Interview & Text:東條祥恵
Photo:堀内彩香

 令和最強のギターレスミクスチャーロックバンド、ASH DA HEROからメジャー3rdシングル「BELIEVERS」が到着。新曲は、TVアニメ『ブルーロック』のOPテーマ曲「Judgement」を大ヒットさせた彼らが、再びアニメと熱いタッグを組み、TVアニメ『杖と剣のウィストリア』Season2のオープニング主題歌として書き下ろしたナンバーだ。2025年、アメリカ、韓国、ブラジルなど9か国を巡るワールドツアーを行ない、旗揚げ10周年を迎えた彼らが、その軌跡を詰め込んだ本作についてASH(Vo.)、Sato(Ba.)、WANI(Dr.)、Dhalsim(DJ)の4人に聞いた。

10年目の原点回帰のような新曲

――新曲「BELIEVERS」はTVアニメ『杖と剣のウィストリア』のOPテーマ曲。マンガソムリエのASHさんはこの作品、ご存じでしたか?

ASH:もちろん。めちゃくちゃ原作のファンだったので、オファーを頂いてものすごく嬉しかったのと同時に、『杖と剣のウィストリア』はASH DA HEROのファンのみなさんには絶対に刺さると確信を持っていえるほど、ものすごく親和性が高いと思うんです。なので、「BELIEVERS」はこのアニメを盛り上げる側面と同時に、僕らがいま一番伝えたいメッセージソングとなっています。

――ファンならこの曲もアニメもどちらも好きなはずだと。

ASH:ええ。『杖と剣のウィストリア』はASH DA HEROのファンはもう150%泣ける、グッとくる作品だと思います。特にシーズン2はヤバいと思う。

Sato:僕はASHに薦められて原作もアニメも見たんですけど、特にシーズン2は激アツなストーリー展開が続くんで、しっかり心掴まれました。だから、「BELIEVERS」の歌詞一つとっても、自分たちの話だなと思うと同時に、アニメを見返すと、アニメも自分たちの話のように思えてくるんです。

WANI:僕はアニメが大好きで、普通にこのアニメも見ていたので、オファーがきたのを知ってビックリしましたね。この作品は映像が凄かったり、内容もめっちゃ面白くて。何者でもない主人公が幼なじみと交わした約束を果たすために努力して強くなっていくんですけど。俺たちも何者でもなかった人生から、好きだったこと、夢をもう1度追いかけて、いまこうして活動できているので、親和性という意味ではすごく高いと思います。

Dhalsim:僕はASHから教えて貰って、まずマンガの単行本を全巻買い揃えました。モノとしてちゃんと欲しいタイプなので。

ASH:フィジカルで全部揃えたいってところはDJだよね。

Dhalsim:デジタルだと形に残んないから。そういうところはアナログなんですよね。それで、マンガを読み始めたら一気に読んじゃって。自分の境遇と重なるところもあって、自分を投影して「分かる、この気持ち」と思える作品でしたね。

【TVアニメ『杖と剣のウィストリア』シーズン2 OP主題歌】BELIEVERS / ASH DA HERO

――タイアップも、ただ曲提供をするだけではなく、作品を熟知した上で、そこに自分たちと投影させ、制作に挑んでいるのですね。

Dhalsim:はい。やっぱり作品を知らないと音のアプローチとかも変わってくるんで。別に僕は曲や歌詞を書く訳ではないですけど、そこに入れるスクラッチも、作品を知ってたら、その世界観を反映させられるんじゃないかなと自分では思っています。

――なるほど。「BELIEVERS」自体は、ASH DA HEROのど真ん中。直球を投げた楽曲だなと受け止めましたが

ASH:そうですね。2025年、ASH DA HERO旗揚げ10周年というメモリアルなタイミングを迎えて。2026年はバンド結成5周年が始まるタイミングなので、その第一弾として、ここで今一度、ASH DA HEROとして原点回帰じゃないですけど、マイルストーンになるような楽曲をというので作ったのが「BELIEVERS」です。

――現編成になって以降、直近でリリースした3rdアルバム『HYPERBEAT』までのチャレンジングなモードとは。

ASH:違いますね。『HYPERBEAT』まではグルーヴだったり、バンドが内包している本性みたいな部分を打ち出したカルチャー色の強い作品が続いてたんですけど。そのベクトルを今回はもう少しマスに向けて。“そうそう、ASH DA HEROってこうだよね“ともう一度思ってもらう作品を意識して作りましたね。


ASH

――ベクトルをマスにシフトしようと思ったきっかけは?

ASH:『HYPERBEAT』を制作して国外のオーディエンスに届けていくなかで、いい意味で“あれ?”と思ったポイントがたくさんあったんです。『HYPERBEAT』や(1stコンセプトアルバム)『New Chapter』のような作品に振り切った理由の一つとして、ワールドツアーが控えていたことが大きいんですよ。国外で俺たちの音楽、メッセージを伝えるためには、日本語のJ-POPやJ-ROCK的なフォーマットではなく、ワールドスタンダード。言語が伝わらなくても踊れたり伝わるビートやグルーヴにシフトしようと思ってそうしたんですけど。それでライブを重ねていくうちに“いや、待てよ”と。日本の俺たちが好きで集ってくれるオーディエンスは、俺たちがオリジナルで持っているサウンド感やトップラインを愛してくれてるんだなってことに、だんだん気づいていったんですよ。例えば「オクターヴ」や「Beast Mode」、「PARADE」みたいなメロが立っている楽曲をやるとすごく反応が良かったり。「Everything」とか、海外ですごく受けがいいんですよ。

――ということは、ワールドスタンダードとか意識しなくとも。

ASH:俺たちが元々持っているグルーヴやルーツミュージック、俺たちが背負っているカルチャーを出しながらやっていけばいいんだと思ったんです。それで、次のタームにいくときは、トップラインが非常に立っているもの。日本人にしか書けないトップラインっていうのが絶対にあるんで、サビのトップラインはグッドメロディーにして。そこに、いいフレーズのリフレインを多用する。そういうものを意識して書いたのがこの曲です。

――「BELIEVERS」のメロディックなサビとか、<going back back>をリフレインするところは、ワールドツアーに行ったからこそ。

ASH:生まれた発想かもしれないですね。J-POPやJ-ROCKの強さ。これは俺らのオリジナルで、これはどう考えても誇ったほうがいいとワールドツアーで思わされたんで。それを、2026年のASH DA HEROのモードとして一つ示したのがこの作品ですね。

――今作はそのグッドメロディーとともに、ストリングスも大きなポイントになっていました。

ASH:そこはレフティ(=サウンドプロデューサーのRyo“Lefty”Miyata)が魔法をかけてくれました。

――『杖と剣のウィストリア』自体、魔法世界の物語ですからね。

ASH:ギターレスにストリングスって、俺には絶対にない発想ですから。すごい魔法っぽいなと思いましたね。


Sato

――Satoさんのベースとストリングスとの関係が途中で変わって魔法がかかるところもありましたね。

Sato:サビの、歌の隙間でユニゾンするところですよね。ギターレス(バンド)ということで、今回は割とオーソドックスなプレイではあるんですけど、でも要所要所で、そういう飛び道具のようなセクションが入っているんです。2番に入って、リズム隊でドラマティックに展開していくところとか、弾いていても面白かったです。

WANI:僕も2番のAメロはちょっと遊んでみました。ここ、隙間空いてるので、もらっていいですか? みたいな感じでエフェクトシンバルとか、いろんな魔法を使ってみました。その分、逆にサビはストレートで。シンプルな感じにしてメロディーと歌詞を重視しました。でも、この曲はDメロの。

――<さあ 叫べ 全感情を乗せて>のところが熱い!

WANI:そうそう! この歌詞通りで、なんかもう壮大な、ちょっとエモーショナルな気持ちになって、全感情を乗せました。リズムに。

Dhalsim:僕はそこからラスサビに入るところに一瞬だけ。0.3秒ぐらいだけバックスピンの音が出てくるんですけど。そこに全感情を乗せました。あそこは、元々デモから入っていて「ここ、差し替えて」ってASHにいわれてたんですよ。だけど、なんか知らないけど、あそこ、すっごい時間かけたんですよ。

ASH:ここは巻き戻しがしたかったの。過去から未来に戻る。『Back to the Future』的な感じにしたくて。(歌詞が)お前はどういう道を歩んできたんだって、自問自答してるところからもう一回未来に帰って、じゃあ最終的に何のためにやってんだ? って展開していく場面だから、どうしてもバックスピンを入れたいんだよねってダルに話して。

Dhalsim:バックスピンのスピードとかどれがいいのかめちゃくちゃ録り直して、いまのになった。こだわりのバックスピンです。


Dhalsim

ASH:ちょっとネタバレになっちゃうんですけど、ここは主人公のウィルが過去の自分を思い出していまに戻ってきたとき、目の前にあるお前の魔法、お前の才能はなんだってなったとき、“チャキーン”って剣が落ちてくるイメージ。

――そのストーリーは、アニメと同時にASH DA HEROの原点回帰の物語にもぴったり重なってるんですね。

ASH:作品にリスペクトと愛を捧げると同時に、僕らの物語との掛け算にならないと。タイアップというのは、お互いにとっての相乗効果がないと絶対にダメですから。そこをいつも一番意識して作ってます。

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