福島県いわき市の中央卸売市場に集まった市場関係者。魚の消費拡大に取り組む仲卸業者や仲買人のグループ「いわき魚塾」が初めて開いた福島第一原発の処理水をテーマとした勉強会だ。福島第一原発で日々増え続けている「処理水」。国は2023年の夏頃までに薄めて海に流し始める方針で、設備の整備や検査は、大詰めを迎えている。
「海洋放出が始まったら、県産の海産物が売れなくなったり、価格が下がったりする風評被害がまた発生するのではないか?」
漁師だけでなく、卸業者や小売業者など県産の海産物を扱う多くの人が心配している。
山常水産・鈴木孝治社長:「私たち流通関係は、消費者さん、魚屋さん、飲食業さんと接することが多いので、風評被害は身近です」
勉強会を開いた鈴木孝治さんは、仲卸会社の社長。海洋放出には「基本的に反対」だが、知識を身に着けて、客に安全性を説明出来れば風評を防げると考えている。
まずは魚を扱う自分たちから…市場関係者宅30人が、海洋放出の方法や風評対策の取り組みなど経済産業省の担当者の話に耳を傾けた。
質疑応答で海鮮四季工房きむらや・木村重男代表は「科学的には安全なのに、消費者とか国民の人とか海外の人とかが、安心だと思わない。それは何なのかっていうことを国も東電も経産省もやっぱり考えていかないと。『常磐もの』は美味しいに決まっているんですよ。それ(販売促進のイベントなど)はあとでもいいから、処理水の風評被害を出さないということを全力でやっていただきたい」と訴えた。
これに対し、経済産業省・竹島睦大臣官房審議官は「どうしたら安心していただけるのか、そういったご説明の仕方、あるいは広報の仕方、色んなことを考えながらやっていきたいと思いますので」と答えた。
勉強会の参加者は「厳しい検査をしていて、どこの海産物よりも安心安全だということを伝えてもらいたい」日頃抱いている思いも伝えた。
鈴木さんは、この勉強会そのものが風評と呼ばれる不安や心配・誤解を防ぐことに繋がると期待している。
山常水産・鈴木孝治社長:「安心って心の問題なんですよね。そこを何とかみんなで解いていくっていうんですかね、ある程度知識を共有してもらって、これから対応していきたいなって思いますね」
この勉強会は6月最終週も開く予定だ。
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海洋放出への“理解”を得るために、岸田総理が指示をした。6月20日西村経済産業大臣は、総理から「丁寧な説明と意思疎通、意見交換」を続けるよう指示されたことを明かした。
「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という約束をどう扱うのか。
茨城県や北海道の漁業関係者も反対を表明している。
1 Comment
農家さんが先にやっているのでそちらから積極的に話を聞けないのでしょうか?仲が悪いのでしょうか?