南海トラフ地震で想定される最大の津波は、三重県鳥羽市で27m、尾鷲市で17m、津市で7m、名古屋市で5mなどとなっています。沿岸部の津波対策はどうなっているのでしょうか。巨大な津波避難タワーの建設が進む愛知県飛島村を取材しました。

 11月5日は「津波防災の日」です。10年前の東日本大震災で大きな被害が出たことから、津波対策について理解と関心を深めるために制定されました。地震や津波の被害から命を守るための備えを、シリーズで考えます。

 南海トラフ地震では愛知や三重の沿岸部に広く津波が襲うとされています。想定される最大の津波は、鳥羽市で27m、尾鷲市で17m、津市で7m、名古屋市で5m、田原市で22mなどとなっています。沿岸部の津波対策はどうなっているのでしょうか。

 名古屋市の隣に位置する、愛知県飛島村。名古屋港に面した人口約4800人の村です。この地区の防災減災推進委員長を務める立松栄治さん。

「昔は用水で田んぼから米を運び、用水路が生活道路でした。伊勢湾台風の前までは用水で生活していました」(飛島村 大用水地区防災減災推進委員長 立松栄治さん)

 南海トラフ地震による津波の第一波到達は90分程度、津波の最大の高さは3mと想定されています。村のほとんどは海抜0m地帯という海よりも低い土地で、液状化も心配されています。村では、津波からの避難場所をどこに作るかが課題でした。 

津波避難タワーの内部は? 東日本大震災をきっかけに津波対策進む

 小学校の跡地に建てた津波避難タワー「北拠点避難所」です。1階の天井部分は、想定される津波の高さである3mを超える4m。土地の液状化には、地中に杭を打ち込むことなどで対応しました。また、地震の激しい揺れを抑える装置もついています。

 避難所への入り口は、内外の階段と、スロープの3カ所。車いすのまま避難が出来るように工夫をしました。震度5弱以上の地震でカギの収納ボックスが開きます。誰でもすぐに避難所に逃げ込むことができます。

 建物の中の階段を見ると、手すりが波打った形になっていました。

「(波打ち状の方が)つかみやすい。一直線よりも階段の段差に応じている」(大用水地区防災減災推進委員会委員長 立松栄治さん)
 

住民の要望取り入れ内部にはテントやエアベッドも

 2階には100畳の和室があり、3階と合わせて600人を収容できます。また、20トンの貯水タンクを備え、食料も1週間分を備蓄しています。他にも、8人乗りボートを準備し、救援や物資の搬送などに使うことができます。

 3階にはプライバシーを守るテントがあります。その中には地域の要望を取り入れたものが…

「エアベッドだから、短時間で膨らますのが電動でできます。足の不自由な人たちが床下では寝られないから、ぜひベッドをという要望がありすぐに導入してもらいました。ありがたいですね」(大用水地区防災減災推進委員会委員長 立松栄治さん)

「近隣の小さな一時避難所から人を集約して、最終的にここで避難生活をしてもらう場所になります」(飛島村総務課 大谷和久課長補佐)

 2011年の東日本大震災をきっかけに、南海トラフ地震の津波対策は、各地で一層急がれました。飛島村は現在21の津波の避難所を設置。そのうちタワーが5カ所です。これから6カ所目を建設する予定です。

(2021年9月5日放送 メ~テレ『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』より)

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8 Comments

  1. これはすごい!プライバシーのためのテントとエアベッド。
    こういうのって税金で出来たのよね?こういうことに税金が使われてほしいね、、