夏の山中で美しく飾られた6人の少年の遺体が発見される。自首したのは、日本における蝶研究の権威で大学教授の榊史朗(さかき しろう)。幼少期から蝶の標本作りを通して、「美を永遠に留める」執念に取り憑かれていた。なぜ、彼は息子を殺したのか。「親の子殺し」というショッキングなテーマを描きながら、父と息子の特別な関係が顕になっていく。
──『人間標本』では、初めての現代劇ドラマとは思えない堂々たる演技が話題を集めています。これまでどうしてやらなかったのでしょうか?
特に何か理由があって、やらなかったわけではないんです。現代劇、時代劇、歌舞伎……自分にとってはどれも分け隔てなく、作品にはいろんな巡り合わせで出合っている気がしています。これまで現代劇にはなかなかご縁がありませんでしたが、今回、素晴らしい機会をいただきました。
──決め手となった点はありますか?
まず、原作が面白かったところが一番です。以前から現代劇に挑戦したいという気持ちがあったので、本当にタイミングよく、出合うべくして、出合ったんだと本当に今、実感しています。湊先生が原作の映画『告白』に叔母(松たか子)が出ていたことにも、ご縁を感じていました。叔母には撮影前、出演が決まったタイミングで、たまたま会うことがあったので、湊先生の作品に出させていただくことは話しました。湊先生にも会わせていただいたのですが、先生は僕の表情の芝居を見て、叔母に通ずるものを感じてくださったみたいです。自分ではまったく意識していないですし、家族だから自然と似るのかなと思っているぐらいですけど、うれしかったです。

