9日の日本市場は長期金利が低下(債券価格は上昇)した。為替相場安定を受けて日本銀行の利上げ期待が後退している。

Fed Chair Jerome Powell Speaks At NYT DealBook Summit

パウエルFRB議長

Photographer: Yuki Iwamura/Bloomberg

  新発10年債利回りは一時約1カ月ぶりの低水準に下がった。6日の米雇用統計を受けて17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での米利下げ確率が上昇。ドル・円相場が過度な円安に動いておらず、日銀が円安対応で利上げを迫られるという観測が弱まった。

  欧州を皮切りに始まる年内最後の日米欧金融政策で、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場によると、欧州は12日に利下げが見込まれている。日本時間19日未明に結果が分かる米国も利下げ確率が上がっており、11日の物価指標が実施の決め手になる。これを受けて19日の日銀金融政策決定会合での利上げ確率が20%台に急速に低下した。

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  SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは日銀の金融政策について、12月は据え置きで追加利上げは2025年1月を想定していると9日付リポートに記した。日米経済はオントラックだが為替動向は7月と異なり切迫感は認められないとした。米政策は12月に0.25ポイントの追加利下げとの予想を維持するとしている。

日本の債券・為替・株式相場-午後3時半過ぎ長期国債先物12月物終値は前週末比15銭高の143円26銭新発10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低い1.04%、一時1.03%と11月13日以来の低水準円は対ドルでニューヨーク終値比0.1%安の150円11銭東証株価指数(TOPIX)は前週末比0.3%高の2734.56日経平均株価は0.2%高の3万9160円50銭債券

  債券相場は上昇。長期金利は一時約1カ月ぶりの低水準を付けた。雇用統計を受けた米国の長期金利低下や日銀の国債買い入れオペ通知で相場が押し上げられた。

  三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、米利下げ期待の高まりで為替市場が1ドル=150円付近で落ち着いており、日銀が12月に慌てて利上げするとの期待が低下していることで債券が買いやすくなり、長期金利が1カ月ぶり水準に低下するなど中長期ゾーンはしっかりだと指摘した。

  日銀は午前の金融調節で国債買い入れオペを実施。対象は残存期間1年超3年以下、5年超10年以下、25年超で、いずれも買い入れ額を前回のオペから据え置いた。オペ結果によると、5年超10年以下、25年超の応札倍率が前回から低下して需給の改善を示した。

関連記事:日銀:国債買い入れオペ一覧 (表)

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、債券相場は米金利低下や日銀買い入れオペによる需給引き締まり期待などで堅調に推移していると指摘。過度な日銀12月利上げ期待の後退で「前週末に買い戻しとなった流れも続いているようだ」との見方も示した。

新発国債利回り(午後3時時点)

 2年債5年債10年債20年債30年債40年債 0.570%0.710%1.035%1.840%2.245%2.625%前週末比-1.5bp-1.0bp-1.5bp-1.5bp-1.5bp-1.0bprelates to 【日本市況】長期金利が低下、為替安定で日銀追加利上げ期待後退

 

 

為替

  東京外国為替市場の円相場は1ドル=150円ちょうど付近でもみ合い。米国の雇用統計を受けた12月利下げ観測の高まりが円の支えとなる一方、日銀の追加利上げ期待が低下している。来週の日米金融政策会合を見極める雰囲気が強かった。

  三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、米国の12月利下げ確率の高まりを受けた金利低下でドル・円は上値が重いと指摘した。

  日銀の金融政策については、先週のコミュニケーションを見る限り「利上げが12月なのか来年1月なのか、まだ決まってない感じだ」と述べた。その上で「今後どういった情報発信がなされるのか、来週の日銀会合に向けてヘッドラインリスクが大きい状況が続く」と指摘した。

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株式

  東京株式相場は小幅高。雇用統計を受けた米国で12月の利下げ観測が強まったことから情報・通信などのテクノロジー株の一角が堅調、サービス業も高かった。

  内閣府が発表した7-9月期の実質国内総生産(GDP)改定値で消費が下方修正されたことなどが投資家心理の重しとなり、保険株などには売りが先行、鉱業や石油・石炭製品株も安い。主要株価指数は下落する場面もあった。

  T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、米雇用統計を受けて12月利下げが確実視されてナスダック総合指数の上昇に寄与したとして「日本株にポジティブに効いている面がある」と述べた。同時に日銀政策決定を前に投資家が警戒を続けているとした。

  楽天グループの株価が大幅高。12月末時点で100株以上保有する株主に「楽天モバイル」の月30ギガバイト(GB)プランを1年間無料で提供すると6日発表した。アナリストのトラヴィス・ランディ氏はこの優待について、25年の加入者数を押し上げる可能性があるとスマートカルマへの英文投稿で予想した。

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この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

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