中国のショートドラマ「熾熱吸引」は、制作クオリティーの高さやテンポの良い展開、そして視聴者ニーズを的確に捉えた内容によって「一般ドラマを脅かす存在」と話題を集めている。写真は「熾熱吸引」。
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中国のショートドラマ「熾熱吸引」は、配信開始以降、制作クオリティーの高さやテンポの良い展開、そして視聴者ニーズを的確に捉えた内容によって「一般ドラマを脅かす存在」と話題を集めている。
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1月22日にスタートした「熾熱吸引」は、ヘリコプターによる空撮を用いた追跡シーンや、韓国ドラマを想起させる演出などにより、「映画レベルのカメラワーク」「一般ドラマを脅かすクオリティー」と高い評価を受けている。これまでショートドラマが抱えてきた「低予算・簡易制作」というチープなイメージを打ち破り、ハイクオリティーな領域へと踏み出した作品と言える。
ショートドラマ最大の特長は、視聴開始から数秒で物語に引き込む高密度なストーリー展開にある。1話当たり2~5分という短い尺の中で、明確な駆け引きと感情対立のピークポイントを連続的に配置し、視聴者の関心を瞬時に捉える。例えば、「熾熱吸引」に登場する「膝をついてのキスから後ずさる」という演出は「一般ドラマでは挑戦しづらい表現」だ。
また、ショートドラマは、登場人物の識別性の高さやシンプルな物語構造によって、中高年の視聴者層を獲得している点も見逃せない。これは、若年層偏重が進んできた一般的な連続ドラマが十分に取り込めていなかった視聴者層を、ショートドラマが補完したことを意味している。
ビジネスモデルの面でも、ショートドラマは「低コスト・短期間・高効率回収」という仕組みを確立している。主演クラスの出演料は1話当たり2万~5万元(約45万~110万円)程度に抑えられており、主演俳優1人の報酬が1話当たり80万元(約1780万円)規模に達する一般的な連続ドラマと比べ、人件費は大幅に低い。制作期間も1~2週間と短く、「複数作品を同時に展開し、そのうち1本がヒットすれば十分に回収できる」という投資モデルを可能にしている。さらに、視聴課金、広告連動型収益、プラットフォーム分配など、収益構造も多様で、資金回収の柔軟性が高い。
こうした流れの中で、一般の連続ドラマで知名度を持つ俳優がショートドラマに参入する動きも顕著になっている。実力派俳優が新たな表現の場としてショートドラマを選択することで、「格下の仕事」という従来の認識は急速に薄れつつある。一方で、ショートドラマ出身の俳優が大型番組やラグジュアリーブランドのイベントに起用されるなど、俳優の畑で逆転現象も起きている。
ショートドラマ
ショートドラマのインパクトは、何よりも視聴者ニーズを正確に捉えている点にある。一方、中国エンタメ業界において一般の連続ドラマが直面する危機の根源は、視聴者感覚との乖離(かいり)、制作コストの暴走、そして創造性の停滞にある。加速するショートドラマの“下克上”現象は、映像産業全体に対し、「作品の長さ」や「トップ俳優の起用」ではなく、「コンテンツそのものの競争力」を軸とした制作マインドへの転換を強く問い掛けている。(翻訳・編集/RR)
