今、宮城県内で呼吸器の感染症「RSウイルス感染症」が流行しています。乳幼児がかかると肺炎などを引き起こす恐れがある、この「RSウイルス感染症」は本来、秋にかけて患者数が増えます。季節外れの感染拡大の原因には、新型コロナの影響が考えられています。

仙台市青葉区の「かわむらこどもクリニック」です。
こちらのクリニックでは5月中旬ごろからRSウイルス感染症の患者が増え始めていて、この1カ月、外来で「RSウイルス」が確認された後、重症化し入院した子供が3人います。

診察を受けに来た親子
「RSウイルスが保育園で一回はやり、前回それで診察に来た時は大丈夫だった。またちょっと咳が出始めたので不安」

院長の川村医師もこの時期の患者の急増について、ここ数年を振り返っても「経験がない」と話します。

かわむらこどもクリニック 川村和久 院長
「今の季節であればRSは、普通の年はなく、RSで入院すること自体なかなかない。RSがはやる秋・冬あたりを見ても、ひと月に3人、入院するのはちょっと多い」

「RSウイルス」は発熱や咳、鼻水など一般的な風邪の症状が現れる呼吸器の感染症で、年齢を問わずかかる病気ですが、特に乳幼児は重症化するおそれがあります。
県内ではここ数年、8月に入ってから感染者が増え始め、9月ごろに流行のピークを迎えています。
しかし、去年は例年に比べ感染者が極端に少なく、そして今年は早くも5月下旬から急激に増え始めています。
季節外れの流行の原因について、専門家は「新型コロナの影響」を指摘します。

新潟大学大学院 菖蒲川由郷 特任教授
「コロナ予防でマスクしていたことがRSウイルスも防いでいた。去年、全く流行がなかったとなると、免疫を持っていないお子さんが今年たくさん残っていて、そのお子さんたちが今年になって、あるきっかけで一気に増えている」

専門家は新型コロナがまだ制御しきれていない、このタイミングでの流行に懸念を示します。

新潟大学大学院 菖蒲川由郷 特任教授
「RSウイルスで熱・咳が出て苦しい状況で、病院に行ったり救急搬送された場合は、まず『コロナではないか』となると思う。そうすると感染防護の処置をしている間に、診療・検査が遅れたり、そうこうしているうちに重症化してしまうというリスクがある」

実際にこの時期のRSウイルスの感染拡大は新型コロナ対策を続ける医療現場にとって負担となっています。

かわむらこどもクリニック 川村和久 院長
「患者がRSの可能性が高いのか、それともコロナの可能性はどうなのかというのをしっかりチェックしながら、2次的感染を防止するために、我々も今まで以上に対策に力を入れることが、医療機関に負担になっている」

その一方で、新型コロナへの感染を恐れた「受診控え」などはないよう、注意してほしいと話します。

かわむらこどもクリニック 川村和久 院長
「特に子供は重症化に注意を向けて心配な様子があれば、早めに受診してほしい」

WACOCA: People, Life, Style.