南国フルーツの一つ、マンゴー。日本へも輸出している生産地のタイではその価格に異変が起きています。
4月、タイの首都バンコクにある生鮮食品の卸売市場には、たくさんのマンゴーが売られていました。
値段は1キロ25バーツ。
1個あたりに換算すると、50円にも満たない価格です。
市場でマンゴーを扱う卸売業者:「10年以上ここでマンゴーを扱っているが、今年は一番悪い状況です」
3月から5月にかけてマンゴーの旬の季節に入っていたタイですが、卸売業者はマンゴーの価格低下に頭を抱えています。
その背景には、新型コロナウイルスの影響があるといいます。
これまで海外への輸出も盛んに行われていたマンゴーですが、コロナ禍で本来、輸出に使われていた航空便が減少。
輸送にかかるコストも跳ね上がったため、多くの業者が利益を出せずにマンゴーの輸出を避けているということです。
輸出に回せなくなったマンゴーは国内消費用に出荷。
その結果、供給が増えすぎ、価格の低下を引き起こしています。
卸売業者:「今年は利益はほとんどでず、むしろマイナスです。とにかくここにあるマンゴーをさばききらないと腐らせてしまう」
その影響は、卸売り業者だけにとどまりません。
トロピカルフルーツの産地として有名なチャンタブリ―県では4月、農家がマンゴーの収穫に追われていました。
この農家では普段は日本や韓国へのマンゴー輸出も行っていますが、輸出業者が敬遠していることもあり、今年は輸出に回す量は普段よりも減っているそうです。
財務省の統計データを見ても、タイから日本へのマンゴー輸出量はコロナ前に比べ、去年は約35%減っています。
この農家では輸出用の表面がきれいなマンゴーを作るため、さまざまな手間とコストをかけて育ててきましたが、手間に見合った価格では売れないということです。
マンゴー農家:「国内市場向けだと1キロ10バーツ(約35円)まで価格を下げても厳しい状況です。供給に見合った需要が国内にはないんです」
タイ国内の消費者にとってはうれしい激安マンゴー。
しかし、この状況が長く続けば、農家は疲弊する一方です。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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