2026年1月17日(土)と18日(日)の2日間、大阪・阿部野ROCKTOWNで行われた『大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻 presents “音サウナ” -MINAMI WHEEL EDITION-』。本イベントは、大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻の授業の一環で、毎年1年生が企画から運営までを自分たちの手で作り上げるもの。
今年は『音サウナ』と題して、1日目は「ポップ! ロック!! HOT!!!」をテーマに、つきみとRe:nameがサウナのように熱く一体感のある空間を作り上げた。2日目のテーマは「ROCKTOWNでChill down」。jean、Doona、あたらよが出演し、サウナで火照った身体を水風呂でクールダウンするかのように「ととのい&癒し」の時間を体現した。本記事では、そんな2日目の模様をレポートする。
『大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻 presents “音サウナ” -MINAMI WHEEL EDITION-』2026.1.18(SUN)大阪・阿部野ROCKTOWN

大成功で終了した1日目を経て、迎えた2日目。この日も会場の阿部野ROCKTOWNでは、1年生たちが忙しくも楽しそうに動き回っていた。本イベントは学生によるプロモーション、運営などをプロのコンサートプロモーター、プレイガイド、メディアなどのサポートを受けつつ行われる。実際のライブハウスで、アーティストや業界のプロと共に作り上げる機会は学びが多いはず。ミュージックビジネス専攻主催のイベント用SNSでは、当日までの準備の様子が発信されており、学生たちの気合いが伝わってきた。そんな想いを受け取るように、来場者は出演者全員のサインが入ったフォトブースの前で写真を撮ったり、『MINAMI WHEEL』パスを提示してイベントオリジナルステッカーをゲットしたりしつつ、開演の時を待ちわびる。

ちなみにこの日は心斎橋・LiveHouse ANIMAで2年生主催の『大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻 presents 「MWDL」』も行われていた。2022年に大阪音楽大学にミュージックビジネス専攻が新設されて、今年で5年目。3月には1期生が卒業して社会に羽ばたいてゆく。一般企業や音楽業界で就職したり、アーティストとして活動する人もいるとのことで、着実に人材が育っているのは頼もしい限りだ。
jean

トッパーを飾るのは、横浜生まれのJEAN(Vo)と東京出身のSota Nakamura(Gt.Key)によって2023年に結成されたユニット・jean。サポートは菅原寛人(Ba/鋭児)、市原太郎(Dr/鋭児、八木海莉電音遊戯)という強力布陣だ。
市原のシンバルとSotaのギターが柔らかく会場を満たし、深いブルーに染まったステージにJEANがゆらり登場。披露されたのは、まだ音源化されていない新曲の「Into you」。菅原のベースラインがよくきいたグルーヴィーなサウンドに、少しざらつく、それでいて滑らかなJEANのボーカルが心地良く重なっていく。ダウンテンポでじわりと満たすと、「大阪 Are you ready?」とアゲて、こちらも未音源化の新曲「TWO IN ME」でテンポと熱を加速した。

続く「Brand new」は日本語、英語、韓国語のトリリンガルで歌われるドリーミーな1曲。生楽器によるアンビエントで民族的な音表現からは、楽器隊のスキルの高さが垣間見える。JEANはしなやかに踊りながら丁寧にリリックを紡ぎ、フロアをドープに誘っていく。後半は全身を包むようなシューゲイズな音の鳴りで圧倒した。
JEANが「こんばんはjeanです。今日はここにいる皆で同じ時間を作りにきました。リラックスして音に身を委ねて、自由に楽しんでいってください。調子どうですか? まだまだいける?」と呼びかけると、オーディエンスは元気に声を上げて呼応する。

Sotaが鍵盤を弾いたダンサブルな「You make me a happy!!!」では、流れるようなシンセサウンドとフロウに自然と身体が揺れる。ソウル、R&B、エレクトロニックなどの要素がクロスオーバーした1曲で飲み込んでいくと、次なる「DOPE CAT」でより深く没入させる。敬愛するマイケル・ジャクソンを彷彿とさせるJEANのダンスの細部には繊細さが宿り、目が離せない。そして<音の上は自由さ>と歌う「DON’T BLINK」でまたひとつ心を解放した。

JEANは「こうやって皆が集まって同じ空間で同じ音楽を聴いてるのは偶然かもしれないけど、後々振り返ってみたら必然だったりする。一個一個の縁を僕は大事にしたいと思ってます」と優しく伝え、人と人との縁を歌った「ENN」を浮遊感を伴って響かせる。

ラストは「Talk to me」。静の中に熱を宿し、クラップとリリックでオーディエンスとの心の距離を近付け、「jeanでした、ありがとうございました」と述べて、JEANは先にステージを去る。最後はわななくギターとリズム隊のアンサンブルで脳がトリップ。まるで外気浴でととのっているような感覚に陥った。「Chill down」というテーマに即してか、この日はミドルナンバー多めのセットリストでチルな空気を醸成したjean。彼らの美学と表現の幅広さがしっかり伝わるライブで、学生たちの心を鷲掴みにしていた。
Doona

2番手は、ブラックミュージックをルーツに持つ2002年生まれの5人組ミクスチャーロックバンド・Doona。ソリッドな金属音が響きわたり、そのままSEの世界観を押し広げるようにSOTA(Gt)、RYO(Ba)、RINTA(Key)、ZAKKI(Dr)が演奏にジョイン。GENKI(Vo.Gt)が「よろしく!」と挨拶し、ライブは「I AM」からスタートした。ロックからレゲエ、ヒップホップ、ハードロック、ラウドロックと1曲の中で目まぐるしく展開する構成に驚かされる。「さあこいや!」と気合いたっぷりのGENKIは「手始めに身体の揺らし方から覚えていこうか!」と熱く叫ぶと、フロアを牽引して大きくヘドバン、そしてジャンプ! がなるようなシャウトでも熱量をぐんと引き上げる。1日目をサウナ1セット目だとするならば、Doonaのライブはサウナ2セット目だ。

RINTAがトークボックスを使い、ソウルフルかつアダルトに奏でられた「B.E.D.」も、進むにつれて曲調が変化。どっしりとしたアンサンブルから早口ラップを叩き込み、熱を高める。全身にまとわりつく大きくて激しい音、GENKIの挑みかかるような眼差しも相まって壮大なサウンドスケープを描き出し、会場全体を掌握した。

SOTAの小気味良いリフがクセになる「Hot Dog」で疾走感を増すと、まだ足りないとばかりにGENKIが「ちょっとチルしすぎじゃないですか、大阪の皆さん!」と叫び、ZAKKI以外の4人が(RINTAは鍵盤を小脇に抱えて)前へ! フロントマン4人がテクニック満載で楽器をかき鳴らす様は圧巻だ。高揚感をフロアに充満させると、「じゃあちょっとチルしようか」と「Green Tips」でクールダウン。ジャジーで妖艶、かつ歌謡的な演奏は聴き入ってしまう。


GENKIは「チルできたとこで、最後までアゲてくんでよろしくお願いします!」と再びギアを上げ、メロディアスなシティポップチューン「BY MY SIDE」でグッドバイブスを生み出すと、「良いチルできましたか? 俺らがチルダウンできるはずもなく。次のあたらよでチルできるように、200℃のサウナ入れてもいいですか!?」と全力で叫び、ヘヴィな音圧で「DON’T JUDGE ME」をブチ込んだ。骨太で轟音で、雷のようなロックサウンドがシンプルにカッコ良すぎる。

GENKIは「ぶっ飛んでくれよ!」と会場全体を有無を言わせず巻き込んでいく。そして「そんなんで汗かいてんのかよお前ら。もっとこいや!」となおも煽り、ラストの「RUN」へ。最初から最後まで一切の手抜きなし、メンバー全員が内に秘めるものを爆発させるかのように共鳴し合い、挑発的なまでのエネルギーで躍動した。ハイレベルな演奏と練り込まれた楽曲、泥臭く前のめりな姿勢、底知れぬ魅力で爪痕を残したDoona。贈られた拍手はいつまでも鳴りやまなかった。
あたらよ

トリは「悲しみをたべて育つバンド。」こと、あたらよ。2019年に東京の音楽専門学校に通っていたひとみ(Vo.Gt)、まーしー(Gt)、共通の友人たけお(Ba)で結成した、新進気鋭の実力派だ。この日はサポートドラムに吉成直輝(Dr)を迎えた編成で、2026年一発目のライブに臨んだ。SEが流れ、ひとみ(Vo.Gt)がアコギを弾きながらアカペラでロングトーンを高らかに響かせる。オープニングからしっかり魅了すると、「こんばんはあたらよです。楽しい夜にしていきましょう!(ひとみ)」と挨拶して、「僕らはそれを愛と呼んだ」「眠れない夜を君に」を連続で披露。粒立ったメロディーと上質な歌声、同時に鍵盤を入れた美しいアンサンブルが耳を潤す。さすが、チルにぴったりだ。

MCでひとみは、ミュージックビジネス専攻の学生が『MINAMI WHEEL 2025』であたらよのライブを観てオファーしたことに触れ「ほんとにほんとに嬉しいです!」と笑顔。音楽専門学校の学内オーディションをキッカケに結成した彼らは、この日が学生主催のライブイベントであることに自身の学生時代を重ね合わせる。まーしーは「すっごい懐かしい気分。俺らも専門学校で色んな人と関わってバンドやったり授業受けたりしてたから、新鮮でめちゃくちゃ楽しいです」と破顔し、ひとみは「学生さんたちを見てるとさ、自分が専門学生だった時のことを思い出してワクワクしちゃって。こんなにあったかい場所で新年一発目のライブができて嬉しいです。今日は最後まで思う存分楽しんでいきたいと思います」と目を輝かせた。そして「『音サウナ』ですよ? チルな音楽と熱い音楽でととのうってことです。ここからは一緒に、身体全体で音楽を楽しんでいきましょう!」と導き、「晴るる」を爽やかかつパワフルに届けていった。

続いて披露された「朝凪」は、ピアノロックサウンドに乗せてひとみがハンドマイクで歌唱。手振りを交えつつ放たれる歌声からは、彼女のボーカル力の高さがありありと伝わってくる。オーディエンスも呼応して手を左右に振ると、見事な一体感に包まれた。

ここで、1月から放送中のアニメ『ヘルモード 〜やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する〜』のOPテーマで最新曲の「ハク」をライブ初披露するというサプライズ。これにはフロアも大歓喜! 「あたらよ史上最速BPMです」との言葉通り、疾走感と推進力を伴ってパワフルにプレイ。ひとみも拳を突き上げてハリのある歌声を飛ばしてゆく。勢いそのままに、ラストもロックに「「僕は…」」で締め括った。
力強い演奏も、ひとみとまーしーがボーカルをスイッチするパートも、後半のひとみのセリフパートの迫力もフロアの熱を上げ続ける。<今の僕を創ったのは 他の誰でもない君なんだ>という言葉には、青春時代にできるだけ多くの出会いを得て、さまざまな経験をしてほしい。それがこの先の自己形成を大きく左右する、という真理と願いが込められているようにも感じられた。全6曲を爽快に駆け抜け、最高潮の盛り上がりを引き出したあたらよだった。

こうして『音サウナ』は2日とも大団円で幕を閉じた。三者三様の表現でチルとホットな音楽を届け、最高に熱くてチルな癒しの時間をくれたjean、Doona、あたらよ。1年生を総括するイベントとして、学生たちにとっても良い刺激になったことだろう。また来年はどんな化学反応が起こるのか、楽しみにしていよう。
取材・文=久保田瑛理 写真=オフィシャル提供(撮影:桃子)
2月5日(木)正午12:00〜2月28日(土)23:59まで、大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻のサイト内で、当日のダイジェスト映像が無料公開されることが決定した。当日の模様をぜひ映像でも追体験してほしい。
セットリスト
『大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻
presents “音サウナ” -MINAMI WHEEL EDITION-』
2026年1月18日(日) サブタイトル: ROCKTOWN で Chill down
<MB専攻サイト内で無料公開を公開!>
期間:2/5(木)正午12:00〜2/28(土)23:59まで
大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻
https://www.daion.ac.jp/mb/
■jean
1.Into you
2.TWO IN ME
3.Brand new
4.You make me a happy!!!
5.DOPE CAT
6.DON’T BLINK
7.ENN
8.Talk to me
■Doona
1.I AM
2.B.E.D.
3.Hot Dog
4.Green Tips
5.BY MY SIDE
6.DON’T JUDGE ME
7.RUN
■あたらよ
1.僕らはそれを愛と呼んだ
2.眠れない夜を君に
3.晴るる
4.朝凪
5.ハク
6.「僕は…」
主催/企画運営:大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻
協力:FM802/A.C.P.C.関西支部会/ROCKTOWN/イープラス 他
