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ロシアによる軍事侵攻が始まってから9か月となるウクライナでは、戦闘で負傷した兵士や攻撃に巻き込まれた市民が増え続け、手足の切断を余儀なくされる人も増えています。正確な数は明らかにされていませんが、政府関係者によりますと数千人にのぼるとみられるということです。
首都キーウに住むロマン・コレスニクさん(24)は、ロシアによる軍事侵攻を受けて、ことし3月、ウクライナの準軍事組織「アゾフ大隊」にみずから志願し、4月からは東部の戦線に派遣されました。
しかし、5月末、所属していた8人の部隊は、南部ザポリージャ州で数十人のロシア軍の部隊との戦闘となり、コレスニクさんはロシア軍の戦車が放った砲弾の破片で大けがをしました。
仲間に救助されたコレスニクさんは、病院に搬送され転院を繰り返しながら10回におよぶ手術を受けましたが、右足のひざから下の切断を余儀なくされ、一時、絶望感にさいなまれたと言います。
ことし9月、キーウに戻ってからはリハビリに取り組んでいて、いまでは義足を使用してボクシングの練習ができるまでに回復しているということです。
コレスニクさんは「足を切断したときは、『ひどすぎる』と思い、衝撃だった。ただ、自分の命をなくすより、手足を失うよりも、最も親しい友達を失ったことのほうが苦しんだし精神的に傷ついた。いまはウクライナが勝利し、戦争が早く終わってほしい」と話していました。
義肢を利用する人のリハビリ施設は、ウクライナにはおよそ100か所あるものの、攻撃を受けるなどして活動を停止しているところも少なくないということです。
このうち首都キーウにあるリハビリセンターでは、軍事侵攻が始まる前は、新規の患者の数は週に1人か2人でしたが、現在は週に10人以上と急増しています。このため、必要な義肢の提供が追いつかず、完成するまでに、これまでよりも数週間長く患者に待ってもらうこともあるということです。
さらに、先月中旬から、ロシア軍がウクライナ各地のインフラ施設への攻撃を強めていることから、キーウを含む各地で停電が頻発するようになり、義肢の製作を中断せざるを得ず、製作スケジュールが見通せなくなっているということです。
キーウにあるリハビリセンターのアンドリー・オブチャレンコ所長は「停電になると、4時間にもわたって作業を中断することもある。悪い状況だ」と話しています。
また義肢やリハビリが必要な人の増加に伴い、財政上の負担も増加していて、ウクライナの社会政策省は義肢の購入などにかかる来年の予算は、ことしの2倍以上になるという見通しを示しています。
オブチャレンコ所長は「ウクライナはいま、財政的な問題を抱えていて、リハビリプログラムへの国際社会からの支援が必要だ」と訴えていました。
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