kosei Inoue, Head Coach, All Japan Judo Federation
2020東京五輪まで日本柔道男子代表監督の続投が決まった井上康生氏が、全階級でメダルを獲得したリオ五輪の結果と東京五輪に向けた意気込みを熱く語った。「柔道はJUDOに挑戦し、レベルアップしていく必要がある」
全日本柔道連盟http://www.judo.or.jp/
司会 別府育郎 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2016/10/r00033969/

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記者による会見リポート

東京五輪もこの知将に託す

会見後、数人の出席者から異口同音に「クレバーな人だね」の感想を聞いた。

リオデジャネイロ五輪で2つの金を含む全階級メダルをもたらし、2020年東京五輪の指
揮も託された。

玉石混交の質問を正面から受け止め、あるいは、いなし、崩し、自然と自分の形に持っていって最後は内股で仕留める。現役時代の自身の柔道を想起させる問答だった。

印象に残る言葉は「剛柔一体」。柔よく剛を制すは柔道の理想だが、世界の格闘技の集合体である「JUDO」では、「柔」だけでは勝てない。「剛」をまとうには科学的知見も必要、と柔道以外の専門家の力も頼った選手の肉体改造の成果だった。

4年後の東京五輪には「監督として携われることに誇りを感じるとともに、とんでもないプレッシャーも感じている。柔道の素晴らしさを世界に発信するとともに、柔道を通して日本の素晴らしさも世界に発信したい」と話した。

リオ五輪の金メダルでガッツポーズも笑顔を見せなかった男子73キロ級の大野将平や女子70キロ級の田知本遥には「二人の振る舞いは、美しかった。最高の舞台で最高のパフォーマンスをみせ、なお自身を律していたのは柔道家が求める姿だと思う」とたたえる一方で、自身が金メダルを獲得した直後に大きなガッツポーズをみせたシドニー五輪を振り返り、「今では恥ずかしく感じています」と場内を笑わせた。

シドニーの自身のガッツポーズについては司会が質問も用意していたのだが、機先を制された格好で、容易に隙はみせない。

事前にしたためた揮毫の文言は、「初心」。会見の最後に所見を求めると、「過去の揮毫をめくってみていたら、蓮舫さんと完全にかぶっていました。書いた後に気づいて残念です。申し訳ない」。笑いの取りどころまで、心得ている。

企画委員 産経新聞社特別記者
別府 育郎

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