2日の日本市場では債券が下落。先週末に報じられた日本銀行の植田和男総裁の発言により早期追加利上げへの警戒感が強まり、新発2年国債利回りは16年ぶりの高水準を付けた。
植田総裁は日本経済新聞とのインタビューで、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」と述べた。発言を受けて、金利スワップ市場では今月18、19日開催の日銀金融政策決定会合での利上げの予想確率が一時7割近くに上昇した。
関連記事:植田日銀総裁、利上げは賃金と米国見極め・データ想定通り-日経
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストはリポートで、植田総裁の発言は12月の追加利上げに向けた「地ならし」だと指摘。5日に3月と7月の利上げに反対した中村豊明審議委員の金融経済懇談会出席を控え、その前に総裁インタビューを設定することで「12月の追加利上げがサプライズとならないよう『丁寧なコミュニケーション』を進めた」とみる。
株式は金利高が追い風となる金融株をけん引役に上昇。円相場は先週末の海外市場で約1カ月ぶりとなる1ドル=149円台半ばまで上昇した反動から下落した。
2日の国内債券・株式・為替相場の動き長期国債先物12月物の終値は前営業日比24銭安の142円82銭新発10年債利回りは2.5ベーシスポイント(bp)高い1.075%東証株価指数(TOPIX)の終値は1.3%高の2714.72日経平均株価は0.8%高の3万8513円02銭円は対ドルでニューヨーク終値比0.4%安の150円31銭-午後3時46分時点149円51銭から一時150円75銭まで下落債券
債券相場は、12月利上げ観測の高まりから夜間取引で先物が売られた流れが継続。新発2年国債利回りは一時2008年10月以来となる0.625%まで上昇した。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、2年金利の上昇は利上げの織り込みが進んだことが背景だとし、「無担保コールレートが0.5%となれば、2年金利は0.6%くらいでバランスが取れ、そこにようやくたどり着いた」と述べた。
一方、利上げの織り込みという面では、2年金利は十分な水準に到達したとも同氏は指摘。追加利上げの織り込みが一段と進むには、今週末発表の雇用統計など米国経済の状況や利上げに向けた政治サイドとの調整が進むかどうかが焦点だと述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債5年債10年債20年債30年債40年債 0.620%0.750%1.075%1.870%2.285%2.640%前週末比+2.5bp+3.0bp+2.5bp+2.0bp+0.5bp+0.5bp
株式
東京株式相場は反発。金利上昇による収益拡大期待から銀行や保険など金融株が上昇。非鉄金属のほか、電機や自動車、商社株なども買われ、東証33業種中、小売業以外全て高い。
TOPIX上昇に最も貢献したのが日立製作所で5.2%値上がりした。指数構成銘柄2130のうち、1289銘柄が上昇、724銘柄が下落。TOPIX銀行業指数は07年7月以来の高水準を付けた。
アセットマネジメントOneの浅岡均シニアストラテジストは、日銀総裁のインタビューは12月に利上げがあるとの見方を強めたとし、金融株は金利上昇を好感していると述べた。
厚生労働省は2日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の来年度からの運用計画で、賃金上昇率を差し引いた実質的な運用利回りの目標を現状の1.7%から1.9%に引き上げる案を示した。GPIFが株式への投資配分を増やすことにつながる可能性がある。
一方、小売業が安く、日経平均株価は一時下落に転じる場面があった。
資生堂は11月29日に発表した今後2年の中期経営戦略で営業利益率目標を引き下げたことが嫌気され、日経平均採用銘柄で最大の下落率となった。ファーストリテイリングの株価も下落。柳井正会長兼社長が英BBCのインタビューで新疆ウイグル自治区産の綿花を使用していないと発言したことを受け、同社の広報担当は11月30日、中国需要への影響などを注視していると述べた。

為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=150円台後半まで下落。植田日銀総裁の発言を受けた円買いが一服し、ドルを買い戻す動きが優勢となった。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは「149円60銭あたりに一目均衡表の雲があるため、そこに近づくとドル・円はいったん反発しやすくなる」と話した。
植田総裁の発言が伝わった11月29日の海外市場では、149円47銭と10月21日以来の水準まで円高・ドル安が進んだ。ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、前週末からドル安が続いていたため、いったんはその反動でドルが買い戻されていると指摘した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

WACOCA: People, Life, Style.