この時期の恒例行事ともいうべき『名探偵コナン』の映画が今年も公開中です。
いきなり個人的なことを言わせてもらうと、1作目の劇場版『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』(1997)を映画館で鑑賞しており、そんな作品が29作目を迎えているって、かなり感慨深いものがあります。
わたしは今作を現時点で2回鑑賞しましたが、2回目のほうが解像度がぐっと上がりました。それはおそらく、2回目をDolby Cinemaで鑑賞したから。1回目で内容を把握していたから映像の見方が変わったなどの要因もあるかもしれませんが、Dolby Cinemaはとにかく没入感がすごかった…!
Dolby Cinemaとは通常よりも豊かな色彩と優れた音響が魅力の上映フォーマットです。ゆえに、今回オープニングから“肝”となる黒が、通常の上映に比べてさらに深く観えるのが非常に印象的でした。
そして、さらに迫力があるのは音。バイクで疾走するシーンは言わずもがな、どちらからどちらに向かって風が吹いているか、爆発した火花がどこを舞っているかまで音によって体験できます。わたしたちの背後、観えていない部分まで想像させてくれるのです。
『名探偵コナン』の映画の特長のひとつに、IMAXやMX4Dといったフォーマットの多様性が挙げられますが、Dolby Cinemaだからこその没入感による、あのスリル、あの快感…! は、ぜひ1度試していただきたいなと感じました。
さて、ここからは『ハイウェイの堕天使』の内容に言及します。
今作は上映開始から、いつも以上にSNSでの賛否が分かれているように感じます。おそらくはこれまでと比較した事件の弱さが主な原因なのではないかと思います。
特にここ数年は、事件の規模がとにかく大きかったですから…。その流れを汲んだ作品を期待した人たちのなかには、これは劇場版にするほどのエピソードなのだろうか? と思った人もいたのかもしれません。
『ハイウェイの堕天使』は神奈川県警交通機動隊に所属する萩原千速をメインに据えたことで、最後にちらりと“世界”を巻き込みつつあるような状況の提示こそあるものの、登場する警察関係者は神奈川県警内部(+警視庁交通課の宮本由美と三池苗子)に限定されます。
事件の顛末やトリックに驚きや大きな仕掛けは、たしかになかったかもしれません。ただ、萩原千速という人間にフォーカスしたからこその面白さと、本編でもそこまで登場が多くない、ある意味ニッチなキャラをメインにしながら一見さんにも入りやすい構造になっていたことは、“さすが”の一言に尽きるのではないでしょうか。

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