この11月は、中国の研究チームが達成したという量子の「猫状態」の新記録に関する記事に多くの関心が寄せられた。量子の「猫状態」は、相反するふたつの状態が同時に存在する量子重ね合わせの現象で、これまで非常に短時間しか維持できなかった。
それを今回は、冷却したイッテルビウム原子を用いてレーザー光の電磁力で量子状態を安定させることで、「猫状態」を23分間も維持できたという。この記録的な安定性は、量子コンピューターの情報処理や高精度測定機器の開発に道を拓くだけでなく、量子物理学の基礎研究にも新たな可能性をもたらすかもしれない。
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このほかに、米軍が高度な兵器システムの操作にゲームコントローラーを採用する動きについて伝える記事もよく読まれた。XboxやPlayStationのコントローラーによく似た「FMCU」は、人間工学に基づく操作性や触覚フィードバックを提供することで、ゲームカルチャーに慣れ親しんだ次世代の兵士が直感的に扱えるように設計されている。高度な兵器プラットフォームや無人システム、さらにはレーザー兵器にまで幅広く採用されており、エンターテインメント技術と軍事テクノロジーの融合を象徴する事例といえる。
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ここからは、11月にWIRED.jpで公開した記事を中心に、最も読まれた10本を紹介する。
01. 「シュレーディンガーの猫状態」を23分維持── 量子物理学で新記録報告
Alena Bogatyrenko/Getty Images
量子の「重ね合わせ」と呼ばれる状態を長時間維持したという実験結果が発表された。中国の研究チームによるこの成果は、量子技術を利用した機器開発の進化につながるかもしれない。>>記事全文を読む
02. 野鳥の名前を教えてくれる「AI双眼鏡」が最高だった
Photo-Illustration: Ali Cherkis; Getty Images
スワロフスキー・オプティックの新製品「AX Visio」は、画像認識とGPSデータを駆使して鳥の種類を識別できる世界初の双眼鏡だ。双眼鏡を向けるだけで9,000種以上の鳥を特定でき、バードウォッチングで見つけた鳥の撮影から記録までを1台で完結できる。>>記事全文を読む
03. “ゲームコントローラー”が米軍の必須装備になっている
グアムの太平洋地域訓練センターでのFMCU(行動の自由制御ユニット)の実演。Photograph: Courtesy of U.S. Air Force/Senior Airman Jasmine M. Barnes
兵器や戦争の機械を操るのに複雑なボタンやスイッチ、トグルに頼った数十年を経て、米国防総省はもっと一般的な道具にたどり着いた。ゲームコントローラーだ。これは何百万人もの入隊候補者にとって、すでに使い慣れた装置だ。>>記事全文を読む
04. マヤ文明の古代都市、レーザー測量データから偶然発見される
メキシコ南東部カンペチェ州で見つかった古代都市「バレリアナ」。Luke Auld-Thomas et al/Cambridge University Press
メキシコの密林地帯から、古代マヤ文明の都市が新たに見つかった。研究チームのメンバーである博士課程の大学院生が、環境調査用のLiDARデータをインターネット検索中に「偶然」発見したことがきっかけとなった。>>記事全文を読む
05. EVのリセールバリューは1年で半減、その実態と構造
Photo-illustration: WIRED Staff; Getty Image; Polestar Press; Audi Press; Tesla Press
中古の電気自動車(EV)の価値が最初の1年で急激に下がることが英米での査定サービスから明らかになっている。そこで、注視すべきモデル、価値が大きく下落する理由、市場動向をうまく利用する方法を、『WIRED』が調査した。>>記事全文を読む
06. 地表に放たれたレーザー光線が、地雷を高精度で見つけ出す
Photograph: Kolonko/Getty Images
地表にレーザー光線を照射して土壌の振動の強弱を可視化した画像を生成することで、遠距離から高精度で地雷を検出できる技術を米国の科学者たちが開発した。地雷検出だけでなく、さまざまな構造物の検査にも応用できる可能性が期待されている。>>記事全文を読む
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