ハロー!ネイバーズ

今回のハロー!ネイバーズは「日本語教育」についてです。
たったの3か月で日本語が話せるようになるという教室があると聞き、ナビゲーターのヴィトルさんが取材してきました。

短期集中“3か月で日常会話”を目指す

愛知県豊明市にある小学校です。校内にある日本語教室では現在5か国、9人の外国ルーツを持つ子どもたちが日本語を学んでいます。
この教室では3か月である程度の日常会話が話せることを目標に、毎日4時間、短期集中型で取り組みます。

人生に悩み踏み出した一歩が大きく広がる

認定NPO法人プラス・エデュケート 理事長 森顕子さん

この教室を始めた、教員免許を持つ森顕子さんです。外国ルーツの子どもたちに長年、日本語を教えてきました。教室を始めるきっかけは自身の辛い経験にあると言います。


認定NPO法人プラス・エデュケート 理事長 森顕子さん

認定NPO法人プラス・エデュケート 理事長 森顕子さん
子どもを持ちたいなと思って不妊治療をしましたが、子どもを持つことはかないませんでした。努力してもできないところがあり、人生に悩んでいた時、外国ルーツの子どもたちの状況を見て、彼らは今、日本に来ていてすでにある命。この子たちに時間を費やした方が世の中のためになるんじゃないかなと思ったんです。

日本語に苦しむ子どもたちのためになればとの思いで豊明団地の小さな店舗から始まり、これまでに1500人の子どもたちに日本語指導をしてきました。

その成果が認められて市から委託を受け、教室は無料になりました。碧南市、半田市、名古屋市中区にも教室を展開しています。

オリジナル教材にも工夫が

日本語が全く分からない人でも続けられるように10年かけてオリジナルの教材も作りました。国籍にかかわらず、どんな子でも学べるように、日常にあるシチュエーションを極力文字を少なくしてイラストで表現します。
この日学んだのは自分が「何をしたいか」の伝え方です。

講師
おにぎりを食べたい時、欲しい時、どう言えばよいでしょうか。

講師
そんな時は“おにぎりを食べます”ではなく“食べたい”です。


「書く」より「話す」…まずはコミュニケーション!

日本語を「書く」ことよりも子どもたちが「話す」時間が多いのも特徴の一つです。
3か月前に教室に来たフィリピンルーツの男の子は「何歳ですか?」「何年生ですか?」と言った、簡単な日本語の質問にも答えられませんでした。

ところが今「日本の給食で一番好きなメニューは」と聞くと…。

ラーメンが給食に出るの?と聞き返すと「はい!」と返事ができるほど簡単な日常会話ができるようになっていました。

認定NPO法人プラス・エデュケート 理事長 森顕子さん
やはり子どもたちは日本の学校で友達を作りたいわけです。それが楽しさにつながりますから。日本語が書けても話せなかったら友達はできません。子どもたちにはまずコミュニケーションが先なんです。

外国ルーツの子どもたちのコミュニケーションを大切にするこの教育法。日本で活躍するチャンスにもつながっています。

会話は簡単。でも漢字は難しい。

自分の分からない言葉を分かるようになったら、自分の気持ちも言えるようになる。

認定NPO法人プラス・エデュケート 理事長 森顕子さん
子どもの持っている力は無限だと思っていて、表面的に出てきている日本語で伝えてというところで伝えられないだけで、そこが手に入ればもっと彼らの本来の力を発揮してくれると思う。
1人でも多くの子どもたちが日本語というツールを身に着け、本来の力をだしてもらう。そんな世の中になるといいなと思っています。

取材を終えて ナビゲーター ヴィトルさん

私は6歳の時に日本語が全く話せない状態で来日し、約2年をかけて少しずつ日本語を理解し始めました。当時は何を書いているのかわからないまま、見本をまねて「書くこと」がほとんどでした。ところがこの教室では何の話をしていてどんなシチュエーションで使うのかを実際に声に出し、理解した上で、最後に書く作業をするので身につく速さが全然違う。そこに“3か月”で日常会話をマスターする秘密があるようです。日本語を早く学ぶことでチャンスや可能性が広がることにつながっていくと感じました。

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