防災最前線です。小山町で近年、貴重な歴史的資料といえる富士山の噴火の遺構がみつかりました。明らかになったのは富士山がもたらす噴火の脅威です。
<増田剛記者>「富士山の噴火にかかわる遺構は、小山町のこちらの住宅街で見つかりました」
富士山の宝永火口から東に約10キロ。住宅が立ち並ぶ小山町須走地区で2019年6月、富士山の噴火にかかわる貴重な発見がありました。
<小山町教育委員会生涯学習課 金子節郎課長補佐>「発掘調査で検出された(家の)柱のあとになります。火山灰の下、だいたい2m50cmくらいの所から柱の跡が確認されています」
発見したのは、小山町と東大、東工大の専門家らでつくる研究チームです。レーダー探査を元に発掘調査したところ、地下約2.5mから発見されました。
<小山町教育委員会生涯学習課 金子節郎課長補佐>「火山灰の中からこういう木片が出てきた。真っ黒に焼けただれているのが確認できます。須走地区には高温の火山灰が飛んできて、茅葺き屋根の上に落ちて家屋が焼失したと想定されます」
宝永の噴火は江戸時代中頃の宝永4年、1707年12月16日、富士山南東の山腹で噴火。噴火は16日間にわたって続きました。当時、須走地区にあった村は火山灰に埋まったと伝えられていました。
<小山町教育委員会生涯学習課 金子節郎課長補佐>「こちらの古文書は、宝永噴火で埋まった須走村の復興に対して、幕府からお救い金が与えられた台帳になります。潰れ家、金5両。又兵衛さんの家がつぶれたので5両が支給された」
須走村は、家がつぶれたり焼けたりして75軒あった家は全滅しました。幕府は村に1811両、今の金額で9000万円ほどを与えました。その後、火山灰の上に新しい町を作ったと伝えらていて、今回、それが裏付けられた形です。そこには今、700軒の住宅が立ち並び、約1500人が暮らしています。
<小山町教育委員会生涯学習課 金子節郎課長補佐>「今回の発掘調査で、江戸時代も現在も同じ場所に街並みがあったことが確認できました。火山灰に埋もれた住居の跡が確認できたので、まさに日本版ポンペイといえるかと思います」
大量で、時に高温の火山灰が降りそそぐ。富士山の噴火による火山灰の影響については、国は2020年、専門家のワーキンググループがまとめた被害想定を公表しました。火山灰はわずかでも積もれば鉄道は停止。交通機関やライフラインが大きな影響を受けることが想定され、都市の機能は噴火後3時間でマヒします。
また、コロナ禍のいま、火山噴火の新たな課題も見えてきました。
<鹿児島市民>「窓は開けられないですよね。灰が降ったらね~」「できるだけ窓を開けるようにしていたんですけど、きょうは(灰が)降ってきたんでこれからどうしようかと」
新型コロナウイルス対策として窓を開けるなどの換気が求められていますが、噴火によって降灰が続けば、空気の入れ替えも簡単ではなくなります。
<静岡大学防災総合センター 岩田孝仁特任教授>「まず火山灰の性質、日常と違った状況になるということを理解しておいていただきたい。我々静岡県民は(火山灰が降る)環境に慣れていないので、少量の火山灰でも日常生活に大きな影響が出ることもぜひ考えておいていただければと思います」
江戸時代の宝永噴火から約300年、火山灰の脅威は研究によってますます鮮明になっています。
#オレンジ6 1月26日放送

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