「Headwolf Titan 1」。実売価格は59,999円だが、Amazonのセールではたびたび5万円を切る価格で販売されている

 「Headwolf Titan 1」は、8.8型のAndroidタブレットだ。ハイエンドに近い性能を持ちながら実売5万円前後というリーズナブルさを特徴とする製品だ。

 8型クラスのタブレットといえば、Amazonの「Fire HD 8」を筆頭にエントリークラスの製品が多くを占めており、iPad miniと渡り合えるタブレットを探そうとしても、なかなか候補がないことで知られる。以前紹介したレノボ「Lenovo Legion Tab Gen 3」などゲーミングタブレットがわずかにあるが選択肢は少なく、先日終売を発表した「RedMagic Astra」のように、発表されても短期間で終息する場合もある。

 今回紹介する「Headwolf Titan 1」も、ゲーミングタブレットを自称する製品だが、USB Type-Cポートを2基搭載した「Lenovo Legion Tab」のようなエッジの効いた特徴はなく、一般的なAndroidタブレットの延長線上といっていいスペックが特徴だ。SoCはMediaTekのDimensity 8300、2.5Kディスプレイを搭載しつつ、実売価格も5万円前後と、10万円近いハイエンドタブレットに比べ入手性の高さも魅力だ。

 今回は筆者が購入した実機を用い、電子書籍ユースを中心とした使い勝手を、iPad mini(A17 Pro)と比較しつつチェックする。

8.8型で解像度は2.5K対応、モバイル通信にも対応

 まずはiPad mini(A17 Pro)との比較から。

Headwolf Titan 1iPad mini(A17 Pro)発売2025年10月2024年10月サイズ(最厚部)208×129×7.9mm195.4×134.8×6.3mm重量325g293gOSAndroid 15iPadOS 18CPUMediaTek Dimensity 8300
オクタコア (1×A715/3.35GHz 3×A715/3.2GHz 4×A510/2.2GHz)A17 Proチップ
2つの高性能コアと4つの高効率コアを搭載した6コアCPU
5コアGPU
16コアNeural Engineメモリ12GB8GBストレージ256GB128/256/512GB画面サイズ/解像度8.8型/2,560×1,600ドット(343ppi)8.3型/2,266×1,488ドット(326ppi)通信方式Wi-Fi 6EWi-Fi 6(802.11ax)生体認証顔認証Touch ID(トップボタン)バッテリ容量(メーカー公称値)7,200mAh5,078mAh
Wi‑Fiでのインターネット利用、ビデオ再生: 最大10時間コネクタUSB Type-CUSB Type-C価格(発売時)5万9,999円(256GB)7万8,800円(128GB)
9万4,800円(256GB)
13万800円(512GB)

 筐体はiPad miniよりもやや細長く、片手でつかむことも可能なサイズ。公称325g、実測340gという重量は、8.3型ながら300gを切るiPad miniには劣るが、実質的に9型に近い画面サイズであることを考えると、及第点と言ってよいだろう。ディスプレイは2.5K(2,560×1,600ドット)対応と高解像度だ。

 SoCはMediaTekのDimensity 8300。一般にはSnapdragon 8 Gen 2よりも上とされており性能は高い。ベンチマークはのちほどご覧いただくとして、メモリは標準で12GB、さらに仮想メモリを最大12GB追加できるなどかなり潤沢だ。ちなみにストレージは256GBの1モデルのみで、容量を選ぶことはできない。

 本製品の特徴として、SIMカードスロットを搭載し、モバイル通信にも対応することが挙げられる。しかし、無線LAN周りの技適は取得しているものの、LTEについて技適の取得が確認できていないため、今回はLTEはオフで利用した。カードトレイはデュアルタイプで、メーカーサイトに特に記載はないが、microSDカードによる容量の追加にも対応する。

 こうした特徴はSoCを除き、以前紹介した「Lenovo Legion Tab」に酷似しているのだが、同製品の特徴である、USBポートを2基搭載しパススルー給電に対応するといった、ハードウェア面でのエッジの効いた特徴はない。スペックは高いものの、作り自体はあくまでも一般的な8型クラスのタブレットといったイメージだ。

「バリバリのハイエンドほどではない」パフォーマンス

 セットアップの手順は一般的で、ホーム画面以下のデザインもいい意味で一般的。自己主張の強い壁紙および背面のロゴを除けば、ことさらゲーミングらしい意匠はないので、ゲーム以外の用途での利用でも違和感がない。またプリインストールアプリについても、余計なものはほとんどなく、すっきりしていて扱いやすい。

 ちなみに本製品は最近のAndroidタブレットとしては珍しく、3ボタンナビゲーションがデフォルトで有効になっている。天地を広く使いたい場合は、ジェスチャーナビゲーションに変更しておくことをお勧めする。昨今のAndroidスマホを使っている人であれば、その方が馴染みやすいだろう。

 ベンチマークはどうだろうか。スコアを取ってみると、ほとんどがiPad miniの半分程度のスコアとなっている。OSが異なる点は差し引くとして、以前レビューした「Lenovo Legion Tab」に比べて約3割減となっている。両者はメモリ容量は横並びなので、SoCの差によるものと考えてよいだろう。

 と、このように書くと本製品のスペックが低いように誤解されそうだが、1~2万円台の低価格タブレットだとスコアはiPad miniの10分の1以下であることも珍しくないので、あくまで高いレベルの比較であり、価格に見合った価値は十分にあることは付記しておきたい。Lenovo Legion Tabのようなガチガチのハイエンドではないというだけだ。

「Octane 2.0」でのベンチマーク結果。左が本製品で「56065」、右がiPad miniで「94602」

「Wild Life Extreme」でのベンチマーク結果。左が本製品で「3015」、右がiPad miniで「3058」

「GeekBench 6(CPU)」でのベンチマーク結果。左が本製品で「1402/4179」、右がiPad miniで「2966/7379」

「GeekBench 6(GPU)」でのベンチマーク結果。左が本製品で「7802」、右がiPad miniで「25198」

同じ条件における「Octane 2.0」のスコアは、Fire HD 8(左)だと「7485」、BNCFの「BPad Mini」(右)だと「20918」と、いずれも本製品の半分以下だ

 一方で実際に使っていて気になるのは、ハードをはじめとする作り込みがやや甘く、チープさを感じさせる箇所が所々にあることだ。筐体上部左端を指で強く押さえるとミシミシという音がするほか、購入時点で画面に貼り付け済の保護シートは、断面が曲面加工されていないため、画面外から内側にスワイプすると指が引っかかりがちだ。

 また設定画面の一部も、翻訳が中途半端なところがあったりするなど、品質自体は格安タブレットと大差ない印象を受ける。パフォーマンスの部分は大きな不満はないのだが、こうした作り込みの部分はもう少し頑張ってほしかったというのが本音だ。

設定画面には英語の翻訳が不完全なまま残っている箇所が散見される

表示品質は文句なし。見開き表示でも十分なクオリティ

 では電子書籍ユースについて見ていこう。サンプルには、コミックはうめ著「東京トイボクシーズ 1巻」、テキストは夏目漱石著「坊っちゃん」を使用している。

 解像度は343ppiとiPad mini(326ppi)よりも高く、クオリティ面では何の問題もない。アスペクト比は16:9であるため単ページ表示では上下にやや余白ができるが、スマホのような極端に細長いアスペクト比ではないため、それほど気にはならない。また解像度が高いため、画面を横向きにしての見開き表示も十分に実用的だ。

 なお本製品は144Hzのリフレッシュレートに対応することを大きくアピールしているが、可変リフレッシュレートではなく、標準では60Hzに固定されている。スクロールタイプの電子書籍を読む機会が多い場合や、電子書籍以外にブラウザでウェブページを参照する機会が多いようであれば、設定画面の「ディスプレイ」の項で変更しておいた方がよい。

リフレッシュレートはデフォルトでは60Hz固定となっているので、必要に応じて変更しておくとよい

 このほか実際に使っていて感じるのはバッテリ駆動時間が長いなことだ。8型クラスで解像度の高い格安タブレットはほぼ例外なくバッテリが弱点だが、本製品は7,200mAhの容量があり、長時間使っていてもバッテリの減りが緩やかで驚かされる。前述のようにリフレッシュレートを上げると消費電力が増加する可能性があるが、こうした容量面で余裕があることから、それほど心配する必要はなさそうだ。

 もう1つ、電子書籍とは直接関係しないが、特筆すべきなのはスピーカーの音質の良さだ。本体を横向きにするとスピーカーが左右に来る配置なのだが、このクラスのタブレットやスマホに比べて音がこもらず、広がりのある音が楽しめる。電子書籍ユースにとどまらず、音楽再生や動画鑑賞において、イヤフォンやヘッドフォンは使わずに楽しみたいという人には、向いた製品といえるだろう。ちなみにWidevine L1にも対応している。

値頃感のあるハイエンドタブレット。品質はもうひと踏ん張り欲しい

 以上のように、性能と値頃感を兼ね備えたハイエンドタブレットとして秀逸な製品だ。前回紹介したLenovo Legion Tabは、性能は文句なしである一方、ゲーミング用途以外では2基のUSBポートを使いこなせなかったりと、宝の持ち腐れという印象が強かったので、本製品はいい意味で過不足が少ない。実売価格が8万円弱のLenovo Legion Tabに対し、本製品は実売5万円前後というのもよい。

 その一方で品質についてはやや首をひねる部分もあるほか、メモリは物理12GB+仮想12GBという構成にも関わらずAmazonの製品ページではひっくるめて「24GB」と記載されていたり、また細かいスペックがメーカーサイトとちょくちょくズレがあったりと、ユーザーの側から見て信頼性にやや疑問がつく部分があるのも事実。購入後にがっかりしないために、こうした点は事前にしっかり押さえておいた方がよさそうだ。

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