元気な水しぶきが戻ってきました。名古屋市では、新型コロナの影響で中止になっていた小学校のプールの授業が3年ぶりに再開されました。一方でこの時期、気になるのが「プール熱」と呼ばれる感染症です。流行はどうなっているのか取材しました。

 子どもたちが楽しそうに泳いでいる、名古屋市の東桜小学校。水泳の授業が3年ぶりに始まる中、コロナの対策として”ある工夫”をしています。

 名古屋市の小学校では、新型コロナの影響で中止になっていた水泳の授業が、3年ぶりに再開されました。

 ひさしぶりのプールに児童たちは…

「潜るところが楽しかったです」「バタフライがしたい」「クロールをしてみたい」「いっぱい100%(楽しかった)」

 久しぶりのプールの授業ですが、感染対策は欠かせません。授業の前、プールサイドにやってきた子どもたちを見ると、マスクをつけています。

プールの授業中にも感染対策

感染対策(1)

「教室で着替えの時から、プールサイドに移動するまで、マスクをつけたまま。体操の直前にマスクを外す」(名古屋市立東桜小学校 橋本新 校長)

 プールの授業が始まると、子どもたちはマスクを外します。プールの前のシャワーでは…

感染対策(2)

「シャワーも、人数も8人くらいで入っている(以前の半分の人数)」(橋本新 校長)

感染対策(3)

 蜜を避けるために、プールに入る児童の人数を減らしています。プールサイドに待っている児童も、距離をとっています。足元には赤いマークがあり、ソーシャルディスタンスがとれるようになっています。

 青空の下、思い切り水の感覚を楽しむ子どもたち。

 その一方で先生は、水の中でもマスクを着けたままです。水泳用のマスクを準備したといいます。この他にも、感染対策として、ゴーグルやタオルの貸し借りはしないように、指導しています。

「自分自身も感慨深いですね。やっと学校らしい生活が戻ってきたのかなと感じます。子どもたちにとってはとても楽しみにしている活動なので、なるべく多く取り入れ、充実した学校生活をさせてあげたいと思う」(橋本新 校長)

プール熱(咽頭結膜熱)が徐々に増加傾向

 プールの授業が始まる中、新型コロナとともに、気になるのが「プール熱」です。

 名古屋市・西区のみわた小児科 では、「プール熱」が徐々に出てきているといいます。

「新型コロナの株がオミクロン株に代わって、子どもに感染してもそんなに重症化しないという話が出たころから、逆にアデノウイルスや他のかぜ症候群が散見されるようになった」(みわた小児科 三輪田博介 院長)

 「プール熱」は、咽頭結膜熱のことで、アデノウイルスが原因で引き起こされる感染症です。プールでの接触やタオルの使いまわしで感染することもあり、「プール熱」と呼ばれています。

「プール熱は俗な言い方であって、目やにが出て のどが痛くて熱が出る3つくらいを基礎とした病気です」(三輪田博介 院長)

 いわゆる夏風邪の一種で、目の充血や倦怠感のほか発熱が5日間ほど続く場合もあるといいます。

 すぐさま命に関わる病気ではありませんが、子どもがかかることが多く、流行しやすいため、感染すると学校は出席停止扱いになります。

「プール熱」 コロナ流行の2020年以降大きく減少

 「プール熱」は1年を通してかかる病気です。

 しかし、新型コロナが流行した2020年以降は大きく減っています。手洗いなどの感染予防の効果が出ているとみられます。

「ここにきて増えてきたというか、コロナが流行ってからここ2~3年、ゼロに近かったのが、散見されるようになってきたので逆に目立っているかなと思います」

 新型コロナと同じく、基本的な感染対策が有効ですが、プール熱の原因のアデノウイルスにはアルコール消毒が効きづらいため、特に手洗いが重要だとされています」

「家族内で、もし子どもが感染していた場合、家族みんなタオルを替える。うがい・手洗いは基本自分自身の体調管理をしっかりする」(三輪田 院長)

(6月8日15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)

「プール熱」の感染経路・対策

三輪田院長によると

▼「プール熱」というのは昔からの呼び方で必ずしもプールでうつるわけではない

▼感染経路は他の感染症と同じで「飛沫感染」「接触感染」

 また、愛知県感染症対策課によると対策としては…

1)タオルの共有はしない

2)流水できちんと手を洗う

 コロナ対策で重要視された「アルコール消毒」は、プール熱の原因となる「アデノウイルス」には効きづらいので注意。

「アデノウイルス」とは

 「アデノウイルス」は50種類以上の型があり、様々な病気を引き起こすとされています。
  
▼プール熱(3型)   

▼胃腸炎(41型など)…乳幼児に多く、腹痛・嘔吐・下痢を伴う

▼呼吸器感染症(7型など)…乳幼児に多く、重症の肺炎となることも

 さらに、世界各国で報告されている「子どもの急性肝炎」について気になる情報があります。

▼子どもの急性肝炎の原因はわかっていない。

 食欲不振や黄疸(おうだん)、嘔吐、右わき腹の痛みなどが症状

▼日本でも16歳以下の子ども31人が「疑いのある例」として確認
 うち2人から「アデノウイルス」が検出された(コロナの感染患者も4人)

▼厚生労働省は、専門家と連携し情報収集に努めるとしています。

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