
土田晃之『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』(双葉社)
昭和カルチャーの魅力とは? あの頃のテレビ番組の面白さとは? 新刊『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』(双葉社/8月20日発売)を刊行したお笑い芸人・土田晃之氏と、同じ昭和47年生まれの鈴木おさむ氏とのオンライントークショーが、9月5日(金)に開催された。
『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』は、そんな「華の昭和47年組」として活躍する土田氏が、 幼少期~若手芸人時代までの80年代から90年代にかけて流行したテレビ・ラジオ、アニメ・漫画などについて語り尽くしている。さらに、鈴木おさむ氏やケンドーコバヤシ氏との特別対談も読みどころとなっている。
本記事では対談トークショーの模様を一部抜粋・編集してお届けしたい。80年代にとんねるずなどが出演した『夕やけニャンニャン』、90年代以降に伝説的人気を誇った「電波少年シリーズ」など、当時のバラエティ番組に対する思いを語り合った。
なお、対談トークショーは以下、blueprint book storeにて本書を購入すると視聴可能だ。アーカイヴ配信は9月19日23時59分(金)まで。
『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』+配信チケットはこちら
とんねるずの伝説的ケチャップ事件?
鈴木:この本にはとんねるずさんが結構出てくるじゃん。『夕やけニャンニャン』(1985〜1987年)は、とんねるずさんが出る水曜日は、必ず見てました。素人の人に何かしたっていう事件があって。
土田:ケチャップ事件でしょう。
鈴木:なんだっけ?
土田:タカさん(石橋貴明)が白いシャツを着てたんだよね。そしたらロッキーの腕相撲のコーナーで、お客さんが客席からなだれ込んできた。それでみんな戻ったら、タカさんのTシャツにケチャップがついてて。生放送中に「誰だよおい!」って怒り出したんです。CMに入っても、犯人探しをして。でも結局最後まで出てこなかったから、お客さんを帰さなかったらしい。
鈴木:ええ!
土田:そしたら客席には関係ない人がいっぱいいるわけだから、そいつらがいきがって「マジ誰だよ! 誰がやったんだよ!」ってなって。ケチャップをかけた人が出てこれないような雰囲気になった。結局、最後には出てきたけど「あいつ帰りに殺されるんじゃないか」ってなって。結局、タクシーで帰ったって噂だから。
鈴木:いや、とんでもない空気だったもんね。
土田:あと、タカさんがおニャン子クラブと喧嘩したの覚えてる?
鈴木:知らない。
土田:火曜日の「火曜ワイドスペシャル」で、とんねるずの二人がおニャン子の全員と一人ずつ喋ってて。立見里歌さんと内海和子さんのところで、写真にパンチをしながら「こいつはさ〜」って、いじってたんだよね。そしたら次の日の「夕やけニャンニャン」で、二人とも若かったんで「昨日の火曜ワイスペ、マジでムカついた」って。
鈴木:本当に。
土田:それでタカさんがマイクで「おいこのコーナーやめてやろうか!」って言いながら、セットを壊して終わるっていう。
鈴木:それ、覚えてないな。
土田:CM明けたら、とんねるずがいないの。
鈴木:怒って帰ってると。
土田:スタジオは「緊迫した空気が漂っております」ってなっていて。とんねるずは番組のエンディングで歌を歌うところだけ出てきた。そういうのを中学生で見ていて、なんでこんな夕方からハラハラドキドキするんだろうって(笑)。こういう番組に出たいし、やりたいなと思ったんですね。でももうこういう時代になったから、何もすることがないんですよ(笑)。
『進め!電波少年』はつなぎだった?
鈴木:『ウッチャン・ナンチャン with SHA.LA.LA.』(1990〜1992年)って番組をやってたじゃない。でもウッチャンナンチャンさんが映画『七人のおたく』(1992年)を撮るために、半年だけお休みしたんですよ。その時、3ヶ月分のつなぎで作られた番組が『進め!電波少年』(1992〜1998年)なんです。
土田:え、そうだったっけ。
鈴木:そう、俺は土屋(敏男)さんに確認したので。ウッチャンナンチャンさんはまた戻ってくる予定だったんですよ。でも松村(邦洋)さんのヤンキー企画がバカあたりしちゃって戻れなくなったから、ウッチャンナンチャンさんは別の枠で『ウンナン世界征服宣言』(1992〜1995年)を始めた。
土田:今だったらちょっとありえないじゃない? レギュラーやってて、ドラマや映画で休むってまずないし。
鈴木:そのぐらい欲しい存在だったってことだね。
土田:本当、スターなんだね。今は代わりがいっぱいいるからね。でもそれで『進め!電波少年』が始まったんだ。
鈴木:3ヶ月のつなぎで始まったら、まさかの大当たり。
土田:まあ企画がすごかったもんね。でも考えてみれば、あの当時で松村邦洋さんと松本明子さんは……。
鈴木:大抜擢だよね。
土田:あの頃はまだ有名ではなかったからね。
鈴木:よくその企画を通したよね。
土田:だからうちの事務所(太田プロダクション)は『電波少年』にはお世話になってる。松村さんもそうだし、有吉(弘行)もそうだし。
鈴木:松村さんが『電波少年』をやる頃、ちょうど僕は太田プロでお世話になっていて。なぜか知らないけれど、俺のことを面倒見てくれると。それから『電波少年』が始まったんです。いつも中野で松村さんと焼肉食ってたんだけど、本当にヤンキーに追いかけられるの。
土田:わかるよ(笑)。
鈴木:普通に松村さんと焼き肉を食ってたのに、焼肉屋に行ったら中野の不良が「松村こら!」って言ってきて。それで松村さんと「逃げよう」ってなって。なんだこれって。だから最初に人がスターになる瞬間を見たのは、松村さんよ。
土田:急激にスターになったね。
鈴木:松村さん、テレビで電話番号が公開されちゃって。家の留守電を聞いたら、何百件も入ってる。
土田:そうそう。すごいよね。でも松村さんひどいのがさ、ほんと毎日電話がくるから、最終的にも耐えられなくなった。玄関を開けて「ここに出川さん住んでるから」って、住所と地図書いて教えたんだよね。その日からみんな出川さんちに行くんだって。「出川遊ぼうぜ!」になったんだもん。いや、すごい時代。
鈴木:でもそのウッチャンナンチャンさんの3ヶ月のつなぎがなかったら、有吉君は『電波少年』に出てなかった。それもまた不思議だよね。
土田:松村さんも松本さんもああなってなかったかもしれないですよね。
鈴木:だから芸人が冠番組中にドラマや映画で休むと、新しいムーブメントが生まれるって思ってるんですよ。
※続きは動画『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』刊行記念オンライントークショーにてお楽しみください。
刊行記念イベント詳細
土田晃之×鈴木おさむ『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』刊行記念オンライントークショー
出演者:土田晃之、鈴木おさむ
日時:2025年9月5日(金)19時〜20時
配信期間:2025年9月5日(金)19時〜〜9月19日23時59分(金)(アーカイブ視聴可)
『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』単行本付き配信チケット価格:1,815円
主催:リアルサウンド ブック編集部
協力:双葉社
参加対象者:下記webサイト『blueprint book store』にて、配信チケットを購入した方
『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』+配信チケットはこちら
書籍情報
『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』
著者:土田晃之
発売日:2025年8月20日
税込定価:1,815円
出版社:双葉社