ミトコンドリア, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=15394 / CC BY SA 3.0
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ミトコンドリア
ミトコンドリア(mitochondrion、複数形: mitochondria)は真核生物の細胞小器官である。二重の生体膜からなり、独自のDNA(ミトコンドリアDNA=mtDNA)を持ち、分裂、増殖する。mtDNAはATP合成以外の生命現象にも関与するほか、酸素呼吸(好気呼吸)の場として知られている。また、細胞のアポトーシスにおいても重要な役割を担っている。mtDNAとその遺伝子産物は一部が細胞表面にも局在し、その突然変異は自然免疫系が特異的に排除 する。ヒトにおいては、肝臓、腎臓、筋肉、脳などの代謝の活発な細胞に数百、数千個のミトコンドリアが存在し、細胞質の約40%を占めている。平均では1細胞中に300-400個のミトコンドリアが存在し、全身で体重の10%を占めている。ヤヌスグリーンによって青緑色に染色される。
単語Mitochondrionはギリシャ語の, 「糸」と, , 「顆粒」に由来し、そこからミトコンドリアを糸粒体(しりゅうたい)と呼ぶこともある。
ミトコンドリアは、ほとんど全ての真核生物の細胞に含まれる細胞小器官である。直径は0.5 μm程度であるが、形状は生物や細胞の置かれている条件によって多様である。球形、円筒形のものから紐状あるいは網目状のものまであり、長さが10 μmに達するものも珍しくない。1細胞あたりの数は、1つに維持されている細胞もあるが、多い場合では数千個のミトコンドリアが絶えず分裂と融合を繰り返しているものもある。
ミトコンドリアは外膜と内膜という二枚の脂質膜に囲まれており、内膜に囲まれた内側をマトリックス、内膜と外膜に挟まれた空間を膜間腔と呼んでいる。内膜はマトリックスに向かって陥入しクリステ(稜)と呼ばれる特徴的な構造となる。
外膜の生化学的な組成は細胞膜と同様にタンパク質とリン脂質の重量比がおよそ1:1となっている。外膜にはポリンという膜タンパク質が大量にあり、分子量5000以下の分子が自由に透過できるようなチャネルを形成している。これより大きなタンパク質は自由に出入りすることはなく、ペプチド配列中に移行シグナルが存在している場合にのみ細胞質側から取り込まれる。
外膜の進化的起源は真核生物の細胞内膜系だと考えられ、現在でも小胞体膜と物理的に関係してカルシウムシグナルの伝達や脂質の交換を行っている。
膜間腔はミトコンドリアの外膜と内膜に挟まれた空間であるが、外膜が低分子を自由に透過させる性質であるため、イオンや糖などの組成は細胞質と同等になっている。その一方でタンパク質の組成は細胞質とは異なっており、外膜が破壊されて膜間腔に存在するタンパク質(シトクロムcなど)が細胞質へと漏れ出すとアポトーシスが引き起こされる。
内膜はミトコンドリアの機能的アイデンティティを担っており、酸化的リン酸化に関わる呼吸鎖複合体などの酵素群が規則的に配列している。外膜とは対照的に基本的には不透性で、内外で物質を輸送するためにはそれぞれの物質に対して特異的な輸送体が必要となる。呼吸鎖複合体は内膜をまたぐようにプロトン勾配を形成し、それによって生じる膜電位が物質輸送やATP合成に関与している。そのほかマトリックスへのタンパク質輸送装置やミトコンドリアの分裂・融合に関わるタンパク質群などが存在し、ミトコンドリアを構成する全タンパク質のおよそ2割(150以上)が含まれている。タンパク質とリン脂質の重量比は3:1ほどである。内膜の進化的起源は共生細菌の細胞膜を由来としており、内膜に特徴的なリン脂質カルジオリピンの存在がその証左と考えられている。
一般的に内膜は内側へ向かって陥入しクリステと呼ばれる構造をつくる。これによって内膜の表面積、ひいてはATP合成能の増大に寄与している。外膜と内膜の表面積の比は細胞のATP需要と相関しており、肝臓では5倍ほど、筋細胞ではさらに大きな値となっている。
クリステの形状は生物によって様々であり、平板状、管状、団扇状、などが知られている。多細胞動物や陸上植物ではミトコンドリアの長軸に直交する平板状をしており、教科書などを通じて広く知られている形状である。しかしこれはむしろ特殊なものであり、真核生物全体を見渡すと管状のものが一般的である。
内膜に囲まれた内側がマトリックスであり、TCA回路(クレブス回路・クエン酸回路)やβ酸化などミトコンドリアの代謝機能に関わる酵素群が数多く存在している。ここにはmtDNAが含まれており、ミトコンドリア独自の遺伝情報が保持されて…
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