イエメンのフーシ派が紅海の要衝で米英船舶への攻撃を停止すると述べているにもかかわらず、国内海運大手の一角を占める商船三井は、自社の船舶を再び紅海に通す準備がまだできていない。

  商船三井はその決定を少なくとも数週間、おそらく数カ月は先延ばしにするだろうと、橋本剛社長は世界経済フォーラムが開かれるスイスのダボスでのインタビューで述べた。

Mitsui OSK Lines CEO Takeshi Hashimoto Interview

商船三井の橋本社長

Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg

  フーシ派はハマスによるイスラエルへの攻撃を受けて2023年10月に始まったイスラエルのガザ地区への攻撃を停止するよう要求。反政府武装勢力による安全上のリスクを念頭に多くのコンテナ船は紅海とスエズ運河の航路を避けていた。

  先週、イスラエルとハマスはガザ地区での戦闘の一時停止に合意し、フーシ派は米国と英国の船は紅海の航路を安全に航行できると言明。約1年前に紅海を航行中にフーシ派によって乗っ取られていた日本郵船がチャーターしていた自動車輸送船の乗組員を解放したと発表していた。

  しかし、世界中の船主は警戒を続けている。「中東では依然として多くのことが起こっており、注意深く見守っている」。橋本氏はこう述べ、同社が輸送を再開する時期については「まだ何とも言えない」と付け加えた。

  フーシ派の攻撃により、多くの荷主が喜望峰経由でアフリカを迂回(うかい)するようになったことで世界の輸送能力が圧迫され、コンテナ運賃が上昇した。

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