映画のキャッチコピーは
“運命は、愛する人を二度奪っていく”であった。
映画主題歌は竹内まりさんの”天使のため息”。
映画作品の中でも重要な箇所ではストリングス
アレンジされその楽曲が流れた。音楽担当は
“宇崎竜童”氏。

1999年当時、私はこの映画を
劇場で観た上でかなり過小評価した。
小説”秘密” 東野圭吾を既読していたならば、
相当大事な箇所がスポイル(削除)されており、
まずその事に不満を持った。
作品というよりも
映像にし易い箇所だけを並べた興業のみを
優先した駄作とさえ思えた。
でも、あの頃の私は若造で、
寛容さがまるで足りていなかった。
原作の映画化
というものの”宿命”さえ鷹揚に受け止める
ことが出来ずにいた男だった。

けれども”秘密” の
ラストシーンだけは
強く脳裏に焼き付いていた。

この映画はキャスティングが北野映画と絡む
(キッズリターンやHANA-BI等)ので
どちらかがオマージュ(リスペクトを踏まえた)
なのではと感じていた。

映画のクライマックスである
ラストシーン”(武監督の”HANA-BI”)がどうしても
“かぶる”のである。

出番は少ないものの
女優、岸本加世子の存在はやはり大きい。

正確には北野監督のHANA-BIは1997年には
完成され公開済みで、
本作は1999年に劇場公開されている。

東野圭吾の原作と比べれば
映画という時間制約の
非常に限られた表現なので、
映画では平介のあまりにも克明で
辛辣で壮絶な苦悩や
“切なさ”の記録は
伝えられ切れてはいない。
また藻奈美役である広末涼子には
さすがに”ランドセル”をしょわせる
訳にはいかず原作とは
娘の生育歴のスタートも異なる。

小説”秘密” (東野圭吾著作)は、
女性だけでなく男性をも圧倒した。

既婚者の実人生すら
強い影響を及ぼした程の
秀作である。

20数年あまり経過した2022年。

改めて本作品の映画を観れば、
初めて映画館で観た時と評価は
真逆となり、
杉田藻奈美(娘)と平介の妻であった
直子を見事に演じきった、
広末涼子の体当たりの
演技に圧倒され感動させられた。

恥を忍んで謂うならば、
20年前と比べれば
私も幾ばくかは
人間力に厚みが増したのかと
感じさせてくれる暖かい映画であった。

WACOCA: People, Life, Style.