットは,フレーム生成やレイの再構成,Super Resolution(超解像)などで利用するAIモデルを選択する設定だ。それぞれを「最新」に切り替えると,アップデートされたAIモデルが利用できる。
モデルプリセットの例。一括と個別の設定があり,最新のモデル(=技術)を選択できる

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 一方のSuper Resolutionは,超解像に使用するアンチエイリアシング技術を選択する設定で,「DLAA」「ウルトラパフォーマンス」をオーバーライドできる仕様だった。
Super Resolutionの設定

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 GeForce RTX 50シリーズでは,GeForce 572.16 Driverと新しいNVIDIA Appの組み合わせにより,以下の機能も利用できるようになった。
AIベースのフレーム生成を利用して,DLSS 3非対応のDirectX 11/12世代ゲームのフレームレートを向上させる「Smooth Motion」
AIベースの実況配信ソフト「NVIDIA Broadcast」に,第5世代Tensor Coreを試用した新しいAIエフェクト

 Smooth Motionは,Radeonシリーズにおける「AFMF 2」のようなものだろう。

 GeForce RTX 50シリーズの新技術に対応するゲームタイトルのアップデートも発表になっている。GeForce 572.16 Driverがサポートする主なタイトルと,アップデートにより新たに対応した技術は以下のとおりだ。

 Alan Wake 2やCyberpunk 2077では,DLSS 4やRay Reconstructionといった技術を用いることで,既存技術でレイトレーシングを行った場合と比べて,約9倍ものフレームレートを実現していると,NVIDIAはアピールしている。また,インディ・ジョーンズ/大いなる円環では,新技術対応に加えて,髪のリアルな表現を行う「RTX Hair」のアップデートも同時に行われているそうだ。

 以上がGeForce RTX 50シリーズと,それに合わせて更新された機能に関する主な内容だが,ドライバアップデートでは恒例の,新作ゲームへの対応もGeForce 572.16 Driverで行われている。

 Marvel’s Spider-Man 2は,DLSS 3のフレーム生成やDLSS 3.5のRay Reconstruction,DLAA,そしてシステム内部遅延を低減する「NVIDIA Reflex」に対応するそうだ。一方のKingdom Come: Deliverance IIは,DLSSに対応しているという。

 GeForce RTX 50シリーズのみの新機能と,既存GPUでも利用できる技術のアップデートが入り乱れて少し分かりにくいかもしれないが,GeForce 572.16 Driverは,GeForce RTX 50シリーズのみ恩恵が受けられるドライバというわけではないので,アップデートしておく価値があるだろう。なお,NVIDIA Appも同時にアップデートしておかないと,新しい機能が利用できないので注意していただきたい。

GeForce GTX 1000/900/700のサポート終了が見えてきた?

 もうひとつ,古い世代のGPUを利用しているユーザーには若干気になる話だが,GeForce 572.16 DriverはRelease 570世代として,新たにCUDA 12.8をサポートした。そのCUDA 12.8のリリースノートにおいて,NVIDIAは,Maxwell,Pascal,Volta世代に対しては,より新しいバージョンのCUDAを提供しない予定であることを明らかにした(※当該リンクの1.5.1. Deprecated Architectures)。

 つまり,GeForce GTX 1000/900/700シリーズに対しては,CUDA 12.9以降が提供されない可能性が高い。ドライバの提供とCUDAの提供は直接的には関係ないが,ドライバのメジャーリリースナンバーと,CUDAのバージョンがリンクしているのも確かだ。つまり,GeForce GTX 1000/900/700シリーズへの新ドライバの提供が,遠からず止まる可能性が見えてきたという印象だ。

 ちなみに,Linux向けのオープンソース化されたカーネルドライバでは,一足先にMaxwell世代GPUのサポートが終了しており,GeForce GTX世代GPUは,サポートの終りが近づいているようだった。GeForce GTX 1000世代は,現役で利用しているゲーマーも少なくないと思うが,そろそろ新世代のGPUへの移行を考えてもいいかもしれない。

 GeForce Driverをすぐにでも入手したい人は,以下に示したリンクか,NVIDIA App(あるいはGeForce Experience)のアップデート機能を利用してほしい。

→Windows 11,64bit版Windows 10用GeForce 572.16 Driver(844.56 MB)
https://www.nvidia.com/ja-jp/drivers/details/240791/
→ノートPC向けのWindows 11,64bit版Windows 10用GeForce 572.16 Driver(844.56 MB)
https://www.nvidia.com/ja-jp/drivers/details/240823/

●GeForce 572.16 Driverの対応製品

デスクトップPC向けGeForce RTX 50シリーズ
デスクトップPC向けGeForce RTX 40シリーズ
デスクトップPC向けGeForce RTX 30シリーズ
デスクトップPC向けGeForce RTX 20シリーズ
デスクトップPC向けGeForce GTX 16シリーズ
デスクトップPC向けGeForce GTX 10シリーズ
NVIDIA TITAN RTX
NVIDIA TITAN V
NVIDIA TITAN Xp
NVIDIA TITAN Xシリーズ
デスクトップPC向けGeForce GTX TITAN X
デスクトップPC向けGeForce GTX 900〜700シリーズ
ノートPC向けGeForce RTX 40シリーズ
ノートPC向けGeForce RTX 30シリーズ
ノートPC向けGeForce RTX 20シリーズ
ノートPC向けGeForce GTX 16シリーズ
ノートPC向けGeForce GTX 10シリーズ
ノートPC向けGeForce 900M〜800Mシリーズ
ノートPC向けGeForce MX 500シリーズ
ノートPC向けGeForce MX 400シリーズ
ノートPC向けGeForce MX 300シリーズ
ノートPC向けGeForce MX 200〜110シリーズ

●GeForce 572.16 Driverが統合するソフト(※比較対象はGeForce 566.36 Driver)

HD Audio Driver:1.4.3.2(←1.4.2.6)
PhysX System Software:9.23.1019
CUDA:12.8(←12.7)
NVIDIA Control Panel(DCH):8.1.967.0(←8.1.966.0)

●GeForce 572.16 Driverの新要素

Alan Wake 2,Cyberpunk 2077,Star Wars Outlaws,インディ・ジョーンズ/大いなる円環,ホグワーツ・レガシーのGeForce RTX 50シリーズ向けアップデートに対応
Marvel’s Spider-Man 2,Kingdom Come: Deliverance IIに対応
G-SYNC Compatible Displaysに19機種を追加。詳細は公式Webページを参照のこと
NVIDIA Appの最適化に6タイトルを追加
CUDA 12.8に対応

●GeForce 572.16 Driverで解決した問題

G-SYNC対応ディスプレイ使用時に,フレームレートが60fpsを下回るとチラツキが発生することのあった問題
G-SYNC対応ディスプレイ使用時に,インディ・ジョーンズ/大いなる円環でV-SYNCをオフにすると,小さなカクつき(スタッタ)が発生することのあった問題
Ubisoft games製ゲームエンジン「Snowdrop」における安定性を改善
情報整理アプリ「Evernote」,テンセント製メッセージングアプリ「QQ」,ASUSTeK Computer製PC設定ツール「Armoury Crate」において,CPU使用率が本来よりも高く表示されることのあった問題
Luxion製3Dレンダリングソフトウェア「KeyShot 2024」において,カメラ機能からアニメーションのキーフレームをロードすると,Video TDRエラーが発生することのあった問題

●GeForce 572.16 Driverにおける既知の不具合

通知エリアにあるGPUアクティビティアイコンの状態が,PCを再起動するまで変わらないことがある
Blackwell世代のGPUにおいて,3Dレンダラ「V-Ray 6」の「CUDA Vpath Test」の結果が予想より低いことがある

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