2007年04月12日の日記
「はい、オタクで気持ち悪くてゴメンなさい…。」
僕が勇気を出して、初めての告白をした時の話です。あ、すいません。聞きたくなかったら聞かなくて良いです。たいした話じゃありませんから。
忘れもしません。当時の僕はアニメが大好きな、世に言うオタクでした。あ、それは今も変わりませんが…はは。それでですね、そんな僕でも恋をしたりしました。
話すと長くなるのですが、実は初恋は水野亜美さんでした。でもそれは現実ではなく物語の中の方なので、またの機会にお話ししますね、はい。
で、ですね、とにかくアニメが大好きな僕は林原めぐみさんや、久川綾さんなんかにとても憧れていたんです。そして描いた夢はズバリ、声優になる事、だったんです。
すいません、今考えるととても無謀で頭の悪い奴でしたね。でも、当時は真剣だったんです。そして高校を出て直ぐに声優の専門学校に通ったんです。
よりによってその学校は原宿にあったんですよ、とほほ。と言いますのも僕はオシャレとかに無頓着で、そういった場所はとにかく苦手で…。地元の1番開けてる街に行くのも辛かった位ですから。
とにかく頑張って通ったんですよ。声優になりたい一心で。そして、いつも行き帰りに通るファーストフードの店員の女の子に恋してしまったんですよ。なんか頑張ってる元気な姿に惹かれたと言いますか…。
そんなある日、学校でたまに話す位の女友達もそこでバイトをしていると言う事で、気になるあの娘の事を詳しく聞いたんですよ。そしたら紹介してくれる事に。とんとん拍子で話が進み浮かれてる僕がいました。
今考えたら、もっと冷静になれたら良かったんですよね。でも彼女と仲良くなる事しか考えてない僕の耳には、友人の注意なんか何も聞こえてませんでした。
そして、紹介してくれる女友達と僕と彼女の三人で会う事になったんです。とても緊張して眠れない日々を過ごしましたよ。胃がキリキリして口から出てきそうでした。
ついに当日です、はい。三人で近くの喫茶店に行きました。僕は何を血迷ったか、耳を真っ赤にしながら思わず「前から好きでしたっ。」と、告白してしまったんです。
言ってから、事の重大さに気付きました。それから何秒位経ったでしょうか。体感では二分位でしたが、実際は二十秒位だったと思います。心臓の音だけが脳に響いてました。
「お前さ、オタク学校に通ってる気持ち悪いオタクだよな?」え、え?そんな言葉遣いで、そんな酷い表現を…?一瞬、自分の耳を疑いました。
「おい、聞いてるのかよ?そんなにキモい癖に、私に告白?は?空気読めよ。」嘘ですよね?あの天使みたいな笑顔のあの娘が、こんなに口の悪い…!?
「気持ち悪いな。オタクでごめんなさいって、私に謝れよ!」
その後の記憶は少し抜けてます。気付いたら代々木公園の噴水で顔を洗ってました。泣きながら、涙を隠す為に汚い噴水の水でひたすら顔を洗ってました…。
頭の中ではエンドレスで「振り向くなアムロー、オー。男は涙を、見せぬもの、見せぬものー。」と大好きな曲が流れていました。
女の子に初めて告白した日に、女の子の本性を初めて知りました。僕はアニメを見て夢だけ見ていれば良かったんだ、僕が身の程知らずで恋なんかするからっ!僕の馬鹿っ、馬鹿っ、馬鹿っ!
それから、僕は二度と恋をする事はありませんでした。正確には現実では。その代わり、僕は夢の中で沢山恋をしました。アニメやゲームやマンガに出てくる彼女達と。
あれから十年経った今、僕はとても幸福です。一生懸命働いたお金で、半月に一度DVDやコミックや同人誌やゲームなんかを買い漁りに秋葉原に行きます。そして部屋に帰り夢を見ます。
ゲーマーズ、アニメイト、虎の穴。ソフマップに石丸電気。前だけ見てれば良いんだ。前だけ。ぶつぶつ…。僕を悪く言う奴は…。ぶつぶつ…。皆死ねば…。
ふん、ふん、ふん、猫耳、絶対領域、ツインテール。全ては僕の思い通り…。ふふふ、萌えるね。ふふふ、もう傷付く必要なんか無いんだよね…。ふふふ…、ふふ…。
『小さな恋のメモリー~想い出は上書き保存~終劇』
※この物語はフィクションです。実在の人物や物語は出てきてますが。ちゃんちゃん(笑)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=401629655&owner_id=2066604
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