大きな転換点を迎える原子力発電所についてお伝えします。
県内では福島第一、第二原発の廃炉がすでに決まっていて、今は処理水の海洋放出をめぐる問題が話題の中心ですが、全国では、原発の「再稼働」が大きな焦点となっています。
ただ、原発の問題を考える上で、やはり、忘れてはいけないのが2011年の福島第一原発の事故です。
私たちは今回、「福島の教訓」という視点で再稼働を目指す新潟県の原発を取材しました。

■福島中央テレビ 大川悠輔 記者
「私の後ろに見えるのが、柏崎刈羽原子力発電所です。2011年の東日本大震災以降、すべての原子炉が運転を停止していますが、今、再稼働に向けた準備が進められています」

日本海に面し、新潟県の柏崎市と刈羽村にまたがって立地する、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所です。
出力は事故前の福島第一原発のおよそ2倍に当たる821万キロワットと世界最大級の原発で、福島同様、首都圏へ電力を供給してきました。
ただ、福島第一原発事故の後はすべての原子炉が定期点検に入り運転を停止しています。
こうしたなか…。

■岸田総理
「原発再稼働に向け国が前面に立って、あるゆる対応を取ってまいります」

福島の事故以降、可能な限り原発に依存しないとする政策を維持してきた政府。
しかし、ウクライナ侵攻を背景に直面したエネルギー危機などを理由に原子力政策を大きく転換。
原発の再稼働に向けて舵を切りました。
今回、私たちは、再稼働を目指す原発の一つ、新潟県の柏崎刈羽原発へ。

■東京電力 柏崎刈羽原子力発電所 大東 正樹副所長
「高圧代替注水ポンプです」
「交流電源も直流電源も一切の電源を必要としないポンプです」

2011年の福島の事故では発電所に押し寄せた津波で非常用発電機が水没し、 すべての電源を喪失。
これにより、原子炉を冷やすことができなくなり過酷な事故に至りました。
このポンプはその「教訓」を踏まえ、新たに取られた対策の一つ。
万が一、電源を喪失しても原子炉の蒸気を使い注水を続けることができるといいます。
さらに福島の教訓は建屋最上階にも…。

■福島中央テレビ 大川悠輔 記者
「福島第一原子力発電所では、原子炉内で発生した水素が原因で爆発した、こうした経緯を踏まえ、こちらの施設では水素を減らす装置が設けられいる」

福島第一原発では発生した大量の水素が建屋上部にたまり爆発が起きました。
この教訓から、柏崎刈羽原発では建屋の壁の表面に水素を酸素と結合させて取り除く水素処理装置を新たに設けました。

■東京電力 柏崎刈羽原子力発電所 大東 正樹副所長
「万が一、大量の水素が発生することがあっても、水素爆発が起きるような濃度以下に抑えることができる」

このほか、敷地には海抜15メートルの防潮堤や25メートルプールおよそ60杯分の水を溜める貯水池。
さらには電気を供給する電源車や注水のための消防車など福島の教訓を踏まえた二重、三重の対策が講じられています。
こうした準備をした上で、東京電力は6号機と7号機の再稼働を目指し、設備の検査を進めています。
ただ、柏崎刈羽原発を巡ってはおととしテロ対策の不備が相次いで発覚。
事実上、運転停止命令が出されています。
この状況に発電所のトップはー

■柏崎刈羽原子力発電所 稲垣 武之 所長
「私自身がどういう状態になれば再稼働させていただきたいといえるか考えた上で今、問題になっている核物質防護の改善措置が有効に働いて、しっかり強固な核物質防護の態勢ができている(ことが前提)」

こう話す稲垣所長も福島の事故の当初対応に当たったいわゆる「フクシマ50」の一人です。

■福島中央テレビ 大川悠輔 記者
「福島第一原発の事故の教訓を生かすことで今後、原子力を安全に活用することは可能か?」

■柏崎刈羽原子力発電所 稲垣 武之 所長
「小さい容量であれだけの莫大なエネルギーを持っている、また大量の放射性物質を内包しているということは潜在的に危険性を持っているということですので、安全性を十分に確保するというところは不可欠だと思っている」

エネルギーの安定供給やCO2を排出しないなどメリットも多い、原子力発電。
仮に、柏崎刈羽原発7号機を再稼働した場合には、年間およそ200万世帯もの電気を発電することができるといいます。
一方で大きなリスクがあるのも事実です。
一度、事故が起きれば、甚大な被害が発生し取り返しのつかない事態となることを私たちは身を持って知っています。
福島の教訓について国の原子力政策を進める西村経済産業大臣はー

■西村経済産業大臣
「(福島第一原発の事故について)私自身も一刻たりとも忘れないという思いでエネルギー政策に取り組んでいるが」
「何よりも安全確保、規制基準への適合が最大限優先され、それが大前提でありますので、そのことを改めて私自身も確認しながら、今後地元の皆さんの理解も得ながら再稼働を進めていきたい」

<記事はこちら>
https://www.fct.co.jp/news/area_news_2739

1 Comment

  1. 取材の際、東京電力ダメ社員は、柏崎市の道路清掃していたのかな?

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