ドレスローザ編(70~82巻)

 このエピソードは、しばしばアラバスタ編に似ていると言われることが多い。例えば、本エピソードのボスであるドンキホーテ・ドフラミンゴは、アラバスタ編のボスであるサー・クロコダイル同様、王下七武海の一角として知られている。また、ルフィたちが国の中枢にいる独裁者と直接対決する点や、王女が物語の鍵を握っている点も類似している。

 しかし、本エピソードでは、アラバスタ編と比較しても複雑な人間ドラマが描かれている。例えば、ドレスローザの国王であるドフラミンゴは、国民の記憶を消し、おもちゃに変えて奴隷として働かせている。この悪質性はクロコダイルのそれを上回る。加えて本エピソードでは、ドフラミンゴの圧政に苦しむ者や、過去の因縁を抱えた者、そして、コロシアムに参加する新世界の猛者たちが次々と登場し、物語に深みを与えている。

 そして忘れてはならないのが、ドフラミンゴに復讐心を燃やすトラファルガー・ローの存在だろう。ルフィ同様、「最悪の世代」の1人に数えられるローは、パンクハザードで麦わら海賊団と海賊同盟を結成。四皇であるカイドウの打倒を目的に、共闘を重ねてきた。

 本エピソードでは、そんなローとドフラミンゴとの知られざる過去が明かされる。それは、彼の唯一の恩人であるコラソンをドフラミンゴに殺され、全てを剥奪されたというなんとも悲しい過去だ。ルフィとの共闘の中で、ローがドフラミンゴと向き合い、自らの過去を乗り越えようとする姿は、多くの読者の胸を打つこと間違いないだろう。

 また、本エピソードには、もう1人忘れてはならない人物が登場する。それは、ルフィのもう1人の義兄であるサボだ。ルフィとエースの盟友であるサボは、とある事件からすでに亡くなったものと思い込まれていた。しかしルフィは、革命軍の参謀総長となったサボとコリーダコロシアムで再会を果たす。エースの形見である「メラメラの実」を手に、サボがドフラミンゴの支配に立ち向かう姿は、ルフィにとっても、読者にとっても、大きな感動をもたらした。

 なお、本編を経て麦わらの一味は、ルフィに恩義を感じたコロシアムの強者たちを子分とし、構成員約5600人・総船数70隻からなる「麦わら大船団」へと成長する。これは、後のワノ国編や最終章へと繋がる、ルフィの「海賊王」への道を決定づける重要な出来事となった。そういう意味で、このドレスローザ編は、ルフィの「海賊王」への道を決定づける露払い的なエピソードと言えるかもしれない。

編集部

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