今の日本では、20歳になれば国民年金に加入しなければならないという事が決まっています。
でも20歳と言えばまだ大学生ですから、収入がありません。
なので、国民年金を納めていなかったという方も多いと思います。
それに国民年金の保険料は、年間にすれば約20万円もしますから、
学生の身分では簡単に払える人も少なかったと思います。

では、学生時代に払わなかった年金保険料は、払わないとどうなってしまうのでしょうか。
そこで今回は
・後から払わないと年金はどのくらい減るのか
・後払いすると本当にお得なのか
・支払期限が過ぎていても後払いの必要がないかも?
という事について、説明します。

1.後から払わないと年金はどのくらい減るのか

まず最初に、そもそも今回お話するこの年金ですが、老齢基礎年金についての話になります。
年金は大きく分けると老齢基礎年金と老齢厚生年金に分かれますが、会社員や公務員の方が受け取る年金はこの2つを合わせたものになるんですね。

老齢厚生年金の方は、年収の額と保険料を納めた期間によって受け取る年金額が決まりますが、老齢基礎年金の方は、年収とは一切に関係なく保険料を納めた期間だけで受取る年金額が決まります。
因みに満額は、現在は年間で約78万円となっています。

で、ここから本題になりますが、学生時代に年金保険料を納めなかった場合、老後の老齢基礎年金はどのくらい減るのかと言いますと、
「減額される金額=約1.95万円x未納年数」
この計算式で求めることができます。

例えば学生時代に保険料を納めていなかった期間が2年間あるという場合は、約1.95万円x2年=約3.9万円、つまり毎年約3.9万円の年金が減るという事になるんですね。
「たったそれだけか」と思うかもしれませんが、老後は年金が主な収入源になりますから、数万円でも年金が減るのは、厳しいと思います。

2.後払いはお得なのか

という事ですが、結論から言えば「お得」と思います。
と言いますのも、払った保険料よりも、受け取る年金の方が高くなるからです。

先ほどは、学生時代に2年間保険料を納めていなかった場合、年金は約3.9万円減ると言いました。
2年間分の年金保険料は、約39万円です。
ですから、この約39万円を払えば、年金は毎年3.9万円減ることはありません。

年金を受け取って10年も経てば、約3.9万円x10年=約39万円になりますから、つまり10年で元が取れるという事なんですね。
ですがもう少し細かく計算すると、実際はもっと早く元がとれます。

なぜかと言うと、後から払うこの約39万円の年金保険料は、税金控除の対象になっていますので、後からお金が戻ってくるんですね。
そこで、税金控除後の金額でざっくり計算してみると、約8年で元が取れるということになりました。
なので、後払いは「お得」という事になるんですね。

なお今回は、保険料未納期間を2年で計算しましたが、実は未納期間が1年だろうと、3年だろうと4年だろうと、計算してみると、だいたい8年で元が取れる
という結果になるんですね。

3.支払期限が過ぎていても後払いの必要がないかも?

という事ですが、先ほどは、約後払いはお得だと言いました。
ですが、もはや後払いの支払期限が過ぎてしまっているという人も多いと思います。

因みに後払いの期限は、
・猶予期間については10年まで
・未納期間については2年まで
となっていますので、今の年齢が50代とか60代という方は、猶予期間があろうがなかろうが、既に期限が過ぎてしまっていると思います。

「じゃあ、後払いなんてできないじゃないか」と思うかもしれませんが、実は会社員や公務員の方の場合、そもそも後払いする必要がないかもしれません。
と言いますのは、今は定年が65歳の会社が多いですから、60歳以降も厚生年金保険料を納めている人はたくさんいらっしゃいます。

その場合、60歳以降に納めた厚生年金保険料の年数に応じて経過的加算額というものが加算されるということになっているんですね。
その結果、老齢基礎年金の未納分を穴埋めすることができるということになります。

例えば、学生時代の保険料未納期間が2年間あったという人でも、60歳以降も働いてトータルで40年間、厚生年金保険料を納めていれば、老齢基礎年金の満額に相当するお金が
経過的加算額として加算されるということになります。

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