インタビュー記事全文
https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/in-my-mode
精神分析については記事の中盤から。
00:00 OP
02:28 9年近く精神分析を受けている
06:16 ジャングルの中を行く
08:07 9年は長い?
今日はですね、宇多田ヒカルのインタビューについて話そうと思います。
宇多田ヒカルが9年近く精神分析を受けているという記事を皆さんと共有したいなと思います。
普段のホワイトボードを使った形式ではなくパソコンのカメラを使っているのは、単純に僕の体調が悪くてそこまでする時間が足りず、動画も追いつかなくなってきているので1分1秒を削ってでも撮るというスタイルでやらせてください。
これは、VOGUE JAPANの2022年の7月号です。
6月ぐらいにこの宇多田ヒカルのインタビュー記事がTwitterとかインターネットに出てきて、僕が知ったのは本当にこの1、2週間です。
リアルタイムで知ったわけでなく時間が経ってから知りました。
これを動画にするかどうかは結構悩んだのですが、精神科臨床というものがどういうものなのか…、なかなか治らないということを皆さんコメントしてくれていますが、宇多田ヒカルも9年精神分析を受けているということはどういうことなのか…、僕が推測を入れてしまうと診断の要素が入ってしまうので、あくまでこのインタビュー記事を読みながら、自分の気持ちを中心に語ろうかなと思います。
全部読むと著作権の問題があるので抜粋して読みます。
■9年近く精神分析を受けている
宇多田:「9年近くやっている精神分析の影響もありますね。もともと自分を分析して、その時の自分に必要だった自分の真実みたいなものが歌詞になることが多かったのが、精神分析を長くやることによって、セルフセラピーの意味合いが顕著に出てくるようになったんだと思います」
なるほどね。
自分の体験を作品に落とし込むタイプのアーティストだったんだよと、そして、精神分析的な営みを繰り返すことで、作品というのが自分の気持ちを垂れ流したりとか、自分の気持ちをそのままただコピーして置いておくという作品から、「自分を癒すための成果物」に変わってきたということですかね、これは、うん、なるほどと思います。
V:精神分析の話は英語のインタビューで拝読しました。具体的にはどんなことをされるんですか
宇多田:「周りの親しい友人も何人かやっていて、聞いてみたらいろいろな学派があるんです。ラカン系とか、フロイト系とか、ユング系とか。私は精神分析医に背を向けて窓の外を見ながら話すんです。通い始めの頃は仕事をしない時期だったし、ちゃんとやりたかったので、週5で1回20から30分」
V:そんなに短いんですか?
宇多田:「ほぼ30分。良いところで精神分析医が立ち上がって、じゃあ、みたいな感じで終わる。私が何か気づきに至った、そこ大事そうってところに差し掛かったらおしまい。産後は何カ月か休んで、今は週3で通ってます」
と言うことですね。
精神分析の中の20分から30分ということなので、おそらくラカン派の人ですね。
背面式と言って、背中を向けてカウンセリングするやり方をしているようです。
多くの臨床でやっているのは対面式で、顔を合わせてやります。
あとは90度法と言って、横顔だけ見えるような形。
カウチという寝椅子を使うパターンもあります。
この診察室にあるのはソファーですが、これもカウチの役割を兼ねています。
実際は僕はカウチに寝かせた臨床というのはやっていませんが、一応置いています。
週5ということですが、普通の精神分析というのは確かに週5でやります。
ただ、日本だと精神分析的精神療法という形で週1でやっているところがほとんどです。
週5でやっているところはほとんどないですね。
インタビューの人が「30分」と言うと、「えっそんなに短いんですか?」という感じなのですが、僕がやっている臨床は5分+αですからもう滅茶苦茶ですよね。
僕らがやってる日本の精神科の臨床は5分+α、初診でも30分+αという。
滅茶苦茶といえば滅茶苦茶な感じはしますが、まあそういう感じです。
宇多田ヒカルが受けているのは精神分析「医」と言っているので、医師が精神分析の資格を取ってやっているということなんだと思います。うーん、なるほどと。
皆さんもいろんなご意見があると思いますが、それはコメントしてください。
■ジャングルの中を行く
お母さんが亡くなるちょっと前に、子供の時の寂しさとか、お母さんとの関係とか、ある種のトラウマみたいなものを、分析によって癒しているということです。
それが9年経ってもなおまだまだ掘り進める部分、自分の心と向き合いながら語りたい、語るべきこと、というものがあるようだということですね。
どういうニュアンスなんですかというと、
宇多田:「自分の中のジャングルを行くみたいな感じで、そのガイドさんがいる感覚ですね。いろんなジャングルに行ったことがあるプロのガイドさんが折々、ここに何かあるよと教えてくれたり、ちょっとそっちは危ないんじゃないとちらっとアドバイスをくれたり。基本的に私が好きなことを話すんですけど、時々質問を挟んでくれたりたまにコメントがある」
というのがカウンセリングのやり方ということのようです。
色々なジャングルというのが面白いですけど、無意識とか過去とか、自分の内面に潜っていくということですね。
プロのガイドというか、僕らはいろんな人が降りていった様を体験してるというか、見たことがあるし聞いたこともあるので、こっちじゃないとか、こっちがいいかもねと言ったり、ここはちょっと考えが足りないかもねとか、ここはもうちょっと考えてみたらとか、ここはあなたは本当は喋りたいんだけれど、喋ることを回避していつもの悪いループに入ってるよねとか、そういう言い方をするという感じですね。
■9年は長い?
9年というのは長いと感じるかもしれません。
若い人とか特にそうだと思いますね。10代とか20代とか。
9年というのがすごく膨大な時間に感じて、絶望的な気持ちになることもあると思います。
9年経ってもまだまだ治療が終わらない。
一人前にさえなっていないんじゃないかというような不安というか、恐怖もあるのかなという気はします。
僕自身、医師になってから精神分析を学ぼうと考えた時に、9年、10年経ってもなお、まだ一人前になれないという、当たり前といえば当たり前なんだけれども、そういうことに対する焦りは10代、20代の時に感じたりはしました。
どうやったら一人前になれるか、精神分析家の資格は取れるんだろうかと、ホームページで何度も見たりしていた時期もありました。そういうことも思い出します。
日本の臨床というのはそういう形じゃないですよね、明らかに。
週5での治療を受け入れるとか、そういうことを求める人に対してもできたら面白いんじゃないかと思いますが、実際僕は早稲田という都心でクリニックをやっていても、そういうビジネスモデルを成立させるのはほとんど不可能なんじゃないかなと個人的には思っています。
だから臨床をやりながらYouTubeを撮るぐらいのことしかできないというか、そういう感じですね。
日々の臨床の5分+αの中でも、それでもなお患者さんが持ってきてくれたものに対して僕はコメントとか気付いたことを提供していると。
今通院中の方で7年、8年と関わってる人もいるし、毎週通っている人もいれば月1回通っている人もいるし、いろんな人がいます。
半年ぶりに来て何かを語って、また半年後に来るという人もいますね。
僕はこういう人生でこういう生き方をしているということなんだろうなと思います。
ということで、今日は宇多田ヒカルのインタビューを紹介しました。
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【心理学】自我・超自我・イドについて、なんとなく解説
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PCもしくはブラウザから申し込んでください、すいません…
【精神科医がこころの病気を解説するChとは?】
一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介
【自己紹介】
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 https://www.medsi.co.jp/products/detail/3509
倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb130991f3fa4
【コメントについて】
・コメントは承認制です。誰かのコメントに返信されているものは誤解される可能性もあり、基本的に承認されません
・コメントは益田が目を通していますが、手が回らず、質問にはお答えできません。ハートマークもつけてません。
・(のちのち)自分や他人を傷つける可能性のあるものは承認されません
・他の人への返信も原則禁止です。共感的なもの、相手に役立つものは一部、許可しています。短い時間で判断しているので「どうしてこれがダメなの?」みたいなものもあると思いますが、それはこちらのミスであることも多いです。ご了承ください。
【取材対応。テレビや雑誌、Webメディアの人へ】
気軽にご相談して下さい。 toiawase@wasedamental.com
方針についてはこちら https://youtu.be/esgbyuhTvRo
【公認の切り抜き動画はこちら】
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【動画制作の裏側はこちらから】
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25 Comments
日本一成功している人が病んでるのは居た堪れなくなると同時に歌詞を見るにそりゃそうだなぁと思う
インタビュアーは、ジェーン・スーさんですよね
ポッドキャストが面白くて聞いてます
宇多田さんのインタビュー読んでみたいです
宇多田ヒカルさんの件、とても気になっていたので益田先生の解説を聞くことが出来てよかったです。
お忙しいと思いますので、お身体ご自愛ください😊🍀✨
益田先生こんばんは(('ェ'o)┓ペコ
宇多田さんは結構長期間、精神分析をされてたんですね。
全然知らなかったです。
きっかけはどんな事だったのかなぁ。宇多田さんは精神分析の結果を、歌という作品に反映させる事もあるのでしょうか。
自分を長期で分析して知ることは、かなり辛い作業にも思えるのですが、宇多田さんの精神力で乗り越えているのかな。
凡人の私にはなかなか出来そうにありません💦
最近体調不良が続いておられるようなので、少しでも休養してください。
今日もありがとうございました🐰
YouTubeのコメントを読むと、この角度からこういうふうに動画を見ているんだな~と思ったり、私も少しずつ色々な角度から動画や物事を見られるようになりたいな~と思ったりします。
今日の動画内容と関係ないコメントですみません。
つまり、心のお医者さんじゃなくて相対性物理とか歌で解いて時とっとと飛ぶのが宇多田ヒカルの正解じゃないんですか?
精神分析、辛くないのかなあ と思ってしまいます。
思い出したくない過去、過去の嫌な自分にも向き合う、その自信が無いです。
精神分析の利点(メリット)って何でしょう、、。
宇多田さんも苦労されてるんですね。精神分析9年は長いですもんね。私もうつになって丁度1年位で、今は自分の精神疾患と向き合いたいと思ってます。私の病気がただのうつなのか双極性なのかグレーな感じなので今月末の診察の時に主治医の先生に聞こうと思ってます。益田先生、体調が良くないということなのでご自愛下さい。
ブリーフセラピーやCBTのほうが、、、
私はネットニュースで宇多田ヒカルさんの記事を読みましたが、私は「呪縛」という意味が解っていません。漢字だけで見ると何だか恐いイメージがありますが、、、
私は宇多田さんのファンでもあるのですが、
彼女がちゃんとカウンセリングに繋がっていた事を知って安堵しました。
彼女は、刹那過ぎて酷過ぎる境遇を生き
それを昇華して音楽を作ってるからです。
才能とエネルギーは
違うかも知れません。
彼女を支えている人々が
いると知って、
ホッとしたんです。
先生。体調大丈夫ですか?ご無理なさらず、おねがいします。毎日、ありがとうございます😊
鼻声っぽいですねー。
気を付けてくださいネ。
宇多田ヒカルさんの週5で9年の精神分析もなかなかですが、
この益田Dr.のYouTube、LIVEを入れて毎日×今迄も凄いと思った次第です。
毎日、直接お会いしている訳では無いですけど、画面越しにセッション受けてる気分です。
今日も有難うございました。
宇多田ヒカルの人間活動って、精神分析のことだったんでしょうね。
彼女が精神分析をジャングル探索という表現をしてますが、自分も9年近くカウンセリングを受け続けてるので、この表現がしっくりきました。
宇多田ヒカルさんも大好きなので、嬉しいです。🥇🥈🥉
自分は当時鬱と診断されており、主治医の勧めで数か月間だけですが毎週精神分析を受けていたことがあります。ですが、自分だけが話すスタイルがすごく苦痛で、毎回ストレスで辛かったことを思い出しました😥費用も1回8000円と休職中の身にはきつかったので、あれは経済的に余裕がある人じゃないと、もともと心が病んでいる人は受ければ受けるほど、追い詰められて心が病むと思いました。。ちなみに当時から10年程通っていた病院を最近就労支援のスタッフさんの勧めで転院し、転院後の病院で発達障害と診断されました😟宇多田さんは9年も受け続けていてシンプルにすごいと思います。
益田先生風邪でしょうか?酷くならないと良いのですが🤗精神分析と言うのは、ただ心療内科等に通うのとは違うのですね。ちょっと調べてみます。私は、16年お薬を服用し躁鬱として治療していますが、一度の診療で1時間ほどです。月一回です!よっぽど自分が変だなと思うときはその都度予約を取ります。
先生‼️体調、大丈夫ですぅ??
しんどい時は休む❣️(笑)
お気をつけください‼️‼️
お大事になさってください。おつかれではありませんか。
宇多田ヒカルさんも益田先生も好きだから嬉しい🥰💕
宇多田ヒカルさんも親子関係に悩んでいたんですよね。お母様が統合失調感情障害らしいですね。若い頃から才能に恵まれていた人がこれほど苦悩してたんだなと考えさせられました。
それだけの時間を取って精神分析ができたら楽しそうだなぁと思いますが、医師の時間を長く独占するというのは医療資源の視点からも贅沢すぎるというか不可能というのは良く分かるので少し寂しいですね。
今日は診察日で、いつもは待ち時間の間に何を話そうか考えるのですが、今日は次の診察日をいつにするかを考えてしまって〜私が原因で診察日がズレてしまったこと、クリニックの臨時休診、他の用事との兼ね合い、間隔の長短〜もう決められなくて先生に決めてもらいました。なんだかなぁです。
宇多田ヒカルさんの、自身のメンタルとの付き合い方は、日常なんだなと思いました。
治療のためでもあり、必要だから受けているという印象です。
益田先生、毎回、参考になる動画、
ありがとうございます。
無理をなさらず、ご自身のペースで
配信をしてくださいね。
先生、無事こそ名馬ですよ!ご無理なく!