<為替> ドル指数が約2年ぶりの高値を付けた。ドルは年間べースでほぼ全ての主要通貨に対して上昇。米連邦準備理事会(FRB)が金利を高水準に維持するとの見通しがドルの支援要因となっている。

アクション・エコノミクスのアナリストは、地政学リスクを背景に他の国で成長懸念が高まっていることがドル高を後押ししていると指摘。ただ新年を控え、この日の商いは薄かった。

主要通貨の中で、円は今年最も大きく下落した通貨の一つ。年間ベースでは円は対ドルで11.5%下落し、4年連続での下落となった。日米金利差を背景に円が売られやすい展開になっている。

終盤の取引でドル/円は0.29%高の157.28円。

トランプ次期米大統領が導入すると予想される関税などの政策で物価上昇圧力が高まるとの見方から、米国債利回りが上昇。このこともドル高要因になっている。

終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.41%高の108.49。一時は108.58と、2022年11月以来の高値を付けた。年初からの上昇率は7.0%。

ユーロ/ドルは0.52%安の1.0353ドル。年初からは6.2%下落した。欧州中央銀行(ECB)はFRBよりも大きく利下げするとの見方が出ている。

ポンド/ドルは0.34%安の1.2508ドル。年初からは1.6%下落した。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは2.07%高の9万3824ドル。17日に10万8379.28ドルと、過去最高値を更新。年初からは121%急伸した。

NY外為市場:

<債券> 薄商いの中、国債利回りが上昇した。当初は利回りは低下していたが、年明けに発足するトランプ政権がもたらす変化を見極める動きが出る中、方向感を欠く取引となった。一部市場関係者は、来年は市場の変動が大きくなるリスクがあると指摘している。

この日は年末にあたり午後2時までの短縮取引だった。終盤の取引で10年債利回りは3.4ベーシスポイント(bp)上昇の4.579%。

年初からは60bpを超えて上昇し、年間の上昇幅としては2年ぶりの大きさとなる。今年の最高水準は4月に付けた4.7390%だった。

アポロ・グローバル・マネジメント(ニューヨーク)のチーフエコノミスト兼パートナー、トーステン・スロク氏は、タームプレミアム(米国債の保有期間に応じた金利の上乗せ分)は過去3カ月で75bp上昇したと指摘。

「このことは、10年債利回りは米連邦準備理事会(FRB)を巡る見通しの変化で正当化できる範囲を75bp超えて上昇していると言い換えることができる」とし、市場で米国の財政持続可能性に対する懸念が高まっていることを反映している可能性があると述べた。

その上で「FRBのリバースレポ利用の大幅な減少のほか、2024年に発行が大幅に増加した短期証券(Tビル)が長期債にロールオーバーされる必要があることを踏まえると、25年に金利市場の変動性が高まるリスクが上昇している」と指摘した。

この日の取引で2年債利回りはほぼ横ばいの4.252%。一時は4.217%と、約2週間ぶりの低水準を付けていた。

金利見通しを敏感に反映しやすい2年債利回りは年初からは約7bp低下している。

2年債と10年債利回り差は一時34.3bpと、2022年5月以来の水準に拡大した。終盤の取引では32.9bp。

利下げ局面では短期金利の上昇が抑制される傾向があるため、イールドカーブはスティープ化しやすい。

FRBは今年、合計1%ポイントの利下げを実施。金利市場では、FRBは89%の確率で来年1月の次回会合で金利据え置きを決定すると見込まれている。 もっと見る

米金融・債券市場:

<株式> 続落して取引を終えた。人工知能(AI)ブームと連邦準備理事会(FRB)による3年半ぶりの利下げを背景に、米国株式市場は今年、記録的な高値を付けた。

ただこの日は、年始を控えた薄商いの中、主要3指数はマイナス圏で引けた。

AXSインベストメンツのグレッグ・バサック最高経営責任者(CEO)は、今週はサンタクロースラリーは起きなかったものの、投資家は2024年に株価上昇というギフトを受け取ったと指摘。「24年はAIブームとFRBの利下げ、堅調な米国経済という3つの要因により株価が大幅上昇した年だった」と総括した。

金融市場はFRBが来年、計約50ベーシスポイント(bp)の追加利下げを実施するとの見方を織り込む。同時に、割高なバリュエーションと、トランプ次期米大統領による税制・関税政策を巡る不確実性にも注目が集まる。

前出のバサック氏は「投資家はトランプ新政権の影響と、それが特定のセクターに及ぼす影響について慎重になるべきだ」との見方を示した。

年初来で、ハイテク銘柄中心のナスダック総合(.IXIC), opens new tabは28.6%、S&P総合500種(.SPX), opens new tabは23.3%超、ダウ工業株30種(.DJI), opens new tabは12.9%、それぞれ上昇。中でもS&Pは、1997─98年以来で最大の上昇率を記録した。S&Pの主要11セクターのうち、通信サービス(.SPLRCL), opens new tab、情報技術(.SPLRCT), opens new tab、一般消費財(.SPLRCD), opens new tabが年間で29.1%─38.9%上げ、大幅な上昇率を記録。一方、ヘルスケア(.SPXHC), opens new tab、不動産(.SPLRCR), opens new tab、エネルギー(.SPNY), opens new tabは1桁の上昇率にとどまった。素材(.SPLRCM), opens new tabは唯一の下落セクターとなった。

米国株式市場:

<金先物> 持ち高調整の買い戻しが優勢となり、3営業日ぶりに反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前日比22.90ドル(0.87%)高の1オンス=264 1.00ドル。複数の支援要因が重なり、年間では569.20ドル(27.47%)高となった。これは2010年以来最大の上昇率という。

2024年は、ロシアとウクライナの戦闘に加え、イスラエルとイスラム組織ハマスと の交戦も続き、地政学的リスクの高まりを背景とした金買いが活発化。このほか、FRBが9月以降、3会合連続で政策金利を引き下げたことや、各国・ 地域の中央銀行による積極的な金購入も追い風となり、相場は10月30日に清算値ベースで初めて2800ドル台に乗せた。

NY貴金属:

<米原油先物> 中国景気をめぐる過度の懸念が和らぐ中で買われ、3営業日続伸した。米国産標 準油種WTIの中心限月2月物は前日清算値(終値に相当)比0.73ドル(1.03%)高の1バレル=71.72ドルと、中心限月清算値ベースでは11月上旬以来の高値水準。年間では0.10%高となった。3月物の精算値は0.72ドル高の71.25ドル。

NYMEXエネルギー:

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