◆秋分(しゅうぶん)
昼夜の長さがほぼ同じになる日
新暦9月23日~10月7日頃

秋霧 ~秋分の自然~
秋が深まると、内陸の盆地では頻繁に霧が発生します。
京都では「丹波霧」が有名で、盆地を埋め尽くす深い霧が幻想的な光景を創り出します。霧は、無数の微細な水滴が空気中に煙のように立ち込める現象。万葉の頃は季節に関係なく「霧」と呼んでいましたが、平安時代になると「春は霞、秋は霧」と使い分けるようになったそうです。「春秋の争い」という言葉がありますが、かつて日本人は、春と秋のどちらが優れているかを議論しました。
同じ現象でも微かな趣の違いを捉え、季節を対比して魅力を確かめ合う――そんな、豊かな感性があったのです。

精進料理 ~秋分の暮らし~
もともとは修行僧の食事で、殺生を禁じる仏の教えに従い、肉や魚をいっさい使わず、野菜や豆類、穀物を工夫して作られます。
海から遠い京の都は魚介類の入手が困難で、その代わりとして寺社による精進料理が発達しました。農家の人々は、これを支えるため、努力や工夫を積み重ね、味わい深く栄養価の高い野菜を生み出していきます。これが、「京野菜」のはじまりといわれます。
寒暖の差が激しい独特の気候や豊かな土壌も、良質の野菜を育んできた要因の一つでした。信仰心の篤い京都では、今でも大切に、この仏のご膳が継承されています。

Present by 京福電気鉄道(株)(制作2010年9月)

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YouTubeチャンネル「NipponArchives」
https://www.youtube.com/NipponArchives2013

1 Comment

  1. 秋分 陰陽の中分となれば也。
    季節の変り目、京の盆地は深い霧に覆われます。
    平安時代、人々は春と秋、どちらが優れているかを議論しました。
    春は霞、秋は霧。
    同じ現象でも微かな趣の違いを捉え、言葉を使い分けています。
    人の豊かさは、自然を感じ取る力で図られるのかもしれませんね。
    西の彼方のご先祖様に、思いをはせる、秋のお彼岸。
    殺生を禁じる仏の教えに従い、肉や魚を使わない、精進料理をお供えします。
    信仰心の篤い都では、良質の野菜を育て、仏のご膳を継承してきました。
    何も奪わず、貪らず、そのわきまえた生き方が清らかさのもとになっているのかもしれません。
    ひんやりと頬を撫でる秋の風、虫たちは早くも冬支度を始めたようです。
    京都には二十四の季節があります。