ロシアによるウクライナへの侵攻が続く中、“軍事的中立”としてきたフィンランドがNATO=北大西洋条約機構への加盟申請を行う方針を表明しました。これに対し、ロシア側は「対抗措置を取らざるを得なくなる」とけん制するなど、緊張が高まっています。NATO加盟に向けたプロセスなど専門家の分析を交え、解説します。

■“軍事的中立”のフィンランド NATO加盟へ加速 

ホラン千秋キャスター:
フィンランドはこれまでNATOへの加盟を検討していましたが、検討ではなく次の段階に入ります。フィンランドはスウェーデンとともに軍事的中立という立場をとっていましたが、5月12日の共同声明の中で、フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相が「NATO加盟はフィンランドの安全を強化する。加盟申請は速やかに行われるべき」としてNATOへの加盟申請を表明しました。

この動きに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領はフィンランド大統領と電話会談を行って、その中で「今回の表明を称賛し、両国の防衛における相互交流について協議した」とSNSで発表しています。

一方、ロシアは気が気でないようです。ペスコフ報道官は「フィンランドのNATO加盟はロシアにとって脅威となる」というふうに話しました。ロシア国防省も「脅威の阻止のため、軍事技術面などで対抗措置を取らざるを得なくなる」と話しましたが、軍事技術面などでの対抗措置は、一体どんなものになるのでしょうか。

■ロシアの脅威懸念する2国 イギリスが安全保障も

また、フィンランドとスウェーデンはNATO加盟に先駆けて5月11日、それぞれイギリスと安全保障宣言に署名しています。NATOに加盟するまではイギリスが両国の安全を保障する関係にあるということになるわけです。

これに関して、署名後の記者会見の中でニーニスト大統領は記者から、「NATOに加盟すればロシアを挑発することになるのでは?」と問いかけられました。これに対して、ニーニスト大統領は「ロシアにはこう言うでしょう。“あなたたちのせいです、鏡を見なさい”」と答えています。

では、加盟申請はいつになるのかというと、フィンランドとスウェーデンは来週、申請をする予定だということで、かなりスピード感があります。

井上貴博キャスター:
NATO加盟までに空白の時間、ここはリスクは高いだろうということで、その間にイギリスが手を携えて一緒にやっていきましょうという動きになった。他国がイギリスを追随する動きになる可能性はあるんですか?

明海大学 小谷哲男教授:
どちらかと言えば、おそらくNATOとして何らかの措置を考えるということになると思います。既にフィンランドとNATOで現在も軍事演習が行われていますけれども、この加盟が決定するまでNATOがフィンランドとの軍事演習を頻繁に行う、あるいはNATOがこの北方の方に軍事力を展開するというようなことが考えられると思います。

井上貴博キャスター:
そこでNATOが拡大することでプーチン大統領を孤立化させる良い方向に向かうのか、はたまた暴発の方のリスクが高まってしまうのか、そのあたりはどうご覧になっていますか?

明海大学 小谷哲男教授:
これに関しては、基本的にプーチン大統領が墓穴を掘ったということだろうと思います。これまでNATOの東方拡大に反対してきましたけれども、今回は北方に拡大しているわけです。これによって、ロシアの周辺にさらにNATOの大部隊が展開するということになるので、ロシアとしては非常に厳しい状況に追い込まれます。また、ウクライナでの戦争がうまくいっていないので、NATOと本気で対立するということがロシアとしてはできないと思いますから、今回のフィンランドあるいはスウェーデンの加盟は、NATOにとってより有利な状況を生み出すと思います。

■NATO加盟までの流れは?通常1年半~2年も

ホラン千秋キャスター:
加盟申請を行うというフィンランドですが、具体的に加盟までどのようなプロセスを踏んでいくのかみていきます。

まずは、加盟交渉から始まります。▼NATO加盟国と交渉を行い、その▼加盟国30か国の承認があれば次のステップです。▼NATO事務総長の承認を経て、加盟という流れになります。

一般的にはこの加盟までどれぐらい時間がかかるのか、近年、加盟した国々の例を見ていきます。

<NATO加盟にかかった期間>
・モンテネグロ(2017年) 約1年半
・北マケドニア(2020年) 約1年8か月

普通であれば1年半から2年近くかかってもおかしくないプロセスが、フィンランドに関してはどれくらいのスピードで行われるのか。
ロシア政治に詳しい慶應義塾大学の廣瀬陽子教授に伺うと、NATO関係者の話として「NATOにとってもフィンランド、スウェーデンは歓迎したいところ。特例で今年の10月くらいまでには加盟が可能なのではないか」というような話があるようです。半年ほどで加盟ということもあるわけです。

■NATO側「加盟を歓迎」 すでに合同軍事演習も実施

ホラン千秋キャスター:
実際に、…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20220513-6017977)

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37 Comments

  1. 今回の話だけでロシアがフィンランドに攻められても国際社会のルール内。

  2. ロシアはここまで想定してなかっただろうね。

  3. ウクライナは200年前ロシアの領土だなんてプーチンは言うが、笑っちゃう。今の時代他国を侵略する考え方がおかしい

  4. ウクライナの現状を見たらNATO非加盟ヨーロッパ各国は加盟を検討を通り越して即加盟するだろ!!(゜ロ゜ノ)ノ
    NATOに加盟してないだけでこの惨状( ;∀;)
    バルト3国にはNATOの基地があって最新装備の戦闘機が待機してるのに、ウクライナは旧式な戦闘機でロシアと1対12の戦闘を強いられてる( 。゚Д゚。)

  5. ヤフーニュース(夕刊フジ)ロシア艦また炎上…ウクライナ軍の反撃が加速か オデッサ沖で複数撃破 軍用機200機を撃墜で航空戦力も損傷。

  6. 「ロシアにこう言うでしょう。誰がいちばん美しいのか?」

  7. ~鏡を見なさい? ~みてもみておのかいのちとひきかえに やまほうしてにかまつかがみの  秩父宮 本間中将しのび。

  8. NATOは核保有国から攻撃された際加盟国で助け合いましょうと言うものであり防衛策の一つ
    そもそもが攻撃しなければ何の問題にもならないと思うのだが
    ロシアがこれを脅威と見做すと言う(嫌う)事はロシアの隣りにある国に侵攻するつもりがあると言う事を意味してると考えてもおかしくない
    その為これだけロシアがNATO加盟する国を毛嫌いしていると言われても何の違和感も無い

  9. 報復はフィンランドに送電を停めるだけって笑うわ、たったのI割なんかすぐに供給源を変えられるわ

  10. もう早くNOTO入って入って、急いで急いで。
    先の戦争でフィンランドは、ロシアの脅威を身に染みて知っている。

  11. プーチンとの、話し合いは無駄です。プーチンとプーチン政権とロシア軍の全滅しか、解決方法は無い。全面核戦争も残念ながら可能性としてありうる。覚悟するしかない。

  12. 結果的にNATOを拡大させることになったロシアはいま何を思う

  13. ウクライナのNATO加盟も軍備増強もロシアからしたら、「ソ連を袋叩きにしようとしたNATOは途轍もない脅威であり、ソ連の主要国であったウクライナのNATO加盟は許されざる裏切り以外の何者でもない。これ以上安全が脅かされる前に阻止しなければ!」って、ソ連の内輪の問題の対処って認識だったんじゃないかな。
    だけど西側からしたらソ連が怖くてNATOつくったんだからロシアが弱体化するのは構わないし、そもそもロシアの言い分が「強盗が、警備を強化されたことに文句を言っている」と捉えられる訳で、互いに「先に手を出したのは相手だ」って思ってる。

    うーん、上手く言葉に出来ないけど、ロシア側の視点も知るべきじゃないかな…
    当然武力侵攻は許されない、でもロシアからしたら周りから銃口を向けられてる、そんな恐怖もあったんじゃないかなぁって、みんなで追い詰めすぎたんじゃないかな、最近はそんな風に思うこともある。

  14. もしも私がプーチンなら、まずウクライナ領内に今侵入しているポーランド軍に対してミサイル攻撃をする。露のミサイルで「NATOの加盟国であるポーランド軍に死傷者がでました。」ということをことさらプロパガンダする。これでNATOが動かなければ「NATOに加盟してもNATOはフィンランドを守らないでしょう。」という論調を広めます。「米国はベトナムもアフガンも放棄したではないか。今度はポーランドを見殺しにするつもりだ。」と言えばええんじゃねえ?

  15. トルコが反対しているようだから、結局入れないのでは?

  16. ニーニスト大統領の、あなたたちのせいです。鏡を見なさい。
    気持ちのいい発言に大人なフィンランド国を知りました。

    ぷー珍も、年相応の大人になれたらよかったのにねー、
    脅しと他人や他国への責任転嫁。
    晩節に自分で、自分を汚したねー。

  17. トルコの独裁者が加盟反対らしいよねぇ…全会一致じゃ無いと正式加盟でき無いらしいのねぇ…

  18. しかしこの戦争の終結によっては、10年位前にNATO側がクーデターを支援して親ロシア政権の転覆をさせたりしたことなんかがかき消されるんだろうね。第2次世界大戦の戦勝国の非道は全く糾弾されずに終わったのと同じように。

  19. 確か国内で紛争を抱えている国は、NATOに加盟なかったと思う、
    空白の期間にロシア側が何らかの紛争状態(偽装も含め)をフィンランド国境付近、又はフィンランド内で起こして時間稼ぎする可能性は無いのでしょうか?

  20. どうかな。今のウクライナは結局のところ、米英の代理戦争。フィンランドもスウェーデンも代理『戦争場』に提供するというだけ。NATOに加盟しようとも、地政学上なにもかわらないのだから。

  21. フィンランドは過去にソ連軍の侵略をうけており、その時に失った領土を返してもらえていない。今回のウクライナ侵攻で、ロシアがまた昔のように難癖から攻めてくることがある以上、NATOに入ることで、過去の戦争では助けてくれなかった欧米が助けるという明確な約束をしてくれることの意味は大きい。ロシアが対抗措置をちらつかせればちらつかせるほど、その価値は上がっていく。ロシアは不可侵条約を簡単に破った過去もあるし、同盟を結んでも気にくわなければ兵を入れてきた過去もある。過去の行いが、今の原因。
    そんなにNATOが脅威なら、ロシアがNATOに加盟して、仲間に入れてもらうしかないんじゃね?・・・力押し外交はもうできなくなるけれど・・・

  22. ロシアは獣だな。人は例え脅威があったとしてもそれに手を出したらその後どうなるか考えるものだが獣は脅威をみつけた場合何も考えずに噛み付く

  23. ロシアは世界一の核保有国。さてこのNATO拡大にどう対抗する??

  24. なんで脅威となるんだよ 鼻からフィンランドも侵攻するつもりやん

  25. 開戦前ゼレンスキーはNATO加盟を目指さないと明言していた。
    2日でキーウを落とせたとしても、ウ侵攻はNATO拡大を促進し、仮に加盟国が増えなくてもNATOの脅威度そのものは飛躍的に高まっていた。これは誰にでも想像できた。
    プーチンがそれを想像できなかったという仮定を除けば、彼にとっては、NATO拡大とその脅威論は侵攻のための大義名分でしかなかったということになる。
    北欧やその他の国の加盟も想定内でなければならない。
    そもそも核保有国であるロシアにとって、国防の観点ではNATO拡大はさしたる脅威でないのかもしれない。
    現にNATOはウクライナにさえ直接介入することができていない。
    そうすると北欧加盟も軍事的にはプーチンにとって痛手ではないことになる。
    NATO脅威論を言い聞かされていたロシア国民に不信が募らなければ、だが。

  26. 2003年3月20日にイラク戦争が開始されてから10年がたつが未だこの戦争の過ちについて十分な総括が国際的になされていない。

    イラク戦争は、国連安保理の許可を得ない武力行使であり、明らかに国連憲章違反であったし、その理由とする「大量破壊兵器」は存在しなかった。この誤った戦争により、イラクはあまりにも壊滅的な打撃を受け、人命を奪われた。

    アメリカ、ジョンホプキンズ大学ブルームバーグ公共衛生大学院の研究では、2003年のイラク戦争の結果として約65万5千人のイラク人が死亡したと推定、WHOはイラクで2003年3月から2006年6月までに15万1千人が暴力によって死亡したと推定している。

    米軍との戦闘で命を奪われた人だけではなく、占領後の宗派間対立の激化で多くの人が死亡したわけであるが、戦争が起きなければこれだけの犠牲がなかったことは明らかである。

    しかし、これだけ人命を犠牲にしたのに、米国では誤った戦争に関する公的な謝罪や検証は全く行われていない。

    特に、私が人権の観点から許せないのは、米軍・英軍が直接かかわった人権侵害行為の責任がほとんど問われていないことだ。

    例えば、2004年4月と11月の米軍によるファルージャ総攻撃では、戦争犯罪に該当する「民間人攻撃」が行われたとされ、多数の民間人が殺害されたという。白リン弾や劣化ウラン弾等残虐兵器が民間人の居住地で、市民に対する危害を最小限に抑える手段を一切講ずることな大量に使われ、おびただしい死者が出た。

    白リン弾使用については、イタリアのドキュメンタリーでその残虐性、極めて残酷で深刻な被害が暴露されている。アメリカ軍がアブグレイブやその他の刑務所で、拷問・非人道的取り扱いに該当する身体的虐待や侮辱などの行為をイラク人拘留者に対して行ったことは多くの証拠に裏付けられている。

    こうした行為は何より戦争犯罪の可能性が高いが、きちんとした調査は行われず、ほとんど誰も責任を問われていない。訴追されるのは少数の末端の兵士だけ。意思決定に関わったトップレベルの人々、ブッシュ元大統領やラムズフェルド元国防長官、拷問を正当化した司法省、国防省関係者等の責任は全く問われていない。

    超大国が大規模かつ残虐な人権侵害をして幾多の罪もない人を殺害しても誰も責任を問われない、そのようなことでは、大国の都合でおびただしい虐殺が今後も果てしなく繰り返されるだろう。罪もない多数の犠牲者のことを考えると怒りしかない。

    イギリスにはイラク戦争検証委員会が設置され、調査が続いてきたが、未だに最終報告は出されておらず、検証は長引いている。アメリカに至っては全く検証・独立調査委員会設置の機運すらない。

    米国連邦不法行為法は、海外で行われた不法行為、戦争行為で生じた被害については国家の賠償責任を免除するという規定を置いており、米国は海外で行った戦争行為によりいかなる被害を個人に生じさせても

  27. ロシアが他の土地を求めなければ大きな戦争はおきません