三之助師匠     「おせち料理も食べすぎましてね、食べ飽きたというほうが早いですかね。今日、私、ラーメン頂こうと思いまして、東大井にあります『のりや食堂』さんに来ております。今日はラーメンのレポートなのかしらね?」

ご主人(利明さん)「すみません、お待ちどうさまです」

三之助師匠     「こりゃどうも、ありがとうございます。早速頂きます」

三之助師匠     「お、とんこつ、いいですね。ちょっとどうでもいいですけど、ずいぶん日焼けしてますけど、何か正月、ハワイかなんか行って来たんじゃないんですか」

利明さん        「いやいや行ってませんよ。ゴルフをやって…」

三之助師匠        「ゴルフ?ゴルフやる。最近そういう方増えてますからね」

利明さん         「僕じゃないんですけど…」

三之助師匠       「僕じゃない?」

利明さん        「娘の花奈がやっているんですけど」

三之助師匠      「あら、こちら娘さんですか」

花奈さん       「永井花奈、9年生です」

三之助師匠      「9年生、ということは、中学3年生ですか」

花奈さん       「はい」

三之助師匠      「うわ、ずいぶん若いのに、ゴルフ。うまいんですか」

利明さん       「アマチュアでは優勝を何回かして…」

三之助師匠     「そうなんですか。うまいどころの騒ぎじゃないですね、そりゃね」

利明さん      「僕が教えて…」

三之助師匠    「お父さん、コーチで」

利明さん     「はい」

三之助師匠   「じゃお父さん、ゴルフ焼けじゃなくて、コーチ焼けなんですか」

利明さん    「そうなんです。ゴルフ場に行って、付いて、焼けている」

三之助師匠   「じゃ、あっちこっち試合に出かけたりなんかするんですね。ラーメン屋さんの娘さんがね、ゴルフがうまい、アマチュアプレーヤー、珍しいですね。ちょっとお話聞かせて頂きましょうか。どうぞよろしくお願いします」

利明さん・花奈さん 「よろしくお願い致します」

ナレーション    「父、利明さんの指導のもと、これまでにも、ジュニアの大会を度々制してきた永井花奈さん。注目を集めたのは、昨年5月に行われたプロの国内ツアー。並みいる強豪を相手に、初日3位に入り、アマチュア選手の最高位に贈られるベストアマも獲得しました。その後も好調を維持した花奈さんは、10月に行われたアマチュアの大会でも見事優勝。今季三勝目をあげました。優勝した日の夜は、近所のお店でささやかな祝勝会が催されました」

「今回の結果はどのようにとらえていらっしゃいますか」

利明さん「120点じゃないですか」

「自分ではどう?」

花奈さん      「満足です。落とせないようなパーとかをちゃんととれたから、良かったなと思います」

ナレーション    「早速、花奈さんの強さの秘密に迫ってみましょう。

三之助師匠     「どうして、ゴルフをやることになっちゃったんですか」

花奈さん       「もともと、自分の父と母がゴルフをやっていて、それの影響でやってみたいなと思って、始めました」

三之助師匠      「どういうところに気をつけて、今、指導されているんですか」

利明さん       「朝ごはんをよく食べる、が1番。2番目が早寝早起き」

三之助師匠      「なるほど。そういう生活の基礎(規則)的なところ」

利明さん       「一番大事じゃないかなと思っていますね」

三之助師匠      「お父さん、怖いですか」

花奈さん       「はい、怖いです」

三之助師匠      「怖い」

花奈さん       「厳しいんですけど、それがなかったら、自分一人で何も注意される人がいなかったら、たぶん怠けたり、たぶんマナーが出来てない人になっちゃってると思うので、そういう面ではとてもいいと思います」

三之助師匠      「去年はたくさん出たなかでも岐阜の国体に出場したということで、今年は東京なんですってね、国体の会場が。もし出られることになったら、どの辺に目標を置いていますか」

花奈さん      「今年はホームということで、ドカンといいところを見せれるように頑張りたいです」

三之助師匠     「憧れの選手とか好きな選手っているの」

花奈さん      「よく聞かれるんですけど、それがあまりいないんですよね、はい」

三之助師匠     「私のほうがうまいって」

花奈さん      「いや(笑)そういうわけじゃないんですけど。そんな生意気なことを言っていいのか分からないんですけど、その目標の人を目指すのはいいんですけど、そこで終わっちゃいたくないんで、あんまり決めないで、自分なりに頑張って…」

三之助師匠     「もっと上いきたいって、今有名な人たちもすごいけど、その上をいきたいって思ってる。どうしましょうかねぇ」

ナレーション     「花奈さんのご両親が営む、「のりや食堂」は大井町駅のすぐ近くに平成11年に開店しました。利明さんが、花奈さんのコーチで忙しいため現在は、奥さんの裕子さんがお店を切り盛りしています」

母(裕子さん)     「やっぱりそうやって支えていかなきゃいけないなっていう気持ちがあると、かえって仕事もやる気が出るというか、頑張れるかなという感じですよね」

裕子さん     「人間としてですよね、やっぱり、成長してもらいたいのは。どうしてもゴルフをやっていることで褒められることはたくさんあるんですけども、注意されることとかもあんまりないんですよね。その辺、周りのこともちゃんと気を遣えるようなというか、人として大きな人になってもらいたいなっていう感じはありますね」

ナレーション     「プロを目指すものは、歯ブラシより先にゴルフクラブを持とう、と言う訳で花奈さんの一日は、朝6時にスタート。朝練のメニューは、縄跳びや筋トレ、およそ30分間のパターの練習など、全て利明さんが考えています」

ナレーション    「学校から戻ると、お店の目の前にあるゴルフ練習場へ直行。1球1球、質の高いショットを心掛けながら、毎日、およそ150球打っています」

三之助師匠     「二人にね、話聞こうと思ってやってきたのですけど、話かけにくい状況ですので、ちょっと近くにいる方に伺ってみたいと思います。こんにちは、上野さん」

上野さん     「上野です」

三之助師匠    「いつもずっと二人を見ていらっしゃるんですか」

上野さん     「そうなんです。実は私もゴルフは3年前に始めたばかりなんですが、たまたま近所なんで来たわけですね。私が見たのはまだ花奈が小学校6年生の時ですから、それでもものすごく厳しくやっているわけですよ、冬の寒いなか。まあ、とにかく練習熱心。毎日やっている」

ナレーション   「花奈さんの隣で練習をするのは、中学3年生の乗富結さん。なんと二人は同じ中学校の同級生だそうです。プロの大会に出場する花奈さんを結さんは、キャディーとしてサポートし、難しいコースの攻略に一役買ったこともあるそうです」

三之助師匠     「どうですか、花奈さんのゴルフっていうのは」

結さん     「他の同年代のプレーヤーの人と比べて、やっぱり自分のゴルフがしっかりしていて、周りに流されないプレーをしていると思います」

三之助師匠   「今、二人で切磋琢磨しながら、今は花奈ちゃんのほうがちょっと実力では上なのかな」

結さん 「そうですね」

三之助師匠   「そうすると、負けない、負けないぞっていう気持ちがね、普段は仲良くても、そんな気持ちがちょっとは結ちゃんの中にあるんじゃないかと思うんですよね」

結さん     「私がプロにもしなれた時に、花奈ちゃんていうのはすごい大きな存在にもなっていると思うんで、それと同時に越えたい存在でもあるので、花奈ちゃんやいろんなトッププレーヤーたちを目標において頑張っていきたいですね」

三之助師匠 「頑張ってもらいたいです」

ナレーション   「近い将来、品川区出身の女子ゴルファー同士が優勝争いをする、なんてこともあるかもしれません。期待しましょう!」

三之助師匠   「高校に入ってからの3年間っていうのは、プロテストへ向けての3年間ということになりますよね」

花奈さん   「はい」

三之助師匠     「もちろん夢はプロゴルファーになるのが夢なんですけども、その夢を叶えるためにどんな3年間にしたいですか」

花奈さん   「本当にたぶん1日も1秒も無駄に出来ない3年間になると思いますし、自分でそこで少しでも楽しようとか思わないで悔いが残らないように今後やっていきたいなって思います」

三之助師匠    「皆さん、お忘れかもしれませんが、中学3年生でございます。これからの3年間、ゴルフが好きな方もそうでない方もぜひ花奈ちゃんを応援して頂きたいと思います。さて、次回のとっておきの品川、どうぞお楽しみに!」

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