『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』(以下、GTA:トリロジー:決定版)における「消えた権利表記」が注目を受けている。本作PC/PS5/Xbox Series X|S版向けの先日のアップデートにて、当初の開発元であったGrove Street Gamesの名前が権利表記からひっそりと消えていた。同スタジオのCEOがこれに対し怒りを表明する投稿をX上で行い、話題となっている。GamesRadar+などが報じている。
『GTA:トリロジー:決定版』は、Rockstar Gamesがオリジナル版を手がけた『グランド・セフト・オートIII』『グランド・セフト・オート:バイスシティ』『グランド・セフト・オート:サンアンドレアス』の3タイトルをリマスターしセットにした作品だ。テクスチャの高解像度化、描画距離の向上、新たなライティングなどグラフィック面が変化。また『グランド・セフト・オートV』のスタイルを採用した操作性や照準システムなど、ゲームプレイ面にも変更がほどこされている。
『GTA:トリロジー:決定版』の開発は当初Grove Street Gamesが担当し、2021年11月に発売された。しかし同作は、発売当初さまざまな問題を抱えていた。PC版が一時販売取り下げになるトラブルがあったほか、ゲーム内容でもバグの多さや、オリジナル版になかったグラフィック表現が一部目立ちすぎるといった点に不満が噴出。そうした状況を受けて、販売元Rockstar Gamesが謝罪する事態となっていた(関連記事1、関連記事2、関連記事3)。
その後、本作の一連の問題点は2021年12月のアップデートなどにより修正・改善されていた。そして今年11月13日、本作PC/PS5/Xbox Series X|S版に向けて約2年ぶりの最新アップデートがサプライズ配信。昨年12月にリリースされた、本作iOS/Android版におけるさまざまな仕様を、PC/PS5/Xbox Series X|S版に実装する内容となっている。なおiOS/Android版の開発はVideo Games Deluxeが担当している(関連記事)。
さらには、同アップデートと同時に、ゲーム起動時の権利表記からGrove Street Gamesの名前がひっそりと消えていることも話題を集めていた。名前が消えた理由は定かではないものの、先述したようなリリース当初の問題や、iOS/Android版については別の開発元Video Games Deluxeが担当していた事情もあり、さまざまな憶測が飛び交っていた。
Speaking entire hypothetically: It’s a dick move to remove primary developers from credits in an update, especially when an update includes hundreds of fixes that were provided by those developers that stayed out of players’ hands for years.
— Thomas Williamson (@TSWilliamson) November 14, 2024
Grove Street GamesのCEOを務めるThomas Williamson氏は、自身のXアカウントにて11月16日に「仮定の話(Speaking entire hypothetically)」と前置きした上で上記のポストを投稿。「アップデートのクレジットから主要な開発元を削除するのは最低な行為である」とコメントした。また、「特にアップデートに、そうした開発元による何百もの修正が含まれているのであれば」と、その憤りを露わにしている。
Williamson氏の主張によれば、先述のアップデートには少なからずGrove Street Gamesも関わっていると読み取れる。しかし、同ポストではそれ以上の深い事情は語られていない。とはいえ、ゲーム起動時の権利表記からGrove Street Gamesの名前がひっそりと消えた件や、Video Games Deluxeによって行われたiOS/Android版のアップデートが逆輸入されたことを鑑みるに。同氏が『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』におけるGrove Street Gamesの表示変更について言及している可能性は高いとみられる。
ちなみにGrove Street Gamesの名前が消えたのはあくまでゲーム起動時の権利表記の話である。クレジットには引き続きGrove Street Games の名前が存在し、Williamson氏が仮定の話として語るような「クレジットからの削除」は行われていないとする報告も上がっている。 なおこの件についてRockstar Gamesからの声明はない様子だ。
なおGrove Street Gamesは、『GTA:トリロジー:決定版』のほかにも、『グランド・セフト・オートIII』や『グランド・セフト・オート・バイスシティ』といった『GTA』シリーズのモバイル向け移植に加え、『Bully: Anniversary Edition』のモバイル向け移植を手がけるなど、Rockstar Gamesタイトルの移植を多く手がけてきた実績のあるスタジオ。しかし今回の一件で、Rockstar Gamesとの間に刻まれた溝が明らかになった格好かもしれない。
『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』はPC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo SwitchおよびiOS/Android向けに発売中。モバイル版はNetflix加入者向けにも提供されている。
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