米国の複数の通信会社は、自社システムに不正侵入して情報収集などを行っている中国政府系ハッカー集団の排除になお取り組んでいると、米当局者が3日、明らかにした。

  「ソルト・タイフーン」として知られる同集団は数カ月前からサイバースパイ活動を展開。複数の通信会社のシステムに不正侵入して情報を収集するほか、トランプ次期米大統領やバンス次期副大統領の電話を標的にしている。また米連邦捜査局(FBI)は「限られた数」の政府当局者と政治家の通信傍受も行われたと明らかにしている。

  米国土安全保障省は3日、通信業界のサイバーセキュリティー強化を支援する指針を発表した。

  同省サイバー・インフラ安全局(CISA)でサイバーセキュリティーを担当するジェフ・グリーン次官補は「いつまでに完全に排除できるかを予測するのは不可能だと思う」とし、「ハッカーがどこにどの程度深く侵入しているのか、まだ把握できていないため、全体像が明らかになるまでは完全排除の方法の要件を正確に見極めるのは難しい」と説明した。

  またカナダとオーストラリア、ニュージーランドの当局も、ネットワークエンジニアらがソルト・タイフーンによる侵入を特定できるよう、対応を推奨する指針を発表した。

  FBIは今年に入って、このハッカー集団が個人による通信の日時や場所、通信相手のデータを大量に不正取得したとして捜査を開始した。当局者によると、同集団は法執行機関の要請や裁判所命令に関する情報もコピーしたという。

  グリーン氏は「被害に遭った企業はさまざまであり、被害の深刻さやハッカーの行動可能範囲から見ても画一的な侵害ではない」と指摘。このスパイ活動を巡る政府の発表とメディア報道にハッカーらは注目し、内容を吟味して戦術を変更していると説明した。

原題:Chinese Hackers Lingering Inside Telecom Firms, US Says(抜粋)

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