9月27日に行われた安倍元首相の国葬。開催を巡っては賛否が分かれた。そんな中、話題となったのが、第2次安倍内閣の官房長官として長年安倍氏を支えた、秋田県湯沢市出身の菅義偉前首相。友人代表として弔辞を述べ、涙ぐみながら思い出を語る姿が多くの人の印象に残ったようだ。中でも、安倍氏への深い思いをうかがわせるのがこの場面だ。

 菅義偉前首相:
「いみじくも山県有朋が、長年の盟友・伊藤博文に先立たれ、故人を偲んで詠んだ歌でありました。総理、今この歌くらい私自身の思いをよく詠んだ一首はありません。『かたりあひて尽くしゝ人は先立ちぬ今より後の世をいかにせむ』深い悲しみと寂しさを思います」

 引用したのは、議員会館の安倍氏の机の上に置いてあった本に、マーカーで印を付けていた歌だが、その本というのが、政治学者・岡義武さんの著書「山県有朋」。この1冊が全国的にも注目を浴びているということで、秋田市の書店を取材した。

 秋田市のTSUTAYA仁井田店。国葬以降、この本に関する問い合わせがあった。

 TSUTAYA仁井田店・佐藤尚店長:
「来店や電話での問い合わせが、1日3~4件のペースで増えている状態。秋田にゆかりのある菅さんの引用した本なので、それで注目を浴びたというのはあると思う」

 しかし現在、店には在庫がなく、注文しようにも出版元の岩波書店と連絡がつかない状況だ。

 TSUTAYA仁井田店・佐藤尚店長:
「全国で注文が殺到しているようで、なかなか在庫の確保が難しい状態。現在の対応は注文の形だが、商品が確保され次第、店頭にも在庫を置きたいと思う」

 反響を受け、岩波書店ではこの本の重版を決めた。

 今回の国葬について、手放しで評価はできないが、菅氏の言葉が多くの人の心を動かしたことは事実だ。

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