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 フリーアナウンサーのカトパンこと加藤綾子が、6月6日に「一般男性」と結婚したことを、翌日の情報番組「めざましテレビ」(フジテレビ系)で発表した。加藤は直筆メッセージで

「お相手は一般の方です。どんな時も自然体で心穏やかな人柄に惹かれ彼と共に人生を歩んでいきたいと思いました」

 と報告したが、相手男性については週刊文春がすかさず「東京や神奈川を中心に約60店舗のスーパーマーケットを展開し、年商2000億円を誇る企業の2代目社長である」と伝えた。

 これにはネット中で「どこが一般男性だよ!」と一斉に突っ込みが入った。人々が想像する「一般男性」は、電車で通勤するようなサラリーマンを思い浮かべてしまうからだ。

 国税庁の発表している数字では男性の平均年収は567万円、あるアンケートでは30代男性の休日の過ごし方で多いのは、月謝1万円程度のスポーツジムに通うか、ネットカフェもしくは家で宅配ピザを頼んでテレビを見るという回答が多く、そんな人物像が「一般男性」として想像される。

 しかし、芸能界での「一般男性」は、「一般的な男性像」のことではない。単に「芸能人ではない人」のことを指す。うなるほど金があって、休日はゴルフやクルージング、美術品や高級ワインを堪能していても、タレント活動をしているのでなければ「一般男性」と呼ぶ。

 筆者が約20年間書いてきた原稿から「一般男性」のワードで検索してみたところ、その表現は多くなく、女性タレントの結婚や交際の記事では、「実業家の男性」とか「会社経営の男性」など職業の表現のほうが多かった。

 しかし、所属事務所などからの発表になると「一般男性」の表現はかなり多い。つまりは芸能人側から世間に発表する際に頻繁に用いられる言い方ということになる。

 「一般男性」が使われるパターンとしては今回のカトパンと同じように、事務所が公式発表として「一般男性」と伝えたものをマスコミ側がその素性を続報する形である。筆者がカトパンの夫の肩書きを表記するとすれば「会社社長」や「会社経営者」あたりだ。

もし公式発表が最初から「会社社長」だったら、ネット上の一斉突っ込みは存在しなかった。にもかかわらず芸能人がなぜ「一般男性」と言いたがるか、芸能プロで30年以上もタレントをサポートしてきた敏腕マネージャーに聞いてみた。

 「プライベートなことなので相手の素性を詮索されたくないという理由ですが、突っ込んで言うと、嫉妬で人気を落とすのが怖いんです。芸能界に入ってきた人間の多くは、富と名声を得るという目標を持っていて、だから当然、結婚相手もハイスペックを選びたがります。

 その一方で、多くのタレントは「庶民目線」の好感度を維持したいんです。その是非は脇に置くとして、サラリーマンの月収が1日で吹き飛ぶぐらいの高級スパに通ったり、船上パーティーとか、お手伝いさんが3人いて子供はインターナショナルスクールに通わせるといった生活をしていたとしても、テレビ番組では『コンビニのスイーツが美味しいです』と言っておいたほうが人気を保てるんです」

 女子アナの主戦場である情報番組のディレクターに聞いてみてもこれは同様。

 「何千人のライバルのなかで生き残った女子アナの上昇志向は、どうしても高くなりがちです。やっぱり必然的に結婚相手も億単位の年俸を持つプロ野球選手とかIT会社の社長なんかが人気になりますよね。

 でも、セレブ感があると仕事が減るのがテレビ出演で、それは庶民派目線のゲストと話が噛み合わなくなるからです。だから結婚後も仕事を続ける女子アナは、セレブ生活をできるだけ見せたがらないんです」

それでもセレブと結婚する芸能人は多い
 女性芸能人たちの結婚・交際する「一般男性」は、カトパンのみならずセレブだらけだ。情報番組に出ていた女優の菊川怜も番組で結婚を伝えた際、「一般の方と」と言っていたが、資産300億円といわれる元カカクコム社長で、その後に番組を降板、露出は激減した。

 最近ではフジテレビの三田友梨佳アナの結婚した「一般男性」もまた年収2000万円台と報じられた外資系エリートだったし、「NEWS23」(TBS系)の小川彩佳キャスターが番組で「もう本当に一般男性の方です」と語っていた結婚相手も、後に資産300億円の医療系IT企業取締役と判明。こちらは後に不倫騒動で離婚時の慰謝料が推定10億円と報じられると本人が即座に否定したが「否定したかったのは離婚よりも大金を手にするイメージの方でしょう」とディレクター。

 カトパンの相手も慶應大卒の39歳で、過去に別の女子アナと交際歴があり、31歳で代表取締役に就任、趣味がプロレベルのゴルフ、目標は「年商1兆円」というから、言うならば「結婚相手に女子アナというハイスペックな女性を選んだセレブ」である。

 男性タレントに目を向けると、結婚相手を「一般女性」と発表する場合でも、女性タレントの結婚発表のときとは微妙な温度差が見えることがある。簡単な経歴を添えることが結構あるのだ。たとえば2014年に結婚した俳優の西島秀俊は、相手が「27歳の元会社員の女性」としたり、2019年に59歳で結婚した落語家の春風亭昇太も相手を「専門学校で働く40歳の一般女性」と紹介したりしている。

 誰もがそういう説明を付けているわけではないが、女性タレントに比べると補足があることが多い。そこは女性タレントのように相手がものすごい経済力を持った人であっても、あまり嫉妬をされにくいという意識があるからかもしれない。

 女性タレントでは、ロケバス運転手と結婚した女優の新川優愛や、ブレイク前から交際していた工場勤務の夫を持つ鈴木奈々など、本当に「一般男性」といえる感じの相手と幸せになっている人もいるが、多くの著名人女性が口にする「一般男性」は夫の素性を隠すだけでなく、戦略的に使うワードだと言えそうだ。

 神田うののように、セレブキャラを隠さないタレントの場合、発表時にパチンコチェーン経営者の西村拓郎氏を実名で伝えることもある。それを見れば、「一般男性」を使う女性タレントと芸能事務所には、やはり「富裕層に見られると損」という打算があるのだろう。

 海外では相手男性が富裕層の場合でも、その素性を隠さない例が多く、これは日本ならではの「金持ちに嫉妬する社会」から生まれた独特の現象かもしれない。

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