2017年から休校が続く福島県立双葉高校が創立100周年を迎えた。卒業生は母校の復活と次の100年へ、誓いを新たにした。

双葉町・伊澤史朗町長:「双葉の復興なくして双葉高校の復活はあり得ないとの強い思いで、震災から町の復興を進めてまいりました」

福島県双葉町の産業交流センターで開かれた双葉高校創立100年記念式典。
双葉高校の卒業生で教員、校長として12年間勤務した松本貞男さんを中心に実行委員会が企画したもので卒業生250人が集まった。双葉高校創立100年記念事業実行委員会の松本貞男会長は「大規模な学校よりまとまり、つながり、絆は非常に強いと思っています」と話す。

双葉高校はかつてその強力打線から「アトム打線」と呼ばれ、甲子園を沸かせるなど過去3回甲子園に出場する名門校。卒業生の近藤学さんは「野球やってたんで高校3年間って野球一色。たぶん同窓生皆さんの思いは同じだと思うんだけど、高校がない状況それはやっぱり悔しい残念無念」と話す。

原発事故で帰還困難区域となった双葉高校は立ち入りが制限され、校舎は今も震災当時のまま。2017年からは休校となっている。この日のために実行委員会が持ち出した県大会優勝の盾などが特別に展示された。卒業生の女性は「一筋縄ではいかないとは思っているが、願いとしては復活で母校でまたみんなで会うというのが一番の願いです」と話す。

震災前、浪江町で写真店を営んでいた小野田浩宗さんも実行委員会の一人。原発事故後も母校の卒業アルバムを作り続け、休校前の最後の卒業生を写真に収めるなどファインダー越しに見守ってきた。当時の写真撮影では「きょう私、休校前最後の写真ってずっと思ってきたんだけど、みんなの卒業式みてたら、そうではないなって。みんなの門出を祝う、記念の1枚の撮影、写真にしたいと思います。3・2・1」と話していた。
小野田さんは「校歌を聞いて自分で口ずさんで自分の高校時代が蘇ってくるというか、何十年過ぎても体にしみついているんじゃないかなと思いますね。この節目からじゃあどうするんだと宿題として皆さんに提示されたような気もする」と話す。

2022年8月、県内で唯一続いていた全町避難がようやく一部を除いて解除された双葉町。かつて7000人ほどいた住民のほとんどが今なお町外で生活を送っていて、双葉高校の復活には町の復興が大前提だ。

双葉高校創立100年記念事業実行委員会・松本貞男会長:「いますぐ双葉高校復活といっても夢物語なので、これから5年先10年先15年先、そういうことを同窓会として活動していくか、それがこれからの課題だと思っていますね」

双葉高校復活への願い、一方で復興に向け課題は山積する険しい道のり。この日、同窓生が声を合わせたその校歌は、次なる100年への誓いのように双葉に響いた。

双葉高校校歌:「♪更に新たに道あらん歩み固かれ目は遠く」

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